屋根から雨漏りが発生した際の応急処置
屋根から雨漏りしたときは、以下の応急処置で被害の拡大を防ぎましょう。

バケツや雑巾を使う
天井から雨水が落ちているときは、バケツで受け、周囲に雑巾を敷いてください。家電、家具、フローリング、畳などが濡れると、買い替えや下地を含む交換が必要になり、修理費用が増えるおそれがあります。バケツや雑巾で受けきれないほど雨水が多い場合は、家電や家具を安全な場所へ移動させましょう。湿気によるカビの発生を抑えるため、安全を確保できる範囲で換気も行ってください。
屋根をブルーシートで覆う
屋根に大きな穴が開いている場合は、ブルーシートで覆うと被害の拡大を抑えられることがあります。ただし、屋根上での作業は天候が回復していても転落や踏み抜きの危険があるため、適切な装備を持つ専門業者に依頼しましょう。業者が到着するまでは屋根に上らず、室内で雨水を受ける、家電の電源プラグを安全に抜いて移動させる、被害のない部屋へ移るなど、安全にできる範囲で対処してください。
※ 参考:内閣府|ブルーシート展張の作業留意点
専門業者に屋根修理を依頼する
地域密着型の専門業者で、お住まいの近くに会社があれば、連絡から30分ほどで対処してくれる場合もあります。専門業者の到着を待つ間は、屋根に上らず、室内でバケツを置くなど安全にできる対処を行いましょう。ブルーシートによる屋根の養生は専門業者に依頼してください。また、1年以内などに屋根などのリフォームをしていれば、施工を担当した会社のアフターフォローで対応してもらえる場合もあります。施工不良が原因で雨漏りが起きている可能性もあるので、数年以内に屋根リフォームをしたのであれば、担当した会社に連絡してみてください。
※ 参考:内閣府|ブルーシート展張の作業留意点
【修理方法別】屋根の雨漏り修理の費用相場
屋根の雨漏り修理には、主に以下の3つの方法があります。

- 部分補修
5万~25万円 - カバー工法(重ね葺き)
80万~200万円 - 葺き替え
100万~250万円
費用相場は修理方法によって異なります。また、雨漏りの原因調査費の目安は、目視による簡易調査が無料〜1万円前後、散水調査が5万〜20万円、赤外線サーモグラフィー調査が10万〜30万円です。複数の方法を組み合わせるときや調査範囲が広いときは、30万円を超えることもあります。依頼前に、調査方法、報告書の有無、追加費用を確認してください。
部分補修
| 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 棟板金の交換 | 5,000〜12,000円/m |
| 瓦の漆喰補修 | 4,000〜8,000円/m |
| 棟瓦の積み直し | 10,000〜20,000円/m |
| 雨どい丸ごと交換 | 6,000〜8,000円/m |
| 軒天の張り替え | 8,000〜10,000円/㎡ |
屋根の雨漏り修理で、最も費用を抑えやすいのが部分補修です。棟板金の交換など、補修箇所によって費用は異なりますが、目安はおよそ5万〜25万円です。高所作業に足場が必要な場合は、別途15万〜25万円かかります。原因調査や足場の費用が加わると、部分補修でも総額が40万円を超えることがあります。また、外壁やベランダの補修、濡れた室内の壁紙の張り替えなどが必要な場合は、屋根の部分補修以外の費用も見込んでおきましょう。
カバー工法
| 屋根材 | 費用相場(2階建て30坪/材工) |
|---|---|
| ガルバリウム鋼板 | 100万〜200万円 |
| アスファルトシングル | 80万〜150万円 |
上記の費用相場は、屋根材と施工費を含む目安です。足場設置費や産廃処理費は含まれていません。カバー工法(重ね葺き)は、既存の屋根材の上に新しい防水シートと屋根材を重ねる修理方法です。ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなどの軽い屋根材が多く使われ、既存屋根材の撤去範囲を抑えられます。ただし、施工後は屋根が重くなるため、建物の構造や劣化状況に応じた安全性の確認が必要です。すべての住宅に構造計算が必要なわけではありませんが、安全性が明らかでない場合は、壁量計算や耐震診断などが必要になることがあります。既存の屋根材が広範囲に劣化し、野地板や防水シートまで傷んでいる場合は、カバー工法が適さないこともあります。工事範囲によって建築確認の要否も異なるため、専門業者や建築士に確認したうえで修理方法を決めてください。
※ 参考1:国土交通省|屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱い
※ 参考2:国土交通省|屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項

葺き替え
| 葺き替え内容 | 費用相場(2階建て30坪/材工) |
|---|---|
| ガルバリウム鋼板 → ガルバリウム鋼板 | 120万〜160万円 |
| トタン屋根 → ガルバリウム鋼板 | 100万〜150万円 |
| スレート屋根 → ガルバリウム鋼板 | 130万〜170万円 |
| 瓦屋根 → ガルバリウム鋼板 | 140万〜180万円 |
| 瓦屋根 → 瓦屋根 | 150万〜250万円 |
上記の費用相場は、屋根材と施工費を含む目安です。仮設足場や既存屋根材の撤去・処分費は含まれていません。屋根材、野地板、ルーフィング(防水シート)が耐用年数を超え、屋根全体に劣化が見られる場合は、新しい屋根材に交換する葺き替えが適しています。施工時に屋根裏まで点検できるため、雨漏りの影響範囲を確認しながら修理できます。ただし、葺き替えは3つの修理方法の中で最も費用が高いため、部分補修やカバー工法で対応できるかも含め、リフォーム会社に提案を求めましょう。

屋根から雨漏りが発生する原因
屋根からの雨漏りは、主に以下の原因で起こります。

- 屋根材の経年劣化
- ルーフィングの経年劣化
- 棟板金や破風など板金の浮きやサビ
- 工事業者の施工不良
屋根材や板金の経年劣化による雨漏りが多いため、定期的な点検と補修で予防しましょう。
屋根材の経年劣化
| 屋根材の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| ガルバリウム鋼板 | 25〜35年 |
| スレート屋根 | 10〜20年 |
| アスファルトシングル | 20〜25年 |
屋根材ごとに耐用年数があり、徐々に以下のような劣化症状が見られるようになります。
- 変色
- ひび割れ
- 剥がれ
- コケの発生
傷みが一部に限られていれば部分補修で対応できますが、耐用年数を超えて広範囲に劣化が及んでいる場合は、葺き替えやカバー工法が必要になることがあります。屋根材が劣化しても、ルーフィング(防水シート)に問題がなければ、すぐに雨漏りするとは限りません。屋根材とあわせて、耐久性のあるルーフィングを選ぶことが大切です。
ルーフィングの経年劣化
| ルーフィングの種類 | 選ぶ際のポイント |
|---|---|
| アスファルトルーフィング940 | JIS A 6005に適合する汎用的な屋根下葺材。耐久性や保証は製品ごとに確認する |
| 改質アスファルトルーフィング | ゴムや樹脂を加えたアスファルトを用いる下葺材。規格、基材、施工方法などで性能が異なる |
| 合成繊維不織布を使ったルーフィング | 不織布は基材の一種。耐用年数を一律に判断せず、製品仕様や保証内容を確認する |
ルーフィング(防水シート)は、屋根下地の野地板へ雨水が浸入するのを防ぐ屋根下葺材です。種類名だけで耐用年数を一律に決めることはできません。同じ区分でも、製品仕様、施工方法、組み合わせる屋根材、気候条件などによって劣化時期が異なります。屋根の補修や更新を検討するときは、防水シートの状態も点検し、必要に応じて交換しましょう。屋根材より先に劣化すると、交換のために屋根材の撤去が必要になる場合があります。エスジーエルなど耐食性の高い鋼板製屋根材を選ぶときは、その保証や想定使用期間に合わせて、防水シートの製品仕様と耐久性も確認してください。雨漏り修理では、両者の組み合わせを専門業者に提案してもらうことが大切です。

棟板金や破風など板金の浮きやサビ
屋根面の端などに施工される板金部分は、屋根材本体よりも雨や風の影響を受けやすい部分です。浮きやサビが生じると雨漏りにつながるため、屋根材とあわせて補修する必要があります。棟板金や雨押さえなどは、屋根の雨仕舞いを構成する部材です。雨仕舞いとは、建物内への雨水の浸入を防ぐ納まりや方法全体を指します。主な板金・関連部材は以下のとおりです。
- 棟板金
- 破風板(はふいた)
- 笠木
- 雨押さえ
- 谷どい
金属屋根には、トタン、ガルバリウム鋼板、エスジーエルなどを用いた製品があります。トタン屋根を含む金属屋根の修繕時期は、塗装仕様、立地、施工状態、維持管理によって異なるため、約10年と一律には判断できません。浮き、さび、塗膜の剥がれなどが見られる場合は、屋根材と板金部材を点検してもらい、補修や交換の必要性を判断しましょう。
工事業者の施工不良
1年以内など直近で屋根リフォームをしていた場合、雨漏りの原因が工事業者による施工不良である可能性もあります。例えば、以下のようなケースです。
- スレート屋根の塗装で縁切りがされていない
- 棟板金が脳天打ち(縦方向に打つこと)で施工されていた
- 外壁との取り合いのコーキング処理(隙間を埋める作業)が不十分だった
専門知識がなくても「仕上がりが雑」と気づけることはありますが、写真だけで雨漏りの原因となる施工不良を見抜くのは困難です。専門資格をもち、施工実績の豊富な業者に依頼しましょう。
屋根の雨漏り修理は自分でできる?
室内でバケツを置くなど安全な範囲の応急処置は、自分でもできます。しかし、ブルーシートの設置を含む屋根上の作業や雨漏り修理は、以下の理由から専門業者に依頼しましょう。
- 転落や感電の危険がある
- 建物の寿命が短くなる恐れがある

転落や感電の危険がある
屋根の雨漏り修理は高所作業のため、足を滑らせて転落したり、電気配線に触れて感電したりする危険があります。命にかかわる事故につながるおそれもあるため、専門知識と経験のある業者に依頼してください。平屋の屋根も、2階建てより低いとはいえ危険です。自分で修理しようとせず、屋根に上らないでください。
建物の寿命が短くなる恐れがある
雨漏りの発生箇所を自分で判断して修理すると、本当の原因を見逃すおそれがあります。原因を放置すれば被害が広がり、住宅の構造部分に使われる木材や合板が腐食して、大規模な工事が必要になることもあります。また、湿った木材はシロアリ被害を招きやすく、建物の重要な構造材が食害される危険もあります。雨漏りが起きたときは、専門業者に診断と修理を依頼してください。
屋根の雨漏りはどこに頼むべき?修理業者を選ぶポイント
屋根の雨漏り修理を依頼する業者は、以下の2点を確認して選びましょう。
- 建築士や雨漏り診断士が在籍しているか
- アフターフォローが充実しているか
施工が不適切だと雨漏りが再発し、再修理や追加の補修で費用が割高になるおそれがあります。そのため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
建築士や雨漏り診断士が在籍しているか
国家資格である建築士や、NPO法人雨漏り診断士協会が認定する雨漏り診断士など、住宅の構造と雨漏りに詳しい人が在籍しているかを確認しましょう。雨漏りの原因特定は難しく、屋根材や住宅の構造など、さまざまな情報から修理方法を判断する知識と経験が求められます。
国民生活センターによると、屋根工事の点検商法に関する相談は2022年度に2,885件あり、2018年度の約3倍に増加しました。2026年7月更新の同センター資料でも、屋根工事を含む訪問販売リフォームの相談が報告されています。突然訪問した業者に不安をあおられても、その場で点検や契約を依頼せず、複数の事業者に相談してください。業者の保有資格に加え、実績や対応内容も確かめましょう。
※ 参考1:国民生活センター|屋根工事の点検商法のトラブル
※ 参考2:国民生活センター|訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
アフターフォローが充実しているか
雨漏りの原因特定は難しく、1回の修理で完全に解消できるとは限りません。発生箇所は屋根だけでなく、外壁やベランダなどのこともあり、修理から半年〜1年後に再発するケースもあります。アフターフォローが充実した会社であれば、再発時に無料で点検してもらえることがあります。「1年間の保証期間内なら無償で修理を行います」とする会社もあるため、業者選びの段階で保証内容を確認してください。
屋根の雨漏りを悪化させないための対策
屋根からの雨漏りによる被害を広げないために、日頃から以下の対策を行いましょう。

天井や壁にシミがあれば専門業者に相談する
天井や壁のシミは、すでに雨漏りが起きている可能性を示すサインです。見つけたら、早めに専門業者へ相談してください。雨漏りは屋根だけでなく、外壁、ベランダ、サッシ(窓)、換気扇などから起こることもあります。シミが現れた段階で、屋根や外壁の下地、構造部分の木材まで濡れ、腐食しているおそれがあります。点検を受け、必要な箇所を補修しましょう。
雨樋を定期的に掃除する
雨樋に落ち葉や汚れがたまると、屋根から流れる雨水をうまく排出できません。あふれた水が劣化した軒部分から浸入したり、軒裏や外壁を伝ったりすると、屋根以外の箇所でも雨漏りが起こりやすくなります。こまめに掃除して排水機能を保つとともに、劣化や破損がないかも点検しましょう。
定期的に屋根の補修・点検を行う
雨漏りが起きると、屋根だけでなく、室内の内装材(壁紙など)の補修や家具・家電の買い替えにも費用がかかります。約6畳の天井クロスだけを張り替える費用は、およそ3万〜6万円が目安です。石膏ボードや下地まで傷んでいれば、別途補修費が必要です。メンテナンス費用を抑えるには、雨漏りが起きる前に屋根を点検・補修しましょう。定期的な塗装が必要な屋根材は、10年前後で塗装時期を迎えることが多いため、そのタイミングで屋根の状態も点検してもらいましょう。
屋根の雨漏り修理の施工事例
屋根の雨漏り修理を行った3件の施工事例を紹介します。

【Q&A】屋根の雨漏り修理のよくある質問
屋根の雨漏り修理で申請できる補助金・助成金はある?
平時の一般的な雨漏り修理や、葺き替え・屋根カバー工法だけを対象にした国の補助制度は、原則としてありません。ただし、2026年度の「みらいエコ住宅2026事業」では、一定の組み合わせで行う省エネリフォームの一部として、屋根・天井の断熱改修が補助対象になる場合があります。対象住宅は原則として2016年12月31日以前に新築された住宅で、交付申請は遅くとも2026年12月31日までですが、予算上限に達すると早期に終了します。自治体独自の耐震改修、災害復旧、住宅リフォーム支援制度を利用できる場合もあるため、工事を始める前に施工業者とお住まいの自治体へ確認しましょう。
※ 参考1:みらいエコ住宅2026事業|リフォームの対象要件
※ 参考2:住宅省エネ2026キャンペーン|補助対象リフォームMAP
※ 参考3:国土交通省|リフォームをお考えの消費者の方


屋根の雨漏り修理で火災保険に申請してもいい?
台風や暴風などの風災で屋根が損傷し、その結果として雨漏りが発生した場合は、契約内容によって火災保険の補償対象になることがあります。一方、経年劣化や自然消耗によって生じた損害は、一般に補償対象外です。補償範囲や免責金額は契約によって異なるため、保険証券や契約内容を確認し、保険会社または代理店へ相談しましょう。
※ 参考1:日本損害保険協会|火災保険はどのような保険ですか
※ 参考2:日本損害保険協会|風水雪災等による損害を補償する損害保険

屋根の雨漏り修理にはどれくらい期間が必要?
部分補修は1日で終わることもありますが、葺き替えやカバー工法では7〜10日が目安です。工期は雨漏りの原因、屋根の状態、築年数などによって異なるため、点検時に確認してください。
屋根の雨漏り修理費用を安く抑える方法はある?
すぐに対処が必要な場合は、近くの専門業者へ連絡してください。緊急でなければ、複数の業者から相見積もりを取ると、費用と施工内容を比較できます。雨漏りの原因特定と修理方法の判断には、建物の構造に関する知識が必要です。再修理による追加費用を防ぐためにも、施工実績が豊富で、専門資格をもつ業者を選びましょう。
















