2023年11月08日更新
屋根のシート防水の補修方法と費用相場を解説!
陸屋根などの屋根材を用いない住宅では、屋上部分に樹脂やゴム製のシートを用いて雨水を防いでいます。このシート防水が破損した場合、どのように補修を行えば良いのでしょうか?補修の方法と費用の抑え方、火災保険の利用などについてご紹介します。
目次
屋根の構造
一般的な屋根は下から、野地板(のじいた)・防水シート・屋根材の順に重なっています。
野地板には主に木をベースにした合板やコンパネ(コンクリートパネル)が用いられており、屋根の下地材として使われています。
近年建てられた住宅のほとんどの屋根は上記のような構造になっていますが、築年数が古い瓦屋根の場合は防水シートではなく、土が敷き詰められていることがあります。
これは「土葺き工法」と言って、ひと昔前までの瓦屋根では主流の工法でした。
土は瓦を固定する以外に雨水を吸収する働きがあるので、雨漏り防止の効果が期待されていました。
防水シートの役割
屋根材の下に敷く防水シートは、別名ルーフィングシートとも呼ばれています。
ルーフィングシートの主な原料はアスファルトのため「アスファルトルーフィング」とも呼ばれています。
通常、屋根材がきちんと施工されていてもゲリラ豪雨などの強い雨や、横殴りの雨が降ると瓦などの屋根材のすき間から雨水が入り込んでしまいます。
しかし屋根や屋上、屋根下に防水シートがあることで雨水が浸入したとしても排水されていきます。
もし防水シートがなかった場合には、浸入した雨水が排出されず、野地板や天井などに雨水が染み込んでしまうでしょう。
そして建物に使用されている柱や梁などの木材が腐食し、雨漏り被害が発生してしまいます。
雨水が溜まらないように排出し雨漏りを防ぐために防水シートは重要な役割を担っているため、屋根材と同じくらいまたは、それ以上に大切な建材と言えるでしょう。
屋根の防水シート補修のタイミングはいつ?
屋根の防水シートの補修のタイミングは、屋根の状態を見て判断することができる場合と、防水シートの耐用年数で判断する場合があります。
屋根の欠陥が見つかった時
屋根を定期点検しているときに、防水シートの浮きや破れているのを見つけたら、防水シートの補修をするタイミングです。
また、雨漏りやひび割れ、雑草が生えているなどの場合も屋根補修のサインですので、すぐに業者に連絡を取るようにしましょう。
防水シートの耐用年数
防水シートには耐用年数があるため、その耐用年数が過ぎる頃も防水シートの補修のタイミングになります。
屋根のシート防水が破損したときの補修方法
屋根のシート防水が破損したときには、どのような修繕の方法があるのでしょうか?修繕方法は破損の範囲や状況によっても変わってきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
屋根のシート防水を部分補修する方法
部分的に屋根の防水層が破損している場合は、破損している部位を切り抜き、下地を作り直してからシートを貼り付けて防水を行います。
ただし、シート防水は複数のシートを重ね合わせて耐水層を形成しているため、カットして新しい防水シートを貼り付けるだけでは十分な性能を発揮することができません。
そのため、部分的な補修を行う場合には、下地処理の後にウレタン防水塗料を塗布してシートとの隙間からの雨漏りを防止し、仕上げにウレタン防水層を保護するコーティングを施す場合もあります。
施工費用は補修範囲にもよりますが、約1万円から、耐用年数については、既存のシート防水を交換するまでが目安です。
部分補修は費用を抑えつつ防水性能を回復させることができますが、隙間からの水漏れが起こる可能性がありますし、既存部分の耐用年数次第ではすぐに全面リフォームが必要になるというデメリットがあります。
屋根のシート防水を全面補修する方法
屋根のシート防水を全面的に補修する場合は、既存のシートを全て取り除き、新しい防水シートを設置します。
屋根全体の防水層を新しくすることができるため、補修部分から雨漏りが起こらず、また耐用年数についても新品に交換することになるため、長期間使い続けることができるでしょう。
雨漏りのリスクも抑えられ、交換後の耐用年数も長いのが全面補修のメリットですが、施工範囲が広いことから、費用が割高な点はデメリットと言えます。
シート防水の全面リフォームにかかる費用は、1平方メートルあたり約5,000円が相場ですので、予算や既存の防水シートの寿命などを考慮して部分補修か全面補修かを選ぶと良いでしょう。
塩化ビニールシートを使った工法について
塩化ビニールシートを用いた防水工法は、屋上の防水に多く用いられています。
塩化ビニールをシート状に成型したものを、接着剤を用いて屋根に貼り付ける形で施工されており、柔軟で加工がしやすいことから、複雑な形状にも適用可能です。
また、接着剤で貼り付けるだけで施工が完了するため、塗料を用いる防水と違い、施工してすぐに人が歩けるのもメリットだと言えるでしょう。
ただ、アスファルトを用いた防水などと比べると耐用年数が約15年と短いため、こまめなメンテナンスが必要です。
施工費用は1平方メートルあたり約5,000円から、工期については、一般住宅なら約1日が目安とされています。
ゴムシートを使った工法について
ゴムシート防水とは、シート状に薄く成形した合成ゴムを用いて行う防水工事です。
塩化ビニールシートを用いた防水と同じく、接着剤などを用いて施工することができ、温度変化による体積の変化などが少ないため、気候による制限が少ないというメリットがあります。
ただ、材料がゴムのため、塩化ビニールシートに比べるとやや破損しやすい傾向があり、とがった金属などが触れると裂けてしまう可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
施工費用は1平方メートルあたり約3,000円から、工期については、塩化ビニールシートと同じ手順で施工することができるため、約1日が目安とされています。
ゴムシート防水は施工費用が安価ですが、耐用年数が約12年と短いため、定期的に張替えを行いたいという方におすすめの工法です。
屋根の防水補修工事に使われるシート防水の種類と特徴とは?
屋根の防水補修工事には、シート防水と呼ばれる工事があります。
シート防水では特殊なシートを使って簡易的に工事ができる上に、伸縮性のあるシートを使うことで下地の影響も受けにくいのが特徴です。シート状になっているという特性から、凹凸のない平らな屋根の防水に適しています。
シート防水には、主に2つ種類があります。
- ゴムシート防水
- 塩化ビニールシート防水
それでは、それぞれの特徴と耐用年数、さらに費用相場も紹介していきます。
ゴムシート防水の特徴とメリット・デメリット
ゴムシート防水は屋上防水によく使われる工法で、加硫ゴムを主原料にしたシートを接着剤によって固定する工法です。
ゴムシート防水のメリット
接着剤と粘着テープで貼り付けるだけなので施工がしやすく、工期も短く済むので、人件費等の費用が比較的抑えられることがメリットです。
ゴムシート防水のデメリット
一方で、ゴムシートは伸縮性があるものの複雑な形状の屋根面には向いていない点がデメリットになります。
加えて、厚みが薄いので傷つきやすいというデメリットもあるため、カラスなどの鳥によりシートに穴を開けられてしまうこともあり、鳥よけの薬品を置くなどの対策が必要です。
ゴムシート防水の耐久年数と施工費用
熱に強く耐久性が高いゴムシートの耐久性は10年~12年ほどです。
また、その施工費用は、1㎡あたり約3,000円~5,000円です。
塩化ビニールシート防水の特徴とメリット・デメリット
塩化ビニールシート防水は、ゴムシート工法と同じように、屋根の防水工事でよく行われています。塩化ビニール樹脂系のシートで防水するので、仕上がりが美しいのが特徴です。
塩化ビニールシート防水のメリット
塩化ビニールシートは、熱だけでなく紫外線にも強く、優れた耐久性があります。またゴムシートよりも厚みがあり、鳥などによる被害も少なく、施工後はシート上を歩くこともできます
塩化ビニールシートは燃えにくいだけでなく、炎さえなくなればシート自らが消火する事故消火性という性質があり、安全性が高いのも特徴です。
塩化ビニールシート防水のデメリット
塩化ビニールシートのデメリットは、平らな面にしか施工ができないということです。また、シートのジョイント部分を薬品か熱によって溶かして一体化させるという工法が取られるため、その接合部分から剥離が見られることがあります。
施工には高い技術力と経験が必要です。
塩化ビニールシート防水の耐久年数と施工費用
塩化ビニールシート防水の耐久性はゴムシートよりも長く、耐久年数は15年~20年ほどです。
施工費用は1㎡あたり約4,000円~6,000円です。
屋根のシート防水補修工事の工法とは?
屋根のシート防水補修工事の工法は、シートの素材に合わせて違います。
加硫ゴム系シートの工法
加硫ゴム系シートの防水工法は、「密着工法」と「断熱工法」、そして「ペーパーフリー工法」の3つがあります。
「密着工法」
「密着工法」とは、防水シートを下地に接着剤等で完全に密着させる工法で、工期が比較的短いのがメリットです。
「断熱工法」
「断熱工法」は防水シートの下に断熱材を施す工法で、屋根の上面または室内側に設置します。
「ペーパーフリー工法」
「ペーパーフリー工法」とはゴム製のシートに通気性のシートを重ね合わせたシートを使い、下地の湿気を拡散することでシートが膨らまないようにする工法です。
既存の防水シートを撤去して施工を行う場合と、既存の防水シートの上から施工を行う場合があります。
塩化ビニールシート防水の工法
塩化ビニールシート防水の工法には、「機械的固定方法」と「接着工法」があります。
「機械的固定方法」と「接着工法」
「機械的固定方法」とは固定ディスクで防水シートを固定する方法で、「接着工法」は接着剤によって防水シートを固定します。「機械的固定方法」は下地の状態に影響を受けにくいのに対して、「接着工法」を使用する場合は下地が十分に乾燥しているかなど下地の状態が影響します。
屋根の防水シートが劣化したときの対処について
屋根の防水シートが劣化すると、どのような症状が現れるのでしょうか。
防水シートの劣化を発見した場合、「防水シートを修理する」「防水シートを交換する」の2つの方法があります。
屋根の防水シートが劣化したときの症状や対処法などそれぞれ見ていきましょう。
防水シートの劣化の見分け方
防水シートは屋根の表面部分に貼り付けてあるので、劣化症状が目視で確認しやすくなっています。
目視で確認しやすい分、雨漏りになって被害が出る前に劣化症状を見つけることが可能です。
では、どのような劣化症状なのか具体的にご紹介します。
- 防水シートにひび割れや断裂が見られる
- 草や木が生えてきている
- 防水シートが膨れたり浮き上がったりしている
- 草や木が生えてきている
- 防水シートが突っ張っている
- 防水シートの接合部分が剥がれている
- 雨水が溜まりやすい
上記のような症状が現れた場合、屋根の防水工事専門業者に一度調査してもらうといいでしょう。
防水シートの修理方法
防水シートに劣化やひび割れなどの劣化が確認された場合、雨水が浸入してしまう恐れがあるため、なんらかの対策が必要になります。
部分的に劣化症状がある場合、劣化部分に防水シートを増し張りまたは、張り替えをします。
また、物を落したり何かのきっかけで防水シートを傷つけてしまった場合、そのまま放置すると雨漏りの原因となるため例え小さな傷でも修理をしましょう。
修理方法は、傷の周辺の汚れをアルコールで落し、ガムテープまたはアルミテープなどを傷に貼り付けます。
応急処置としての修理のため傷をそのままにせず、屋根の専門業者に相談し防水シートの増し張りなどをしてもらいましょう。
防水シートの交換方法
全面的に防水シートの膨れやひび割れなどの劣化症状が見られた場合は、部分的な修理をするのではなく全面的な防水シートの交換工事を行います。
防水シートの交換方法はまず、既存の防水シートを完全に撤去してから、新しい防水シートの張り付けまたは防水工事をします。
防水シートは塗装と比べてつなぎ目ができてしまうので、つなぎ目の部分から亀裂やヒビが入ったり、劣化する確率が高くなります。
そのため、部分的な補修をしてもつなぎ目や、他の古い防水シートが劣化してしまう可能性があるでしょう。
何回も防水工事を行いたくない人は、今後のことを考えると防水シートを全て交換した方が良いのかもしれません。
屋根のシート防水の補修に火災保険は適用されるかについて
屋根からの雨漏り修理における火災保険風災認定の適用要件について
火災保険では、風災害によって発生した建物の損壊に対しての補償を受けられる場合があります。
これは、火災保険に風災補償が付帯されていることが条件です。
屋根のシート防水が破損して雨漏りを起こしている場合、火災保険で定められた風災害が原因として認められれば、修理費用を火災保険でまかなうことができます。
ただし、経年劣化による破損や、風災害以外の要因で発生した破損については、火災保険でまかなうことはできませんので、注意しておきましょう。
また、被害発生から申請までに3年以上が経過している場合も、災害が原因かどうかの判断が難しくなるため、火災保険を利用することができません。
火災保険の対象となる風災・雪災・雹災とは
火災保険の風災に対する補償では、どのような災害が対象となるのでしょうか?
一般的な火災保険で補償される災害は、台風や突風などの風が原因で被害が発生する「風災」、大雪などで建物に負荷がかかって破損する「雪災」、雹が建物にぶつかって起こる「雹災」があります。
適用条件は、風災の場合が瞬間最大風速20m/sであること、積雪や雹については、大雪であること、気象庁の発表で雹が降ったことがわかることなどです。
軽量鉄筋の住宅屋根は補償外になる可能性が高い
火災保険では、契約内容によっては修理にかかる費用が20万円を下回る場合には、補償を受けることができない場合があるので確認しておきましょう。
軽量鉄筋を用いた住宅などの強度が高い建物の場合、木造住宅に比べて被害が小さくなる傾向があります。
そのため、修繕部位がシート防水の一部分だけになることなども多く、火災保険の補償が受けられる金額以下で修理できてしまう可能性が高いのです。
軽量鉄筋住宅は火災保険の風災害適用を受けにくい傾向がありますが、災害発生時に建物の構造に関係するダメージを受けにくく、建物の寿命に影響が出にくい、修理の手間がかからないという点はメリットだと言えるでしょう。
屋根のシート防水の補修費用を抑える方法
屋根のシート防水の補修にかかる費用を抑えることはできるのでしょうか?
基本的に、シート防水の補修にかかる費用はどれだけの範囲の防水シートを交換するかによって変わります。
そのため、小規模な破損が起きている段階ですぐに修理を行えば、修繕にかかる費用を抑えることができるでしょう。
屋上部分に登れる建物なら自力で、登るのが難しい場合は業者に定期調査を依頼し、シート防水に破損がないかどうかをこまめに確認することが、修繕にかかる費用を抑えるコツと言えます。
できれば最低3年に1度は信頼置ける業者に、屋根や天井裏などの点検をやってもらうと良いでしょう。検査と簡単なタッチアップ程度なら半日で1~2万円で済みます。
部分補修と全面補修はどうやって判断すると良いのか?
シート防水を補修する方法には、部分的に補修を行う部分補修と、全体を貼り替える全面補修とがあり、費用面で考えると部分補修の方がコストを抑えて修理することができます。
しかし、部分補修では既存部分の防水シートを交換しないため、既存部分の防水シートが耐用年数を迎えてしまうと、部分補修箇所も含めた交換が必要です。
防水シートが施工から何年経過しているかや、破損部位の大きさなどから、どちらの工法で対応するか決めることも、費用を抑えるための重要なポイントだと言えます。
屋根の防水工事は結構費用もかかり、素人には分かりにくい面があり悪徳業者の入りこみ易いリフォーム工事です。業者選定には十分注意をしましょう。
できれば地元で長く仕事をしているリフォーム業者があれば、相談するのも良いでしょう。
屋根をリフォームする際の最適なリフォーム会社の選び方
屋根をリフォームする際、最適なリフォーム会社を選ぶためには、屋根の専門業者や屋根リフォームの実績が多い会社を選ぶといいでしょう。
特に屋根の防水工事は知識や経験、技術が必要になるため、防水シートを屋根に施工したい場合、屋根の防水工事の実績が多い会社を選ぶ必要があります。
屋根のリフォームを依頼する前に、そのリフォーム会社が屋根に詳しいかどうか、口コミや実績などを見て確認します。
また屋根リフォームは、きちんと施工しないと雨漏りの原因となったり、トラブルの原因となるため、アフターフォローがしっかりしていて誠実な業者を選びましょう。
リフォーム会社から的確な提案をもらうためには?
リフォーム会社から的確な提案をもらうためには、屋根の劣化や雨漏りなど、どこを改善したいのかをきちんと伝えられるようにします。
予算を明確にし、予算の範囲で行うためにはどのような方法があるのか、業者と相談しながら決めていくといいでしょう。
また費用をあまりかけない方法として、屋根の劣化を見つけたらできるだけ早めに依頼することです。
その他に、屋根のデザインを変えたい場合は、どのような屋根にしたいかイメージしておくといいでしょう。
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