2022年04月14日更新
屋根の断熱・遮熱リフォームの工事費用や価格は?
屋根の断熱性や遮熱性が低いと、夏は太陽熱で室内が熱くなり、冬は暖かい空気が逃げて寒くなるなど、暮らしにくい家になってしまいます。暮らしやすさだけでなく、光熱費の節約にも繋がる屋根の断熱・遮熱リフォームについて、費用の相場や工事の方法などをご紹介します。
目次
断熱・遮熱リフォームを行う前に知っておくこと
「夏暑くて冬寒い我が家をなんとかしたい」という理由で、断熱・遮熱リフォームを検討している方も多いのではないでしょうか。
光熱費削減にも繋がる断熱・遮熱リフォームですが、適切な方法を選ばなければ、狙い通りの効果になるどころか、かえって使いにくい家にしてしまう恐れもあります。

断熱と遮熱の違い
まず知っておかなければならないのが、断熱と遮熱には、全く異なる効果があるということです。
断熱とは、熱の移動を防ぐはたらきのことです。
断熱性が高い家は、夏は外から入ってくる熱を防ぎ、冬は日中温めた空気を外に逃がさなくなります。
一方、遮熱とは熱を反射するはたらきのことです。
屋根や窓の遮熱性を高めておくと、夏場の強い日差しを反射することができますが、冬場は部屋の暖かい空気が外に逃げてしまいます。
このように、断熱と遮熱には全く異なる効果があるため、断熱すべき箇所に遮熱をしたり、遮熱してはならない箇所を遮熱してしまったりすると、せっかくのリフォーム費用が無駄になってしまうこともあります。
例えば、日当たりが悪く、昼間も肌寒い部屋に遮熱リフォームを施してしまうと、余計に日差しがカットされてしまう恐れがあります。
あるいは、日差しが強すぎる部屋に、断熱リフォームだけを行って遮熱リフォームを怠ってしまうと、部屋の温度上昇を思うように防ぐことができず、十分な断熱効果を得ることができません。
屋根を断熱・遮熱リフォームするメリット
屋根は、家の中で最も日光を浴びる箇所ですので、断熱・遮熱リフォームのどちらを行っても、高い効果を得ることができるでしょう。
屋根の断熱リフォームのメリット
部屋で温まった空気が外に逃げなくなるため、冬場の部屋を温めるために使用するエアコンの電力を節約することができます。
また、屋根断熱には複数のリフォーム方法があるため、家の構造や屋根材の種類に最も適したものを選ぶことができます。
屋根の遮熱リフォームのメリット
遮熱効果で室内の温度上昇を防ぐため、屋根に近い小屋裏やロフトが夏場でも比較的快適に過ごせるようになります。
また、夏は屋根に熱気が溜まらなくなるため、日没とともにエアコンが効きやすくなり、部屋も涼しくなっていきます。
屋根断熱と天井断熱はどちらが良い?
屋根断熱と似た工事に、天井断熱があります。
天井断熱の費用は、一般的な住宅の天井部分で約80~100万円が相場となっています。
屋根断熱が主に、屋根の外側と内側で工事を行うのに対し、天井断熱は、屋内の天井部分で工事を行います。
屋内の天井の上側にグラスウールなどの断熱材を敷き詰めることによって、天井と室内で熱の移動が少なくなります。
しかし、天井断熱を行っても、屋根断熱をしていなければ、小屋裏と天井のあいだの空間に熱が溜まってしまい、温まった熱が輻射熱となって室内に入ってしまう恐れがあります。
小屋裏に溜まる熱を解消する方法としては、小屋裏に通気口を設置するリフォームなどがあります。
小屋裏の通気口設置に必要な費用は、約5~15万円が相場です。
断熱性が低い屋根材を使っている家や、小屋裏のロフトを活用したいなどの理由があれば、屋根断熱を選択すると良いでしょう。
屋根以外の断熱リノベーションについてはこちらの記事で詳しく紹介しています
屋根の断熱リフォームの費用相場
屋根断熱の方法は、屋根の外側から行うものと、内側から行うものの2種類に分けることができます。

屋根断熱の方法は2種類
屋根の断熱リフォームには、屋根の「外側」を断熱補強する方法と、屋根の「内側」から断熱補強する方法があり、それぞれの方法にもいくつかの選択肢が存在します。
屋根の外側で行う断熱リフォーム
- 断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根のカバー工法による断熱リフォーム
屋根の内側で行う断熱リフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
屋根の外側で行う断熱リフォームの費用相場
屋外で行う屋根断熱は複数の選択肢がありますが、どの方法を選択すべきかは、家の状態によって異なります。
それぞれのリフォーム方法の費用と、選んだ方が良い家の状態は、それぞれ以下のようになります。
断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 約4~6千円/平方メートルあたり
上記は平方メートルあたりの相場ですので、平均的な約90平方メートルの屋根を全面塗装すると、約40~60万円の費用が必要になります。
断熱塗料は、屋根に使われる塗料の中では、最も価格相場が高い種類です。
しかし、家の断熱性が向上することによって光熱費も削減することができるため、単価が安い塗料で施工したときよりも、長期的に考えると安い費用と考えることもできます。
しかし、遮熱塗料は、表面を保護することはできますが、屋根材の性能を高めることはできません。
そのため、設置して約20~30年経っている古い屋根材や、劣化が生じている屋根材などでは、断熱塗装よりも屋根材そのものの交換リフォームが必要です。
なお、日本瓦は塗装が行えないため、塗装による断熱リフォームは選べないのでご注意ください。
断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 約50~250万円
屋根材の中でも、日本瓦は特に高い断熱性を持っています。
古くなった屋根材を日本瓦に葺き替えることによって、断熱性の高い屋根を手に入れることができるでしょう。
一方、断熱性が低い屋根材は、トタン屋根などの金属屋根です。
金属は熱伝導率が高いため、断熱材付きの商品でなければ、屋根材そのものが高温になり、室内により高い熱を届けてしまいます。
同じ金属材の屋根でも、ガルバリウム鋼板は比較的断熱性に優れていますが、日本瓦に比べると断熱性は低いと言えるでしょう。
屋根の葺き替えは、高額な費用を伴いますが、日本瓦はその中でも特に高価な屋根材です。
もし、現在使っている屋根材が、設置からまだ10年も経っておらず、定期的な塗装が行われて保存状態も良いようであれば、高額な費用をかけて日本瓦へ葺き替える方法は現実的とは言えません。
しかし、設置して約20~30年以上経っており、屋根材そのものがひどく傷んでいる状態であれば、葺き替えを検討すべき時期と言えるでしょう。
屋根のカバー工法による断熱リフォーム
- 約80~180万円
カバー工法とは、既存の屋根材の上から別の屋根材で覆う工事のことです。
屋根が二重になるため、結果的に断熱性を高めることができます。
一般的なカバー工法では、屋根の上にルーフィングと呼ばれる防水シートを直接敷き、その上から新しい屋根を載せます。
ルーフィングの施工費用は、1平方メートルあたり約2000~3000円が相場です。
また、この費用に加えて、新しい屋根材や、固定するための金具、足場の設置費用や諸経費などが加わって、カバー工法全体の費用となります。
カバー工法は、屋根全体を葺き替える工事に比べると、比較的安価な費用で行うことができます。
ただし、安価という理由だけでカバー工法を選択すると、家の耐久性を損ねる恐れもあるため注意が必要です。
カバー工法が行われた屋根は、屋根材が二重になり厚みが増す分、建物全体の重量も増えます。
また、屋根が重いということは、重心が不安定ということでもあります。
上部が重い建物は、地震の際に建物が揺れやすくなり、壁や柱に大きな負荷がかかってしまうため、安易にカバー工法を選択するのは避けた方が良いでしょう。
また、カバー工法を選択するときに最も注意しなければならないのが、屋根材の下の野地板や防水シートの重大な劣化を、見落とす恐れがある点です。
カバー工法を選択する場合は、5年以内に雨漏りの点検が済んでいること、設置から25年未満の屋根材であることを目安にし、必要であればリフォーム会社に点検を依頼したうえで実施すると良いでしょう。
なお、既存の屋根が日本瓦やセメント瓦など、瓦屋根の場合は、施工が複雑になり費用も高額になるため、カバー工法は適していません。
屋根の内側で行う断熱リフォーム
屋根の内側、つまり小屋裏の方から屋根にグラスウールなどの断熱材を充填するリフォームです。
屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
- 約15~50万円
パネル状の断熱材やグラスウールを、屋根の裏側にある「垂木」の隙間に敷き詰める工事が行われます。
断熱性の高い「ウレタンフォーム」を吹き付ける方法を選択すると、費用は割安になります。
屋根の断熱リフォームが得意な会社を探すには
自分が住んでいる地域で屋根の断熱リフォームが得意なリフォーム会社を知りたい場合は、リフォーム会社紹介サービスを使うと良いでしょう。
リフォーム会社紹介サービスの「ハピすむ」は、お住まいの地域やリフォームのニーズを詳しく聞いた上で、適切で優良なリフォーム会社を紹介してくれます。
運営会社のエス・エム・エスは、東証プライム上場企業なので、その点も安心です。
屋根の遮熱リフォームの費用相場
屋根の遮熱リフォームは、主に屋根の外側から行われます。
屋根の遮熱塗装リフォーム
- 約3~5千円/平方メートルあたり
遮熱に特化した塗料のほか、断熱と遮熱両方の効果を持つ「ガイナ」などが使われます。
遮熱塗料には、屋根材の表面の温度上昇を防ぐ効果があるため、表面が熱を持ちやすい、トタンやガルバリウム鋼板の屋根材では、高い光熱費削減効果を発揮します。
一方、もともと熱が溜まりにくいスレート屋根に遮熱塗料を塗装しても、金属屋根に比べると、遮熱効果を実感しにくい恐れがあります。
屋根にアルミ製遮熱シートを貼るリフォーム
- 約3~4千円/平方メートルあたり
上記の費用には、遮熱シートの価格と、施工費用が含まれます。
薄いアルミ製の遮熱シートを、屋根材と屋根下地のあいだに敷き詰めるリフォームです。
屋根を剥がさず、屋根の裏側から施工可能なタイプもあります。
遮熱だけでなく、断熱効果や防水効果を持つタイプなどもありますが、シートの価格は約2倍になるため、必要に応じて導入すると良いでしょう。
屋根材ごとの断熱・遮熱リフォーム費用
屋根材別に、断熱・遮熱リフォームの費用相場を見てみましょう。
選択したリフォーム方法や、断熱材の厚みによって金額が異なることもあるため、ご紹介している相場費用は、あくまで目安とお考えください。
なお、計算は、約90平方メートルの平均的な広さの屋根を想定しています。

スレート屋根の断熱・遮熱リフォーム
スレート屋根では、塗装やカバー工法など、様々な断熱・遮熱リフォームを選ぶことができます。
もともと断熱性が高い屋根材ですので、割れや色あせなどの経年劣化が生じていないようであれば、耐久性の高い断熱・遮熱塗料で再塗装を行っても良いでしょう。
選択可能な断熱リフォーム
- 断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根のカバー工法による断熱リフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
費用相場:約15~250万円
選択可能な遮熱リフォーム
- 屋根の遮熱塗装リフォーム
- 屋根の下にアルミ製遮熱シートを貼るリフォーム
費用相場:約30~45万円
ガルバリウム鋼板屋根の断熱・遮熱リフォーム
断熱性・遮熱性が低いガルバリウム鋼板は、断熱・遮熱塗装だけでも高い効果を実感することができます。
凹みやサビなどの劣化が生じているようであれば、葺き替えやカバー工法を選択しても良いでしょう。
選択可能な断熱リフォーム
- 断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根のカバー工法による断熱リフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
費用相場:約15~250万円
選択可能な遮熱リフォーム
- 屋根の遮熱塗装リフォーム
- 屋根の下に遮熱シートを貼るリフォーム
費用相場:約30~45万円
トタン屋根の断熱・遮熱リフォーム
ガルバリウム鋼板以上に断熱性・遮熱性が低いトタン屋根は、塗装を行ってもすぐに劣化してしまうことも多いため、葺き替えやカバー工法を視野に入れても良いでしょう。
選択可能な断熱リフォーム
- 断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根のカバー工法による断熱リフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
費用相場:約15~250万円
選択可能な遮熱リフォーム
- 屋根の遮熱塗装リフォーム
- 屋根の下にアルミ製遮熱シートを貼るリフォーム
費用相場:約30~45万円
日本瓦屋根の断熱・遮熱リフォーム
日本瓦は塗装リフォームとカバー工法が行えませんので、それ以外の断熱・遮熱リフォームを選択することになります。
選択可能な断熱リフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
費用相場:約50~250万円
選択可能な遮熱リフォーム
- 屋根の下にアルミ製遮熱シートを貼るリフォーム
費用相場:約25~40万円
セメント瓦屋根の断熱・遮熱リフォーム
セメント瓦は日本瓦と違って、定期的な再塗装が必要です。
その際、断熱・遮熱塗料で施工することもできます。
なお、日本瓦と同様に、カバー工法は施工が非常に複雑になるため、今回の選択肢からは除外しています。
選択可能な断熱リフォーム
- 断熱塗料を屋根に塗装するリフォーム
- 断熱性の高い屋根材に葺き替えるリフォーム
- 屋根の裏側に断熱材を充填するリフォーム
費用相場:約15~250万円
選択可能な遮熱リフォーム
- 屋根の遮熱塗装リフォーム
- 屋根の下にアルミ製遮熱シートを貼るリフォーム
費用相場:約30~50万円
断熱リフォームに使える補助金
お住まいの自治体によっては、屋根の断熱リフォームを行うことによって、補助金を利用できることがあります。
補助金の金額や申請条件は自治体によって異なりますが、利用することができれば、リフォームにかかった費用の節約や、翌年の所得税の減税など、様々なメリットがあります。
なお、補助金の中には、指定された断熱材を、一定量使用しなければならないものや、工事前と工事中の写真を用意しなければならないものなどがあります。
工事に取り掛かってしまうと、申請ができなくなる恐れがありますので、リフォーム会社に補助金を利用したい旨を必ず伝え、申請する補助金の要綱を確認しておきましょう。
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ここまで説明してきた屋根リフォームは、あくまで一例となっています。
「費用・工事方法」は物件やリフォーム会社によって「大きく異なる」ことがあります。
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