目次
浴室パネル・バスパネルとは?
浴室の壁材をリフォームする方法のひとつとして、浴室パネル(バスパネル)の施工があります。浴室用のパネルはメンテナンスがしやすく、防水性や耐久性の高い素材で作られており、既存の壁の上から重ねて施工することもできるため、短期間の工事で高品質のリフォームができることが特徴です。
浴室パネルには多くのメリットがあり、浴室リフォームに使いやすい材料です。以下に代表的なメリットを解説します。
メリット①目地が少なくお掃除がしやすい
タイルの壁で不満が出やすいのが、目地のカビや汚れです。浴室パネルはタイルに比べて目地が少ないため、カビや汚れがつきにくく、お掃除がしやすいという大きなメリットがあります。
清掃やカビ取りの手間が大幅に減り、日常のメンテナンスが楽になるので、タイルの目地に悩まされている方にはおすすめです。
メリット②剥がれたりひび割れることがない
浴室パネルは乾式工法とよばれ、大きな板を並べて施工します。
タイルのように剥がれたり、目地がひび割れることがなく、将来の改修やメンテナンスが楽になります。長期間にわたり、施工時とあまり変わらない美しい状態を保つことができます。
浴室壁のリフォームには、パネルなどを用いる乾式工法と、タイルなどを用いる湿式工法があります。
乾式工法では、工場で製作されたパネルなどの製品を取り付けるため、工期が短く、品質が安定しています。
湿式工法はモルタルや接着剤を使用してタイルなどを貼る方法で、質感やデザイン性に優れていますが、工期が長く、高い技術が必要になり、接着剤や目地などの弱い部分に経年劣化が目立つことがあります。
メリット③防水性が高い
浴室パネルは1枚の大きな板からできているため、継ぎ目が少ない構造です。
このため、タイルに比べて水が侵入しにくいため、壁の中に水漏れして木材を腐らせたりするおそれが少なくなります。
メリット④施工しやすい
浴室パネルはタイルに比べて施工がしやすい材料です。既存の壁の上から重ねて張ることができ、凹凸のある下地にも施工することができます。既存の状態に影響されにくく、リフォームに適した材料です。
メリット⑤工期が短い
浴室パネル張りのリフォームは工期が短いのが特徴です。タイルの張り替えに比べて工事費用は高くなることも多いですが、短期間で施工が完了するため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
短期間でリフォームを完了させたい方におすすめです。
メリット⑥デザインの多様性がある
浴室パネルにはさまざまな色や柄の製品があり、自分の好みに合わせて選ぶことができます。
木目調や石目調、シンプルなホワイトなど、多彩なバリエーションが用意されているため、どんなインテリアのスタイルにもマッチするデザインを見つけることができます。
浴室用のパネルには、壁と天井の両方に対応する製品があります。このため、壁と天井を同一素材でリフォームすることで、統一感のあるインテリアを実現することができます。
浴室の壁リフォームの種類と方法
浴室の壁をリフォームするためには、さまざまな方法があります。以下に代表的な方法を紹介します。
浴室パネル張り
浴室パネルを上張りするカバー工法
既存のタイルやパネルを残したまま、その上から新しいパネルを貼る方法です。タイルからパネルにリフォームする場合にはもっとも一般的な工法です。
部屋がわずかに狭くなるデメリットもありますが、既存の壁を取り壊す必要がないため、工期が短く、費用を抑えたい場合におすすめです。
既存の浴室パネルを張り替える工法
既存のパネルを撤去して新しいパネルに張り替える方法です。カバー工法に比べて工期が長く、費用も多くかかりますが、既存の壁を撤去して内部の点検をすることにより、水漏れや下地、木材などの劣化を確認できることが大きなメリットです。
既存の浴室パネルの塗り替え
既存のパネルの劣化した塗装を塗り替える方法です。やや応急的な方法ですが、費用を抑えたい方にはおすすめです。塗装によって新しいパネルのような見た目に生まれ変わりますが、耐久性や防水性の向上には限界があるため、定期的な塗り替えなどのメンテナンスが必要です。
浴室用シート貼り
浴室用シートによるリフォームは、仕上がりの見た目がパネルに似ていますが、既存の壁の上から薄いシートを貼る比較的簡易な方法です。既存の浴室パネルや、古くなったユニットバスの壁を手軽にリフォームすることができます。
シートの種類やデザインも多彩で、個性的な浴室空間を演出できます。ただし、一般的にパネルに比べると耐久性は劣ります。下地の状態が良好で、表面が平滑であることが必要で、既存の状態に大きく影響されるため、施工できる条件は限られます。
シート貼りは工期が短く、費用を抑えることができるだけでなく、DIYでも比較的容易に施工できるため、自分でリフォームを楽しみたい方にも適しています。
タイル張りの壁に浴室用シートを貼ることは可能です。ただし、タイルや目地の凹凸が目立つ場合には、その形を拾ってしまうため、適切な下地処理材によって平滑に均す必要があります。
この工程は職人の技術力が活かされる場面であり、充分に時間をかけて作業が行われます。
タイルの張り替え
タイルの張り替えは浴室の代表的なリフォーム方法です。
タイルは耐久性が高く、高級感のある美しいデザインが特徴です。タイル張り工事は高度で専門的な技術が必要であり、工事期間も長くなります。
タイルの張り替えについて、詳しくは別の記事で紹介していますので、そちらも参考にしてください。
木の板張り
浴室の壁や天井には、天然木の板張りという選択肢もあります。ヒノキやヒバなどの水に強い木材を使用することで、高級感があり、落ち着いた雰囲気をもたらし、木の香りも楽しめるリラックスできる空間を実現できます。
ただし、工期が長く、工事費用も高額になり、メンテナンスにも手間と費用がかかります。カビやシミなどがつきやすいため、こまめな清掃を行い、乾燥を保つことに注意が必要です。
浴室全体をユニットバスに交換
お風呂全体をユニットバス(システムバス)に交換する方法もあります。
ユニットバスは施工が簡単で、工期も2〜5日程度と短く済みます。費用はユニットバスのグレードやサイズ、オプションで大きく変わります。全体的に新しい浴室空間にすることでデザインや断熱性、機能性が大きく向上します。
また、ユニットバスを設置する際には既存の壁の内部や床下の状態を全体的に点検できるため、家全体の寿命を延ばすことにもつながります。
パネルの張り替え工事が高額になるようなケースでは、ユニットバスへの交換リフォームと比較検討することもおすすめです。
ユニットバスの交換について詳しくは別の記事で紹介していますので、参考にしてください。
浴室パネルの費用相場はどれくらい?
浴室パネル張りのリフォーム費用は、30万~60万円です(広さ1坪程度)。リフォーム費用は、工法やグレードなどによって変わり、以下のような相場が一般的です。
浴室パネルを上張りするカバー工法 (約12㎡) | 30万円〜40万円 |
浴室パネルを張り替える場合 (約12㎡) | 40万円〜60万円 |
浴室パネルを上張りするカバー工法の場合
既存のパネルやタイルの上から新しいパネルを施工する、もっとも一般的な工法です。パネル本体の施工費用は1㎡あたり2〜3万円程度で、これに付帯工事を加えたものが施工費用になります。
カバー工法は、既存の壁を撤去しないため、費用と工期を抑えたい場合におすすめです。
浴室パネルを張り替える場合
既存のパネルやタイルを撤去して、新しいパネルを施工するケースです。既存のパネルの撤去費用と、下地となるボード類の施工費用がかかるため、既存の状態によってはカバー工法よりもかなり高額になります。
既存の壁の傷みが激しく、内部の点検・改修を行いたい場合などにはおすすめの工法ですが、ユニットバスへの交換と比較するような価格帯になるでしょう。
浴室パネル張りの工事にともなって、水栓やシャワー、鏡、照明器具などを取り外し、再取り付けをする必要があります。設備や電気の専門業者の作業費用がかかり、これらの数や種類によって費用が変わります。
また、下地の劣化が激しい場合には修繕費用が追加されます。
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浴室パネルの主なメーカーとは?
ここでは、浴室パネルの代表的なメーカーと製品シリーズを紹介します。
アイカ【バスフィットパネル】
アイカのバスフィットパネルは、優れた施工性と洗練された意匠性を両立する、水廻り専用の壁面材です。
軽量化された基材で持ち運び・施工がしやすく、新築・改修問わず使用できる、施工性・メンテナンス性に特化した製品です。水廻り空間を清潔に保ち続けられるよう、抗菌・防カビタイプも用意されています。
デザインや施工用途によって使い分けられるよう、40種類ものパネルをラインナップしています。
フクビ【バスパネルシリーズ】
フクビのバスパネルは、壁や天井に対応する多彩なデザインとカラーバリエーションから選ぶことができます。
壁面用の「鏡面アルパレージ」は発泡成形で成形された910㎜の広幅パネルです。美しい鏡面仕上げが、高級感のある空間を演出します。
浴室パネル工事の流れとは?
浴室パネル張りの工事の流れを解説します。解体、下地作り、仕上げ、機器の再取り付けまでの手順を説明します。
浴室パネルを標準的なカバー工法で張る場合、以下のような手順で工事が進みます。
①養生 | 浴室内を保護し、工事中の汚れや傷を防ぎます。 |
②設備機器の取り外し | 必要に応じて、シャワーや水栓などの設備機器を取り外します。 |
③下地処理 | 既存壁面の点検と補修を行い、平滑な状態を作ります。 |
④パネルのカットと仮置き | 壁の寸法に合わせてパネルをカットし、仮置きして確認します。 |
⑤接着剤の塗布 | 壁面に接着剤を均一に塗布します。 |
⑥パネルの取り付け | 接着剤を塗布した壁面にパネルを貼り付け、継ぎ目や端部をシーリングします。 |
⑦仕上げ | 継ぎ目のシーリングとパネル表面のクリーニングを行い、仕上がりを確認します。 |
⑧設備機器の再取り付け | シャワーや水栓などの設備機器を再取り付けし、必要に応じてシーリングを行います。 |
張り替え工法の場合は、上記の工程に加えて、既存タイルの撤去や、新規パネルを張るための下地作りが必要になります。施工内容は既存の状態によって変わり、大掛かりな修繕が必要になる場合もあります。
工事の期間
浴室パネル工事の標準的な工期は以下の通りです。
カバー工法の場合
養生・設備機器の取り外し | 約半日 |
パネルのカットと仮置き | 約半日 |
接着剤の塗布とパネル取り付け | 約1~2日 |
仕上げと設備機器の再取り付け | 約半日 |
合計 | 約2~3日 |
張り替え工法の場合
養生・設備機器の取り外し | 約半日 |
タイル撤去 | 約1日 |
下地処理と乾燥 | 約1~3日 |
パネルのカットと仮置き | 約半日 |
接着剤の塗布とパネル取り付け | 約1~2日 |
仕上げと設備機器の再取り付け | 約半日 |
合計 | 約5~7日 |
カバー工法では、下地に大きな凹凸がある場合には、これを調整する工程が追加されます。
張り替え工法では、タイルを撤去して点検した際に、壁の内部が劣化していた場合、木材の交換や防蟻処理などの追加工事が発生することがあります。このため、工期に余裕をみておくことをおすすめします。
また、シャワーや水栓、照明器具などの設備機器の交換を行う場合には、それらの納期の確認も必要です。
浴室パネルの張り替えはDIYでできる?
浴室パネル張りは、DIYでの施工は基本的に困難であると考えられます。
パネル張りは、内装工事の中でも難易度が高い作業です。下地を平滑に調整する作業に経験が必要で、大きなパネルを部屋のサイズや設備機器の位置に合わせて正確にカットし、接着する作業にも高い技術が必要になります。また設備機器や照明器具を取り外す必要がある場合には、専門業者による施工が必要です。
パネルに似た工法であるシート貼りは、パネルに比べて難易度が低いためDIYで挑戦することも可能です。ただし、コーナーや設備機器まわりなどの難しい箇所もありますので、きれいな仕上がりを求める場合には、プロのリフォーム業者に依頼することを検討しましょう。
浴室パネルの注意すべきポイントとは?
浴室パネルによるリフォームを検討する際の注意点を以下に解説します。
傷みが激しい場合は壁の内部も点検したい
既存のタイルや目地にひび割れが多くあり、傷みが激しい場合は、壁の内部の劣化も疑われます。壁の内部への水漏れがある場合には、木材が腐朽していたり、シロアリ被害の可能性も高まります。
この場合は、表面的なリフォームだけでは根本的な解決にならず、問題を抱えたままになってしまいます。既存の壁を撤去して点検し、必要に応じて修繕を行ってから、パネルを張り替えることが望ましいです。
設備機器の劣化も確認したい
パネル張りの際には、シャワーや水栓、浴槽など、浴室内の設備機器の取り外しと再取り付けが必要になります。壁材が劣化している場合は、それらの機器や配管なども同様に劣化している可能性があります。
この機会に設備機器の状態を確認し、必要に応じて交換することで、より快適な浴室環境を整え、長く快適に使うことができます。
カバー工法でも下地の清掃が必要
カバー工法では既存のタイルを撤去せずに使用するため、壁のカビや汚れを十分に除去しなければなりません。特にカビについては再発防止のために防カビ剤を使用するなどして、清潔な状態にしておく必要があります。
張り替えの場合は下地の防水性に注意したい
既存のタイルやパネルを撤去して張り替える場合、下地の防水シートやシーリングによる防水施工が重要です。浴室は水がかかり、湿気が多いため、壁の中に水が侵入しないように防水対策を適切に行うことで、長期間にわたり安心して使用することができます。
メンテナンスには注意すべき点もある
浴室パネルは目地が少なく表面が平滑なため、掃除しやすい素材ですが、パネルの表面にタイルほどの硬さと耐久性はないため、メンテナンス時には注意が必要です。表面に傷がつかないよう、柔らかいスポンジと中性洗剤を使用して、優しく清掃するようにしましょう。
Q&A
- パネルの耐用年数はどのくらい?
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浴室パネルは一般的に10〜20年以上の耐用年数があります。ただし、継ぎ目のシーリング(コーキング)は、より短い期間で劣化し、打ち替えが必要になる場合があります。耐用年数を延ばすためには、定期的な清掃や点検、メンテナンスが欠かせません。
- パネルを取り付けることで断熱性は向上する?
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タイルの上にカバー工法で浴室パネルを施工した場合、断熱性能が若干向上するだけでなく、タイルよりも熱伝導が少ないため、表面の冷たさが緩和され、結露もしにくくなります。
また、既存の壁を撤去して張り替える場合には、壁の内部に断熱材を施工することで、さらに断熱性能を向上させることができます。
- 傷がついた壁の上から施工できる?
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カバー工法では、下地のパネルやタイルが傷んでいても、施工は可能です。ただし、大きな損傷がある場合や、下地が歪んでいるなど状態が悪い場合は、これを平滑にする工程が必要になります。
また、ひび割れがある場合には水漏れにより壁の内部の劣化も疑われますので、事前に点検し、必要に応じて修繕を行うことが必要です。
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