2023年11月20日更新
家庭用蓄電池の価格相場について詳しく解説!
家庭用蓄電池は高いイメージがありますが、実際にはどれくらいするのでしょうか。この記事では、蓄電池の相場価格や価格の推移、価格の違いによる蓄電池の違いのほかに、蓄電池を購入するときのポイントや使える補助金について解説します。
家庭用蓄電池は電気を貯めておくことができ、必要な時に電気機器に電気を供給することができるバッテリーです。
ハピすむでは、家庭用蓄電池の価格相場について、種類やメーカーなどによる違い、価格による性能の違いなどをご紹介し、最適な家庭用蓄電池を購入できるようお手伝いいたします。
また蓄電池購入に使える補助金や安く蓄電池を購入する方法などについてもご紹介します。
家庭用蓄電池の購入をご検討の方はぜひご参考ください。
目次
- 1 家庭用蓄電池の価格相場
- 2 主要メーカーの蓄電池の価格帯
- 3 家庭用リチウム蓄電池の価格推移
- 4 価格が高い家庭用蓄電池と安い家庭用蓄電池の違い
- 5 価格に関する家庭用蓄電池の購入するときのポイント
- 6 蓄電池を安く買うには
- 7 家庭用蓄電池の購入に使える補助金
- 8 蓄電池とは?家庭用蓄電池の特徴
- 9 消防法が規定する蓄電池の設置場所とは?
- 10 屋内型と屋外型の蓄電池の適切な設置場所とは?
- 11 蓄電池の間違った設置場所とは?
- 12 リフォームの際に活用したい蓄電池の設置費用の相場は?
- 13 蓄電池の設置費用は住宅ローンに組み込める?
- 14 蓄電池の導入にかかる初期費用の相場
- 15 蓄電池にかかった経費を回収するのは難しい?
- 16 蓄電池購入で使える補助金制度はあるのか?
- 17 蓄電池の寿命はどう表されている?寿命を過ぎても使える?
- 18 蓄電池の法定耐用年数と実際の寿命
- 19 蓄電池の寿命と交換時期の目安
- 20 蓄電池設置に関する補助金
- 21 太陽光発電に使用する蓄電池は補助金の対象になる?
- 22 蓄電池の普及率は今後どうなっていくのか?
- 23 蓄電池は今後価格が下がることはあるのか?
- 24 蓄電池に適用される補助金は今後もあるのか?
家庭用蓄電池の価格相場
家庭用蓄電池の種類と価格
家庭用の蓄電池として使われているのは、主に「リチウムイオン電池」「鉛畜電池」「NAS電池」「ニッケル水素電池」の4種類です。
ここではそれぞれの特徴と価格相場を紹介します。
「リチウムイオン電池」
「リチウムイオン電池」は小型でありながら容量が大きいので、携帯電話やノートバソコンに使われている電池として有名です。
モバイル機器だけでなく、大型施設などでも大容量用の電池として使われています。
「リチウムイオン電池」のコストは高額だと知られていましたが、年々、その価格は下がっており、2018年の価格相場は約10万円/1kWhです。
「鉛畜電池」
最も歴史のある「鉛畜電池」は自動車のバッテリーや非常時のバックアップ電源などに使われています。
「鉛畜電池」を使用するときには、過放電を行わないようにして、使った後はすぐに充電します。
「鉛畜電池」の価格相場は約5万円/1kWhと低価格です。
「NAS電池」
「NAS電池」とは日本ガイシが製造している蓄電池で、蓄電容量の多さから大規模な電力貯蔵施設や工場などのたくさんの電気を使う施設でのバックアップのための電池として期待されています。
相場価格は約4万円/1kWhと低く、製造に必要な資源も豊富にあることから、さらなる価格低下も可能だと言われています。
「ニッケル水素電池」
「ニッケル水素電池」はリチウムイオン電池が登場するまではよく使われていた蓄電池で、今でもハイブリッドカーのバッテリーや鉄道用の地上用の蓄電設備等で使用されています。
「ニッケル水素電池」のデメリットは、他の蓄電池と比べると5~7年と寿命が短いことなどが挙げられます。
しかし過充電や過放電にも耐えられて、高温環境下でも使えるといったメリットがあります。
「ニッケル水素電池」の価格相場は約10万円/1kWhです。
家庭用蓄電池を導入する場合にかかる費用の相場
ポータブルタイプの蓄電池なら蓄電池の本体価格だけですので、数十万円で導入できます。
しかし据え置きタイプの蓄電池だと、容量次第ですが、導入費用は100万円を超えるでしょう。
蓄電池の導入には、主に蓄電池本体の購入費用と設置工事の費用、さらに電気系統の接続のための工賃が必要です。
蓄電池本体が100万円前後~200万円ほどまであるので、導入費用が100万円以下で収まることはないでしょう。
主要メーカーの蓄電池の価格帯
メーカー | 容量ラインナップ | 相場価格 |
---|---|---|
オムロン | 4.2kWh〜16.4kWh | 140万円〜200万円 |
シャープ | 4.2kWh〜13kWh | 130万円〜270万円 |
ニチコン | 4kWh〜14.9kWh | 110万円〜250万円 |
パナソニック | 3.5kWh〜12.6kWh | 140万円〜270万円 |
京セラ | 5kWh〜15kWh | 160万円〜250万円 |
オムロン
オムロンは環境に配慮した事業に意欲的で、太陽光発電と蓄電システムを連携させ省エネを目指しているメーカーです。
オムロンの家庭用蓄電池はサイズが小さくコンパクトなため、設置場所に困らないという特徴があります。
オムロンにはハイブリット型とフレキシブル型両方の種類の蓄電池があります。
シャープ
シャープの家庭用蓄電池は業界の中でも大きなシェアを占めています。
蓄電池を使いこなすためのサポートがしっかりとしていて、電気の使用状況が一目でわかるようなシステムを搭載しています。
太陽光発電との連携にも優れ、管理がしやすいという特徴もあります。
ニチコン
ニチコンは家庭用蓄電池の分野でトップシェアを争っているメーカーです。
ニチコンの家庭用蓄電池は急な停電に強く、電気自動車の利用に便利という強みを持っています。
アフターサービスや補償制度などが整っている点も魅力です。
パナソニック
パナソニックの家庭用蓄電池は蓄電能力に優れ、長寿命という強みがあります。
自動的に充電をしたり、過充電になることを防いでくれるシステムが搭載されているため、手入れが簡単です。
家電メーカーとして様々な製品を製造しているため、スマート機器などとの連携にも優れています。
京セラ
京セラの家庭用蓄電池は長寿命と高安全性、そして見守りサポート機能の充実という強みを持っています。
また京セラの家庭用蓄電池はサイズがコンパクトなため、設置場所を確保しやすいです。
周囲温度が-20〜+40℃まで対応している蓄電池もあり、寒い地域でも室外に蓄電池を設置することが可能です。
家庭用リチウム蓄電池の価格推移
高額で知られる家庭用リチウム蓄電池ですが、近年、その価格は下落傾向にあり、そのお陰もあって、需要が少しずつ伸びています。
ここでは家庭用リチウム蓄電池の価格の現状と売り上げの関係を見ていきましょう。
家庭用リチウム蓄電池の価格は年々安くなっている
家庭用リチウム蓄電池の価格は年々低くなっていると言えます。
例えば、5年前と比較すると、家庭用リチウム蓄電池の価格の下落率はおよそ25%にもなります。
ただし蓄電池の価格はその時の為替や原材料費などに大きく左右されるので、こうした下降傾向がいつまでも続くとは限りませんが、ここ数年の価格の下降は目を見張るものがあります。
価格の下落と連動するかのように、家庭用リチウム蓄電池の売り上げは、年々、上昇傾向にあり、市場におけるニーズの高さが注目されています。
価格が高い家庭用蓄電池と安い家庭用蓄電池の違い
家庭用蓄電池の価格帯は広く、同じ蓄電容量の蓄電池でも価格の高い蓄電池と低い蓄電池とでは、70万~100万円ほどの価格の開きがあります。
では、価格の高い蓄電池と低い蓄電池ではどのような違いがあるのでしょうか。
家庭用蓄電池は機能やスペックによって価格が推移する
家庭用蓄電池は、蓄電池がどのような機能を持っていて、どのようなスペックかによって、価格が変わります。
同じ蓄電容量の蓄電池でも、太陽光発電との連携、専用タブレットでの操作、または容量に対して小型など機能やスペックに違いがあり、機能やスペックが上がれば蓄電池の価格は高くなり、下がれば価格は低くなります。
安い家庭用蓄電池の注意点
同じ家庭用蓄電池なのだから価格が低いがお得なのではないかと思いがちですが、安い蓄電池を購入する場合には気を付けたいポイントがあります。
家庭用蓄電池は設置すれば終わりというものではなく、その後の定期的なメンテナンスなどのアフターフォローが必要です。
安く蓄電池の購入を勧める業者はアフターフォローがなく、蓄電池の保障が充実していないこともあるので、購入前に長期的な視点を持って確認しましょう。
価格に関する家庭用蓄電池の購入するときのポイント
家庭用蓄電池を購入するときには、太陽光発電と連携するタイプかどうか、貯める電気の量「蓄電容量」、さらに蓄電可能容量を示す「サイクル寿命」などチェックするべきことがいろいろとあります。
加えて、蓄電池の購入価格においても知っておきたいポイントがあります。
ここでは、蓄電池の価格に関する購入時のポイントについてご紹介します。
家庭用蓄電池の価格は見積もりを取って確認
家庭用蓄電池を購入するときは、必ず見積もりを取ってから購入しましょう。
家庭用蓄電池を導入するときに必要となる費用は、蓄電池の本体の価格と蓄電池の設置工事費用、そして電気工事です。
これらの費用を合算していくらになるのかを見積もりによって知ることができます。
家庭用蓄電池の購入にはローンが使える
家庭用蓄電池の購入には、金融機関による住宅ローンやリフォームローンが使えます。
住宅ローンは長期返済が可能ですが、土地や建物を担保にしなくてはならないだけでなく審査にも時間がかかります。
一方、リフォームローンは借入期間が10年ほどですが、担保なしで融資を受けられるというメリットがあります。
住宅ローンやリフォームローンはそれぞれ条件が違いますが、家庭用蓄電池の導入費用は高額となることが多いので、資金面で躊躇しているのであればローンを検討してみてはいかがでしょうか。
蓄電池を安く買うには
蓄電池はそのほとんどが数百万円以上するため、なるべく費用を抑えて購入したいものです。
ここでは蓄電池をなるべく安く購入するためのポイントについてご紹介していきます。
容量が小さい蓄電池を選ぶ
蓄電池の価格は、容量によって大きく変わってきます。
蓄電池の容量は基本的に1日で充電ができ、放電できる最大の容量のことを表しています。
容量が小さいほど価格は安くなる傾向にあるため、費用をなるべく抑えたい場合には蓄電池の容量が小さいものをおすすめします。
蓄電池の容量は3kWhくらいから16kWhのものまでと幅が広いです。
目安として6.5kWhの蓄電池は停電時時にも使用したい電化製品(冷房(650W)テレビ(150W)照明2つ(100W×2)、携帯電話の充電2台分(15W×2))を同時に5時間ほど使うことができます。
蓄電池をどのような目的で使用するのか、何人家族なのかなどから必要な容量を把握し、状況に合わせて最適な蓄電池を選ぶことが大切です。
型落ちした製品は安くなる
家庭用蓄電池は様々なメーカーから新商品が出ています。
最新モデルが市場に出ると、旧型の型落ちしている製品は値下げして販売されます。
型落ち商品だからといって品質や機能、容量などには特に問題ないことがほとんどです。
型落ち製品の中には発売から1〜2年くらいしか経過していないものもあり、新製品とほとんど変わらないものもあります。
新製品が発売される1〜3ヶ月前に型落ち製品は安くなる傾向にあります。
新製品の発売情報を見かけるようになったら、型落ち製品を手に入れるチャンスだと言えます。
新機能などにこだわりがなく、なるべく安く蓄電池を購入したい方は型落ち製品を検討してみてはいかがでしょうか。
相見積もりで比較する
蓄電池を購入する際には、複数の販売店から相見積もりをとり、価格を比較することが蓄電池を安く購入するためには大切です。
蓄電池の価格はメーカーがそれぞれ希望小売価格を提示していますが、実売価格としてはあまり参考にはなりません。
蓄電池の実売価格は、販売店によって大きく変わってくるのです。
そのため蓄電池購入の際には1社から見積もりをとるのではなく、複数社から見積もりをとり、実売価格の相場を把握するようにしましょう。
こちらから簡単に無料で見積もりが出来ますので、ぜひハピすむのリフォーム費用の無料相見積もりをご利用ください。
家庭用蓄電池の購入に使える補助金
家庭用蓄電池を購入するときに使える補助金には、国が支援する補助金と自治体が支援する補助金があります。
ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
家庭用蓄電池の国からの補助金について
国による家庭用蓄電池の補助金として、「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業比補助金」があります。
この補助金はSII(環境共創イニシアチブ)という一般社団法人が、国が奨励、支援するプロジェクトを事業として推進しています。
着目すべき条件は、蓄電池の導入時にすでに太陽光発電の設備が設置されているか、もしくは太陽光発電設備も同時に導入・設置する場合に補助金が支給されることです。
つまり蓄電池の購入と設置だけではこの補助金は利用できません。
補助対象は受給対象となる製品や製品の上限価格などのさまざまな条件があり、補助金額は最高額で60万円です。
応募は基本的には年に2回で、必ず応募期間が決まっていますので、随時ご確認ください。
家庭用蓄電池の自治体からの補助金について
都道府県または市区町村によっては、家庭用蓄電池の補助金を交付しています。
条件や補助金額など自治体によって違いますので、お住まいのある都道府県または市区町村の役所に問い合わせてみましょう。
また自治体による家庭用蓄電池の補助金とSIIの「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業比補助金」は併用することができます。
蓄電池と太陽光発電の併用を考えている場合は、大いに活用しましょう。
蓄電池とは?家庭用蓄電池の特徴

「蓄電池」とは電気を蓄えるための装置で、蓄電できる電気の容量によって小型のものから据え置き型の大型のものまであります。
中でも家庭用蓄電池は、家庭の非常時の電源として注目されています。ここでは家庭用蓄電池の特徴を解説します。
家庭用蓄電池で非常電源を確保する
「家庭用蓄電池」とは太陽光発電や電気代が安くなる時間帯に電気を蓄える装置のことで、停電時などの非常電源を確保するためなどの目的で使われています。
家庭用蓄電池として主流な製品の容量は20kWh未満になります。
家庭用蓄電池を含むすべての蓄電池は繰り返し充電できるので、「二次電池」や「充電式電池」とも呼ばれています。
蓄電池の種類
蓄電池の主な種類は「リチウムイオン電池」「鉛電池」「ニッケル水素電池」で、それぞれの特徴は次の通りです。
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池とはリチウム酸化物(+極)と炭素化合物(-極)を用いた蓄電池で、小型でも電池容量が大きいため主流の蓄電池のひとつです。
携帯電話やノートパソコンなどに使われています。
鉛畜電池
鉛畜電池(なまりちくでんち)は、最も歴史のある蓄電池です。過酸化鉛(+極)と鉛(-極)を用いて、電解液には希硫酸を使う蓄電池で、自動車のバッテリー等に広く利用されています。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池はニッケル(+極)と水素吸蔵合金(-極)を用いた蓄電池で、カドミウムを使わないため環境に優しいと言われています。
電池容量はリチウムイオン電池の約半分ですが、ノートパソコンやハイブリッドカーの蓄電池として利用されています。
家庭用蓄電池の種類「スタンドアロン型」と「系統連系型」
家庭用蓄電池は主に「スタンドアロン型」と「系統連系型」の2種類に分けられます。
それぞれの特徴は次の通りです。
スタンドアロン型
スタンドアロン型はコンセントから充電できる蓄電池で、停電時のバックアップとして使われることが多いでしょう。
蓄電器内のAC出力端子台と特定負荷分電台とを接続すれば室内の照明に自動的に切り替えるという使い方もできます。
容量は約1.5~3kWhで系統連携型よりも少ないですが、動かせる小型の蓄電池だということもあって便利です。
系統連系型
系統連系型は自宅の分電盤から配線して充電する蓄電池で、配電工事が必要です。
細かな制御ができるので、停電時でも電力を止めたくない照明や冷蔵庫などの電化製品に接続して、自動的に蓄電池から電力を供給するといった使い方があります。
容量は約4~12kWhとスタンドアロン型よりも大きく、本体自体が大きいので据え置き型が主流です。
家庭用蓄電池の屋内設置型と屋外設置型
家庭用蓄電池は、屋内や室内に置く屋内設置型と、屋外設置型の2種類です。
屋内設置型の蓄電池は、屋外設置型の蓄電池と比べると蓄電容量が少なく、蓄電池本体の大きさも比較的小ぶりです。
大きさとしてはエアコンの室外機約1台分が目安です。
一方、屋外設置型の蓄電池は蓄電容量が6kWhを超えるものが多く、蓄電池自体の大きさはエアコンの室外機の約2台分が目安です。
消防法が規定する蓄電池の設置場所とは?
消防法は火災の予防または火災が起きたときに被害の軽減を目的として制定された法律で、蓄電池に関しての規定もあります。
ただしすべての蓄電池に対してではなく、一部の蓄電池に対して定められています。
ここでは消防法が規定対象としている蓄電池と、設置場所についての規定について紹介します。
消防法が規制する蓄電池は4800アンペアアワー・セル以上
消防法が設置場所などの規制を行っている蓄電池は、4800アンペアアワー・セル以上の蓄電池です。
アンペアアワー(Ah)とは電気量の単位で、電気が一時間に運ぶ電気量を表します。
4800アンペアアワー・セルの蓄電池とは、リチウムイオン電池なら17.76kWh、鉛畜電池なら9.6kWh、そしてニッケル水素電なら5.76kWhと同等の容量です。
4800アンペアアワー・セル以上の蓄電池設置は行政に届け出る
4800アンペアアワー・セル以上の蓄電池を家庭に設置するときには、行政に届け出る必要があります。
言い換えれば、4800アンペアアワー・セル以下の蓄電池なら届け出の必要はありません。
届け出先は各市区町村によって異なりますが、主に管轄の消防署です。
蓄電池の設置前に届け出ますが、設置前のいつまでに届け出るかは各自治体によって異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
消防法による規制例
蓄電池設置の届け出をしなくてはならない蓄電池の場合、消防法により設置場所についても規制があります。
規制例を挙げると、屋内設置型の蓄電池は設置場所の壁、床、天井は不燃材料が用いられていなくてはならず、また設置場所の窓や出入り口には防火戸が設置されていなくてはなりません。
屋外設置型の蓄電池の場合は、雨水等が入らないように侵入防止措置を講じることや建物から3メートル以上離して設置することが定められています。
建物から3メートル以上離せない場合には、キュービクル式と呼ばれる鋼板製の収納箱に収める等の規制があります。
このような届け出が必要な蓄電池は設置場所や設置に関する規定があることから、届け出を必要としない容量の家庭用蓄電池が多く市販されています。
ただし届け出を必要としない蓄電池を購入したとしても消防法の規定は参考になりますので、蓄電池の設置場所や設置方法に迷ったら消防法の規定を参考にしてみましょう。
屋内型と屋外型の蓄電池の適切な設置場所とは?

屋内設置型と屋外設置型のそれぞれの適切な設置場所とはどのような場所なのでしょうか。
ここでは、それぞれの適切な設置場所と併せて、蓄電池メーカーの設置条件にも留意することの大切さを解説します。
屋内外共通のポイント
まずは、屋内設置型と屋外設置型蓄電池の共通の適切な設置場所について見ていきましょう。
十分に広いスペース
蓄電池の設置場所は、蓄電池のサイズ分だけの広さでは狭すぎます。
蓄電池の設置時またはメンテナンスなどで作業ができる広さが必要なので、余裕を持ったスペースを確保するようにしましょう。
蓄電池の重さに耐える場所
蓄電池は屋内設置型なら約60~約170kg、屋外設置型では約120~約250kgが目安です。
かなりの重量があるため、蓄電池を置く場所は、蓄電池の重量に耐えられる強度のある床や台の上にします。
室内・屋内での蓄電池の設置場所
ここからは屋内設置型の蓄電池ならではの適切な設置場所を紹介します。
屋内設置型蓄電池ならブレーカーのそば
ポータブルタイプの蓄電池を除いて、蓄電池とブレーカーをケーブルによって接続するタイプの場合はブレーカーのそばがいいでしょう。
ケーブルを伸ばせばブレーカーから離れた場所に設置できますが、ケーブルは短い方が電気のロスを減らせます。
またブレーカーに近いことで電圧上昇抑制のリスクを減らすこともできます。
電圧上昇抑制とは電気事業法に抵触しない範囲にまで電圧を下げることで、電圧上昇抑制が発生すると充電ができなくなります。
ブレーカーと蓄電池をつなぐケーブルが長くなると電圧上昇抑制が起こりやすくなるため、この点でも蓄電池はブレーカーそばの設置がおすすめです。
蓄電器の重量に耐えられる強度の床
蓄電器によっては100㎏を超える重たい蓄電池がありますから、蓄電池の重量に耐えられる強度の床かどうかを確かめます。
十分な強度が足りないと判断された場合には、床の補強工事が必要になるでしょう。
換気ができて熱がこもらない場所
蓄電池は換気ができて熱がこもらないよう、密閉空間を避けて設置します。
密閉された空間では、蓄電池が熱を持ち発火する恐れがあるからです。
作動音が気にならない場所
蓄電池は作動中には多少なりとも音がするので、作動音が気にならない場所に設置しましょう。
寝室や客間など、騒音が気になる場所は避けた方がいいでしょう。
屋外での蓄電池の設置場所
次に、屋外設置型の蓄電池の適切な設置場所を見ていきましょう。
直射日光が当たらない場所
蓄電池は極端な暑さや寒さが苦手ですから、日光が蓄電池に直接あたるような場所は避けましょう。
日光によって高温状態になると、蓄電池の性能の劣化や故障を招きます。
地面よりも高い位置に設置
蓄電池は水にも弱いので、浸水しない場所に設置することが大切です。
水没による故障を避けるためにも地面よりも高い位置に蓄電池を設置するようにしましょう。
水没は蓄電池の故障だけでなく、近づいた人を感電させてしまうという危険性もあります。
防水対策は必須です。
メーカーごとの設置場所の条件も留意する
ここまで屋内設置型と屋外設置型の蓄電池の適切な設置場所について見てきましたが、設置場所の決定にあたってはさらに購入予定の蓄電池を製造したメーカーが提示する設置場所の条件を考慮することも大切です。
蓄電池メーカーが提示する、よくある設置場所の条件例としては次のようなものがあります。
設置場所によって耳鳴りを感じるようになるため、寝室など静かな空間が好まれる場所に設置しない。
湿度の高い場所に設置しない等。
設置場所を決めるときは、屋内設置型と屋外設置型の違いを踏まえたうえで、ご紹介したようなそれぞれに適した設置場所に加えて、各メーカーの設置条件も合わせて検討しましょう。
蓄電池の間違った設置場所とは?
蓄電池を設置するべきではない場所に設置すると、蓄電池の寿命を短くするだけでなく、性能にも影響を与えることに成ります。
では、どのような場所に蓄電池を設置するべきではないのかを紹介します。
設置場所を決めるときに参考にしてみてください。
蓄電池の間違った設置場所とその悪影響
寒冷または高温になる場所
蓄電池は極端な寒さや暑さに弱いため、ほとんどのメーカーは-10℃または-20℃となる場所に蓄電池を設置すること、または高温環境に設置することを推奨していません。
直射日光のあたる場所も避けるべきでしょう。
このような極端に寒い場所や暑い場所に設置すると、蓄電池の性能を落としたり容量が減ってしまったりする原因になります。
設置場所が地面よりレベルが低い
蓄電池は水にも弱く、屋外設置型の蓄電池でも雨水等が入らないような処置をとる必要があります。
また設置場所が地面よりも低いと降雨などがあった時に水没の恐れがあるため、蓄電池は地面よりも高い位置に設置することが大切です。
塩害地域
蓄電池は塩害地域への設置には向いていません。
塩害地域とは沿岸部で海岸から内陸に約2㎞以内の地域と定義しているメーカーが多いのですが、空気中などに含まれる塩分濃度が高い地域のことを言います。
塩分は蓄電池の内部機器の絶縁不良や金属部分の腐食につながるため、蓄電池を設置するべきではないでしょう。
蓄電池の騒音が気になる場所
蓄電池の運転時は蓄電器によって違いはあるものの、作動音がするものがほとんどです。
その作動音が気になるような場所に蓄電池を設置してしまうと生活が落ち着かなくなりますので、音の気にならない場所に設置したほうがいいでしょう。
リフォームの際に活用したい蓄電池の設置費用の相場は?
リフォームの時に蓄電池を設置する費用の相場は、一般的に約100万~約300万円と言われています。
蓄電池を設置する費用は、本体価格・設置工事費・電系統の工事費が主な費用で、蓄電池の種類や設置する場所の状況・電系統の工事内容により価格が変わります。
上記以外に図面作成費用や補助金の申請書類作成・手続き費用が見積もりに含まれている場合もあるので、見積もりを受け取ったら確認してみましょう。
蓄電池の種類と本体価格
リフォームの際に設置する蓄電池は、蓄電地の種類・蓄電方式・蓄電容量により本体価格が違います。
蓄電池の種類と特徴
住宅用蓄電池の種類は主に2種類あり、「鉛蓄電池」と「リチウムイオン蓄電池」です。
「鉛蓄電池」は価格が安く長寿命ですが、蓄電量を多くすると本体サイズが大きくなるというデメリットがあり、住宅用としては不向きです。
「リチウムイオン蓄電池」は、価格は鉛蓄電池より高価ですが、放電量が高いため設備サイズが小さく、住宅用として最適です。
また、最近普及している蓄電池には太陽光発電で使用するパワーコンディショナーと一体となったハイブリット蓄電池もあります。10年が寿命といわれているパワーコンディショナーの交換時に蓄電池の導入を考えられるという方も多いでしょう。
ハイブリット蓄電池は、太陽光発電の導入と一緒に採用されるケースが多いタイプです。
蓄電池の本体価格:各メーカーの参考価格
蓄電池本体の価格相場は、1kWhあたり約10万~約30万円といわれています。
各メーカーの参考価格
- 京セラ 太陽光発電連携型リチウムイオン型 7.2kWh 約80万円~
12.0kWh 約115万円~ - パナソニック リチウムイオン型 5.0kWh 約55万円~
創蓄連携システム型 5.6kWh 約60万円~
11.2kWh 約110万円~ - NEC 小型蓄電システム 7.8kWh 約80万円~
- シャープ 定置型リチウムイオン電池システム 4.4kWh 約50万円~
- 東芝 定置型リチウムイオン電池システム 4.4kWh 約50万円~
定置型リチウムイオン電池システム 6.6kWh 約70万円~ - 長州産業 定置型リチウムイオン電池システム 5.0kWh 約50万円~
※蓄電池の本体価格は、太陽光発電システムと同時に購入すると割安になる傾向があります。
蓄電池選びの注意点
蓄電池を選ぶ時に注意したい点が2つあります。
1つ目は蓄電池の発電方式を確認し、ライフスタイルにあった蓄電池を選ぶこと。
蓄電池の発電方式は3つあり、シングル発電かダブル発電か、切り換え型です。
シングル発電は、太陽光発電で発電した電力を家庭で使い、余った電力を売電するタイプです。
ダブル発電は、太陽光発電で発電した電力を家庭で使い余った電力を売電しながら、電気代の安い夜間に蓄電池に充電した電力も売電する方式で、売電量を増やすことができるタイプです。
住宅用の蓄電池は、売電価格がシングル発電の方が高いためシングル発電が主流ですが、蓄電池の容量が大きい場合、ダブル発電の方が有利になる場合があるので検討してみましょう。
2つ目はメーカー保証のある蓄電池を採用すること。
一般的には10年保証が多く、価格が安い蓄電池は保証期間がなかったり短かったりしますので確認しましょう。
設置工事費
設置工事費は、設置する場所が屋外なのか屋内なのか、蓄電池の重さや設置する場所の状況により変わります。
電系統の工事費
電系統の主な工事は、蓄電池に電力を溜めるための配線、蓄電池に貯まった電力を住宅に供給する配線、太陽光発電と接続する工事や監視モニターがある場合はモニターの配線工事です。
行う工事の種類や設備機器同士の距離により工事費用が大きく変わります。
蓄電池の設置工事費と電系統の工事費用は、両方あわせて約20万~約40万円がかかると言われています。
蓄電池の設置費用は住宅ローンに組み込める?
住宅購入の際に、設備の一部として蓄電池の導入が決まっているのなら、その費用を住宅ローン内に組み込むことができます。
また、住宅ローン以外でも蓄電池の設置費用に利用できるローンもあります。
ここからは、蓄電池の設置の際に利用できるローンについて見ていきましょう。
住宅ローンに蓄電池設置費用を組み込む
自宅を新築するときに蓄電池の設置も行う場合は、住宅ローンの申請時に新築費用に併せて蓄電池の設置費用も組み込んで借り入れることができます。
住宅ローンは返済期間が長く設定されており、低金利というメリットがあるため、返済計画も立てやすいのが特徴です。
住宅ローンの借り換えで差額分を蓄電池設置費用に充てる
住宅ローンを返済中の人なら、より金利の低い住宅ローンを借り換えることで、その浮いた費用を蓄電池の設置費用に回すという方法があります。
住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンを別の住宅ローンを組んで完済することです。
この時、元金にかかっていた金利の差額が出るため、この差額分を蓄電池の設置費用に充てるのです。
住宅ローンの借り換えで蓄電池を購入できるだけの差額が出るかについては、新しく借り換える住宅ローンの金利が現在の住宅ローンの金利よりも1%以上安く、ローン残債が1000万円以上で返済期間が10年以上残っている場合が目安となります。
住宅ローン以外で使えるローン
ソーラーローンを活用する
ソーラーローンとは太陽光発電システムの導入のために利用できるローンとして知られていますが、蓄電池を設置する場合にも利用できます。
ソーラーローンは住宅ローンほどの低金利ではありませんが低金利ローンのひとつです。
なお、ソーラーローンについては、下記で詳しく解説していますので、ご参照ください。
リフォームローンを活用する
リフォームローンは住宅のリフォーム全般に使えるローンです。
内装や外装などのリフォームと併せて蓄電池設置の導入を考えている方は、リフォームローンが利用できます。
リフォームローンは住宅ローンよりは金利が高く設定されていますが、担保を必要とせず審査期間も短いので、リフォーム計画を少しでも早く実行に移したい方に向いているでしょう。
自治体による蓄電池設置費用の融資を受ける
自治体によっては蓄電池の設置費用に対して、低金利で融資をしています。
神奈川県や群馬県、大阪府などがその一例で、融資を受けられる自治体の数は多くありませんが、年金利が1%前後と低金利のため、該当する地域にお住まいの方はぜひ活用したい制度です。
蓄電池の導入にかかる初期費用の相場
蓄電池の導入にかかる初期費用の相場は、約110万円〜250万円です。この金額は蓄電池の容量や形式によって異なってきます。
蓄電池の容量が小さいタイプは費用を抑えることができ、家庭の電気をほぼまかなうことができるほどの大容量であれば費用が高額になります。
特に近年人気の定置型は高価になりますが、ローンが用意されているケースや月々低額でレンタルすることが可能なケースなどがあるため、使用するハードルは低くなっています。
また導入する際には蓄電池の本体価格の他に、設置工事費用や基礎工事費用などがかかります。設置する場所によっては設置難易度が高く、その工事の難易度が高いことで費用が高くなってしまう可能性があります。
導入費用が高価であるため、導入を諦めてしまう方もいるでしょう。しかし、レンタルやローンを利用することで、初期費用を抑えて蓄電池を導入することがしやすくなってきていることもあるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
蓄電池にかかった経費を回収するのは難しい?
蓄電池にかかった経費を回収できるかどうか疑問に感じている方もいるでしょう。ここでは蓄電池費用の回収効率について紹介します。
蓄電池にかかった費用を回収するためには長期間を要します。蓄電池の価格を100万円とし、1ヶ月あたり600kWhの節約ができた場合は約23年で元を取れます。
蓄電池は寿命が約15年〜約20年が目安となるため、費用を回収するためには長期間の運用が前提となるため、メンテナンスを定期的に行う必要があります。
メンテナンスの状況によっては費用の回収が難しくなりますが、蓄電池があることによって災害時や停電時の心理的不安を軽減することができるというメリットもあるため、おすすめの設備といえます。
蓄電池購入で使える補助金制度はあるのか?
蓄電池の購入時には、国や地方自治体が用意している補助金制度を利用できるケースもあります。ただし、お住まいの地域や年度によって補助の有無や内容などが異なるため、事前に確認するようにしましょう。
特に地方自治体で独自の補助金制度を用意している場合は、受付は先着順で、年度の予算に達したら募集を終了するケースも多いため、応募可能な期間や制度の詳細については、お住いの自治体に確認しておくようにしましょう。
蓄電池の寿命はどう表されている?寿命を過ぎても使える?

家庭用蓄電池を設置すれば、蓄電池内に電気を蓄えておくことができ、必要なタイミングで電気を使用できるようになります。
近年では自宅で太陽光発電を行うケースも増えており、家庭用蓄電池の需要が高まってきています。
家庭用蓄電池として使用されている蓄電池にはいくつか種類があります。
鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム・硫黄電池などが代表的です。
蓄電池の寿命は蓄電池の種類によって異なります。
蓄電池の種類ごとの寿命を知ることによって、導入する蓄電池を選ぶ際の基準の一つとすることができるでしょう。
表された寿命を過ぎたら使えなくなるのか、そのあたりも蓄電池を選ぶ際に気になりますよね。
蓄電池の寿命を表す指標には「サイクル」と「使用期間」の2つがあります。
以下、それぞれの内容について詳細を見ていきましょう。
蓄電池の寿命
サイクル
全ての蓄電池は充電と放電を繰り返すごとに徐々に劣化していき、最終的には寿命が尽きて使用できなくなってしまいます。
蓄電池における「サイクル」とは、蓄電池を充電状態が0%の状態から100%まで充電させ、放電して再び充電状態が0%になるまでのことを言い、この一連の流れが1サイクルとされます。
メーカーが蓄電池の寿命をサイクル回数で表している場合は、対象の蓄電池が何回充放電を繰り返すことができるかのおおよその目安を示しているのです。
したがって、サイクル回数の数値が高い蓄電池ほど繰り返し充放電できる回数が多くなり、寿命が長いということができます。
ただし、メーカーが謳うサイクル回数はあくまでも0%-100%の充放電回数の目安です。
通常行う充放電がどれだけ繰り返せるかは、残量がどのくらいになったら充電を始めるか、どこまで充電するかによって変わってきます。
※寿命を延ばす使い方については第4章で述べます。
また、蓄電池の使い方や周辺環境などによっても蓄電池の寿命は変わるため、蓄電池を正しく使用することが、蓄電池を長持ちさせるための大切なポイントです。
使用期間
蓄電池の寿命は、サイクルではなく、使用期間で表されることもあります。
どのような蓄電池の寿命が使用期間で表現されるかというと、たとえばバックアップ用の電源として用いられる蓄電池などがあります。
このような使われ方をする蓄電池は頻繁に充放電を繰り返すことはありません。
そのため、寿命を表すにはサイクル回数よりも使用期間の方が適しているのです。
蓄電池の使用期間は、そのメーカーによって目安が提示されています。
ただし、使用期間はあくまでメーカーが想定する使用方法に基づいて想定された寿命であり、使用期間内の蓄電池の性能そのものを保証するものではない点には注意が必要です。
頻繁に充放電を繰り返したり、過酷な環境下で使用し続けたりすれば、提示されている使用期間よりも寿命が短くなることがあります。
※寿命を延ばす使い方については第4章で述べます。
蓄電池の法定耐用年数と実際の寿命

蓄電池の「法定耐用年数」は6年であると定められています。
勘違いされることもありますが、この法定耐用年数とは蓄電池そのものの寿命を表しているわけではありません。
法定耐用年数とはあくまで税法上の耐用年数であり、税務処理を行う上で使用する数値に過ぎません。
蓄電池に限らず、企業や事業主が使用する設備や機器は年数が経過するほど古くなり、価値が低下していきます。
これを「減価償却」といいますが、法定耐用年数が6年であるということは、最終的に税務上の蓄電池の価値が0になるまでの期間が6年間であるということを示しています。
法定耐用年数が6年であるからといって新規購入から6年を経過した蓄電池が寿命を迎えるわけではなく、また、法定耐用年数を迎えたからといって対象の蓄電池を使ってはいけないというわけでもありません。
法定耐用年数は実際の蓄電池の寿命ではないということを理解しておきましょう。
蓄電池の寿命と交換時期の目安

蓄電池の寿命はメーカーや機種、使用環境、使用方法によって異なります。
参考までに、経済産業省の蓄電池戦略プロジェクトチームが2012年に発表した「蓄電池戦略」では、電池の種類ごとの寿命が次のように書かれています。
- 鉛蓄電池:17年 (3150回)
- ニッケル水素電池:5年~7年 (2000回)
- リチウムイオン電池:6年~10年 (3500回)
- ナトリウム・硫黄電池:15年 (4500回)
蓄電池は寿命を迎えると性能が低下し、場合によっては蓄電池として十分な機能を果たせなくなってしまいます。
なぜなら、寿命を迎えた蓄電池は充放電可能な容量(※)が低下した状態にあるからです。
そうすると一度の充電によって蓄えられる電力量が少なくなり、当然ながら放電できる電力量も減少します。
たとえばスマートフォンでも、長く使っていると電池の持ちが悪くなるのはこのためです。
一般的には蓄電池の交換時期の目安は10年もしくは4000サイクルであると言われています。
もちろん冒頭で述べた通り、蓄電池の寿命は種類や使用環境、使用方法によっても異なりますが、一つの目安とすることはできるでしょう。
※蓄電池の「容量」は、厳密には「蓄電容量」(蓄電池に蓄えられるエネルギー量)と「放電容量」(蓄電池から取り出せるエネルギー量)に区別されます。
本稿で単に「容量」と記している箇所では両者を区別していません。
蓄電池設置に関する補助金
国庫からの補助金
蓄電池設置に関する国庫からの補助金に、一般社団法人環境共創イニシアチブ (略称:SII) が不定期に公募している「DER補助金」というものがあります。
DERは分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources)の略称です。
工場や一般家庭に設置された太陽光発電設備、家庭用蓄電池、電気自動車等の電力を需給調整用として、これを活用する仕組みのことを言います。
このDERは、これまでの大規模電源への電力依存を分散させることを目的としています。
補助金額については、導入する設備ごとに補助率と上限額が設定されています。
家庭用蓄電システムの場合、設備費と工事費の合計に対し、補助率は3分の1以内、補助金上限額は3.7万円/kWhとなっています (※)。
詳しい条件は公募ごとに違ってくるため、応募する前に SII のサイトなどで詳細を確認するようにしてください。
※令和4年度の場合
地方自治体からの補助金
地方自治体にも蓄電池導入の補助金制度があるところがあります。
自分の住んでいる地域の自治体が蓄電池に関する補助金を用意しているのかを調べるには、自治体の窓口に問い合わせてみたり、インターネットで「○○市 補助金 蓄電池」などと検索したりするとよいでしょう。
太陽光発電に使用する蓄電池は補助金の対象になる?

蓄電池導入への補助は、国をはじめとして、都道府県や市町村など地方自治体でも提供されています。
ただし、年度によって補助の有無や内容などが異なるため、条件に合うかどうか、その都度確認する必要があります。
国の補助金制度
国の補助制度として「ZEH補助金」があります。高度な省エネを目指すZEH住宅に、一定の要件を満たす蓄電池を設置する場合が、補助の対象です。
ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字を採った略称で、石油や天然ガスなど、採掘資源から得られる一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指す、高度な省エネ住宅を意味します。
ZEH住宅の新築や購入のほか、既存の住宅をZEHに改修する個人を対象として、ZEHに蓄電設備を設置して、停電時にも自立可能な災害に強いシステムを備える場合、最大135万円が補助されます。
また、集合住宅については「先進的再エネ熱等導入支援事業」を併せて利用することが可能で、ZEHの補助対象住宅に蓄電システムを導入する場合、最大20万円の追加補助を受けることもできます。
地方自治体の補助金制度
都道府県や市町村においても、国が推進する蓄電池導入の施策にあわせ、独自の補助金制度を提供している場合があります。
地方自治体における補助は、どこでも一律に実施されているわけではなく、施策の優先順位や緊急性、予算の有無などによって年度ごとに異なっています。
このため、制度の有無や内容を知るには、設置する住所に該当する都道府県庁や市区町村役場の担当課、あるいはそれぞれのホームページで確認する必要があります。
なお、補助制度がある場合、適用を受けるためには申請が必要ですが、受付は先着順で、年度の予算額に達した時点で受付終了になるケースが多いなど、早い者勝ちの傾向があることなどにも注意が必要です。
蓄電池の普及率は今後どうなっていくのか?

昨今では売電から蓄電へという考え方が広まってきており、それに伴い蓄電池の普及率も上昇する傾向にあります。
蓄電池の普及率が上がる要因は一つではありませんが、大きな要因の一つとして考えられるのはFIT(固定価格買取制度)の終了です。
日本では国の政策により、2009年から10年間、電力買取制度が実施されてきました。
さらに2012年にはFIT制度が開始されたため、太陽光などによって発電させた電力を売電する人が増加しました。
このFIT制度というものは、個人や団体が発電した再生可能エネルギーを電力会社が固定価格で買い取るというものです。
ここでいう再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスなどで発電された電力のことを言います。
中でも太陽光で発電された電力(10kW未満)は、10年間の固定価格買取が実施されてきました。
FIT制度が開始された当初は5種類全ての再生可能エネルギーの普及が想定されていました。
しかし実際のところは、発電設備導入のしやすさや売電価格の優遇政策などによって、太陽光発電のみが突出して増加しました。
FIT制度による再生可能エネルギー全体のうち、太陽光発電設備の認定量はなんと全体の約9割に上るとも言われています。
FIT制度によって電力の固定価格買取が保証されていますが、実は電力買取の原資は国民一人一人が毎月負担する電気料金から賄われています。
FIT制度によって太陽光発電設備が急増すれば、国民の負担は大きくなってしまいます。
実際、国民負担の増加を原因の一つとして、2017年にはFIT制度が改正されることになりました。
改正によって太陽光発電設備導入のハードルが上がり、また売電価格も下落することになりました。
さらに、2019年にはこのFIT制度の満了を迎えるケースが出てき始めてきました。
FITの契約期間中は固定価格で電力を売電できたため利益を確保できていたものの、10年間の期間満了後は固定価格での売電ができなくなってしまいます。
そこで、近年では売電から蓄電へ切り替える動きが活発になってきているのです。
発電した電力を売電から自家用に切り替えるためには、自家用蓄電池が必要です。
自家用蓄電池を導入することによって災害時の非常用電源としても利用することができるため、今、蓄電池について見直され始めています。
蓄電池は今後価格が下がることはあるのか?
蓄電池を導入したいと考えていても、価格が高くてなかなか手を出すことができないという人もいるのではないでしょうか。
蓄電池の価格が今後下がることがあるのかどうかについて考えてみましょう。
先述の通り、近年蓄電池への注目が集まってきており、蓄電池の普及率も高まってきています。
しかし、蓄電池の普及率が上がるからといって、一概に蓄電池の価格が下がるとは言えません。
蓄電池にはいくつかの種類がありますが、現在主流となっている蓄電池はリチウムイオン電池というものです。
リチウムイオン電池はコンパクトな割に出力が高く高性能であるとされ、パソコンやスマホのバッテリーの他、電気自動車でも活用されています。
このリチウムイオン電池は蓄電池の中でも人気のある種類のものなのですが、どこでも生産できるというわけではありません。
リチウムイオン電池の原材料は限られた地域でしか採取できないため、生産国が限られているのです。
物の価格は需要と供給のバランスによる影響を受けて決まりますが、リチウムイオン電池においては需要が高く、供給が追い付いていないのが現状です。
そのため、リチウムイオン電池の人気が高く、普及率が高まったからと言って必ずしも価格が下がるとは限らないのです。
蓄電池に適用される補助金は今後もあるのか?
蓄電池を導入したくても価格が高くて購入できないという場合、補助金を利用することで経済的な負担を軽減することができます。
国や自治体が定めている補助金制度を利用すれば、蓄電池導入のハードルを下げることができるでしょう。
補助金の交付には、制度ごとに定められた要件を満たす必要があります。
要件として導入する機器設備の種類や工事内容、費用など細かく規定されているため、事前に補助制度の内容をよく確認した上で蓄電池を選びましょう。
まず、国が定めている補助制度の代表的なものとしてZEH補助金というものがあります。
ZEH補助金のZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウス(Zero Energy House)の頭文字を繋げたもので、通称「ゼッチ」と呼ばれます。
このゼロエネルギーハウスとは、太陽光発電などの再生可能エネルギーのみで消費エネルギーの大半が賄われている住宅のことを表しています。
国はZEH住宅の普及を促進するため、ZEH住宅の取得や従来の住宅からZEH住宅へ改修を行う人に向けて補助金を交付しています。
これがZEH補助金です。
続いて地方自治体が行っている補助金制度ですが、こちらは自治体ごとに独自のルールを定めて補助行っています。
そのため、補助の内容については補助を受けようとする自治体の窓口に問い合わせて確認してみましょう。
一例ですが、東京都では蓄電池を単体で設置するだけでも最大で42万円の補助金を受けることができます。
要件としては、購入する蓄電池が中古ではなく新品であることや、事業用としてではなく住宅用として使用することなどが定められています。
他の自治体でもこのような補助制度を定めているケースはあるでしょう。
ただし、補助制度については無期限で実施されているわけではなく、申請期間も定められています。
補助の要件を満たして期間内に申請するためにも、年度ごとの最新情報を確認した上で補助金制度を利用しましょう。
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この記事の監修者プロフィール

atelier comado
岩本 祐子 大学卒業後、建築設計事務所にて主に住宅、公共建築、店舗、マンションの設計に10年以上関わる。
住宅においては、基本設計から監理業務まで一連のフローに携わる。
その後大手インテリア関連企業にて7年間インテリアとリノベーションをメインに業務の幅を広げる。
現在代表をしているatelier comadoでは、インテリアコーディネート、リノベーション、住宅設計をメインに活躍中。

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