目次
増築とは?改築とは何が違う?
- 増築
-
建物の床面積を増やすリフォームのこと
【例】
- お風呂を広くする
- サンルームをつける
- 離れを建てる
- 改築
-
建物の床面積を変えずにリフォームすること
【例】
- 水まわりの設備を交換する
- 間取りを変更する
- 壁を解体して断熱材を入れる
増築とは、建物の床面積を増やすリフォームのことを指します。
寝室の隣にサンルームを新しくつけるなど、既存よりも床面積を増やすことで、使いやすさや心地よさをプラスできるのがメリットです。
一方、改築は建物の床面積は変えずに、水まわりの設備を交換したり、間取りを変更したりするリフォームのことを指します。
【畳数別】増築の費用相場
畳数 | 費用相場 |
---|---|
2畳 | 70万円〜 |
4畳 | 140万円〜 |
6畳 | 210万円〜 |
8畳 | 280万円〜 |
10畳 | 350万円〜 |
木造住宅で増築する場合、2畳(1坪あたり)およそ70万円が相場となるので、6畳の増築なら210万円〜が相場です。
上記の費用相場は住宅設備を施工しない洋室の増築を想定しているため、ユニットバスなどの住宅設備を施工する場合は、さらに費用がかかる点に注意してください。
また、構造によって建築材料の価格や施工の仕方が異なるため、同じ畳数であっても、構造が違えば増築にかかる費用も変わります。
具体的な金額は、リフォームのプロに見積もりを依頼して確かめましょう。
【箇所別】増築の費用相場
増築する際の費用相場を、以下の箇所別に紹介していきます。
増築を検討している方は、希望のリフォーム内容の費用相場をチェックしてみてください。
居室(リビング・子供部屋・和室)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
リビング(10畳) | 350万円〜 |
子供部屋(6畳) | 180万円〜 |
和室(6畳) | 190万円〜 |
リビングや子供部屋などの居室を増築する場合、設備機器を設置する必要がないため、比較的費用を抑えられます。
床材を無垢材にするなど、内装材にハイグレードな商品を採用する場合などは、相場よりも費用が高くなるので注意しましょう。
水回り(トイレ・キッチン・お風呂・洗面所)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
トイレ(2畳) | 130万円〜 |
キッチン(4.5畳) | 290万円〜 |
お風呂(2畳) | 150万円〜 |
洗面所(2畳) | 130万円〜 |
トイレ・キッチン・お風呂・洗面所などの水まわりは、設備機器の設置や給排水工事が必要となるため、居室の増築よりも費用が高くなる傾向にあります。
上記の費用相場は、ミドルグレードの設備機器を採用した場合の金額です。セラミックなどの高級な素材を使ったハイグレードの設備機器を採用すれば、費用はさらに高くなります。
そのため、予算内におさまるような設備機器のグレードを選ぶことが大切です。
居室以外(玄関・廊下・縁側など)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
玄関(2畳) | 70万円〜 |
廊下(2畳) | 60万円〜 |
縁側(6畳・屋内) | 80万円〜 |
玄関は、1階に増築する場合を想定しています。2階に増築する場合は、仮設足場が必要になり、費用が100万円〜と高額になるケースもあるので、注意しましょう。
とくに、鉄筋コンクリートやモルタル製の外階段を増設する場合は、200万円以上かかるケースもあります。
また、屋外に濡れ縁をつくるのであれば、既製品を使うと10〜20万円で施工できる場合もあります。費用を安くしたい場合は、屋外につくることも検討してみましょう。
縁側の後づけについては、下記記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。
外回り(バルコニー・ベランダなど)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
バルコニー 幅:1,800mm×奥行き:900mm ※屋根なし | 30万円〜 |
ベランダ 幅:1,800mm×奥行き:900mm ※屋根なし | 45万円〜 |
テラス 6畳 ※屋根なし | 10万円〜 ※屋根ありの場合、追加で15万円〜 |
サンルーム 幅:2,700mm×奥行き:1,800mm ※屋根あり | 50万円〜 |
バルコニーとベランダの違いは「屋根の有無」で、屋根があるベランダの方が15万円ほど費用相場が高くなっています。
上記の費用相場は、FRP防水で仕上げた場合を想定していますが、ウッドデッキでの仕上げとなると追加で20万円ほど費用がかかります。
また、サンルームは既製品を設置した場合の費用としているため、造作で施工する場合は上記よりも費用がかかる点に注意しましょう。
サンルームとテラスの増築については、下記の各記事で詳しく解説しているので、こちらもチェックしてみてください。
駐車場(カーポート・ガレージ・物置)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
カーポート 1台用・一般地用 | 20万円〜 |
カーポート 2台用・一般地用 | 40万円〜 |
ビルトインガレージ 1台用 | 150万円〜 |
物置 幅3,600mm×奥行き1,500mm×高さ2,000mm | 30万円〜 |
カーポートや物置などの、駐車場に関連する増築は、選ぶメーカーや商品によって価格が大きく変わります。
また、積雪地では、積雪の重みに耐えられる仕様の商品を選ぶ必要があるため、一般地よりも費用が高くなります。
物置の増築については、下記記事で詳しく解説しているので、こちらもチェックしながら増築の際に採用するメーカーや商品の選定を進めましょう。
階数を増やす(2階建てを3階建てに)
増築箇所 | 費用相場 |
---|---|
2階建てを3階建てに (6畳) | 360万円〜 |
2階建てを3階建てになど、階数を増やす増築は、1階に増築する場合よりも費用が高くなります。
1階の一部を解体したり、階段を設置したりと、大規模な工事となるためです。
そのため、1か月以上の期間が必要な工事となり、仮住まいの利用を検討する必要があります。
お伝えしてきた費用とは別に「諸経費」が全体の10〜15%ほどかかるので、詳細な金額は見積時に確かめましょう。
増築費用を施工事例でチェック!
増築にかかる費用を、実際の施工事例を元に紹介していきます。
【事例1】1階に書斎を増築
リフォーム費用 | 約450万円 |
増築面積 | 10平方メートル (およそ6畳) |
工期 | 1か月半 |
建物 | 一戸建て |
施工箇所 | 壁:壁紙 床:フローリング 窓サッシ 屋根塗装 外壁塗装 |
「在宅ワークで書類が増えたので、書斎を1階に増築したい」とご相談があったお客様の施工事例です。
住みながらの工事となったため、生活に支障が出ないように注意しながら、工事を進めていきました。
既存の部屋と自然になじむような内装を選んだので、統一感がある仕上がりとなっています。
【事例2】リビングを6畳増築して拡張
リフォーム費用 | 約510万円 ※増築以外も含む |
工期 | 1か月 |
建物 | 一戸建て |
施工箇所 | キッチン 洗面所 洋室 ベランダ リビング・ダイニング |
メーカー名/商品名 | 【キッチン】タカラスタンダード/エマージュ 【サンルーム】YKK AP/サンフィールⅢ |
リビングの増築とサンルームの設置、間取り変更をおこなった一戸建ての施工事例です。
既存のリビングの広さは8畳。増築により6畳プラスして、14畳の広々としたLDKとなりました。
リビングに設置したサンルームから自然光が多く入るので、とても明るいキッチンに仕上がっています。
【事例3】浴室を増築して1坪サイズに
リフォーム費用 | 約350万円 ※増築以外も含む |
工期 | 20日 |
建物 | 一戸建て |
施工箇所 | 浴室 洗面所 窓サッシ 屋根塗装 外壁塗装 |
メーカー名/商品名 | 【浴室】LIXIL/アライズ(1616) 【洗面台】LIXIL/ピアラ 【窓】LIXIL/ディオPG |
「浴室を1坪にしたい」とご相談があった一戸建ての施工事例です。
現地を調査した結果、浴室の出窓がある壁面を解体し、増築することで、1坪へのサイズアップが可能であると判明。梁の補強をした上で、増築をおこないました。
浴室を増築したことで、デッドスペースとなっていた場所を物入れとして使えるようになり、洗面所の収納量が増えました。
【事例4】増築で完全分離型の2世帯住宅へ
リフォーム費用 | 約4,000万円 ※増築以外も含む |
工期 | 約6か月 |
建物 | 一戸建て |
施工箇所 | トイレ キッチン 浴室 洗面所 壁:壁紙 床:フローリング 和室 洋室 窓サッシ 階段・廊下 玄関ドア ベランダ エクステリア 屋根塗装 外壁塗装 リビング・ダイニング |
「両親が住んでいた築30年の母屋を、1階・2階のどちらも増築して、完全分離型の2世帯住宅にしたい」とご相談があった、一戸建ての施工事例です。
増築をする前に、基礎の強さを検査し、検査の結果に基づいて耐震・断熱補強を施工しました。
建物の強さや断熱性を向上させただけでなく、広々としたLDKや収納が豊富にある水まわりなど、快適に暮らせる2世帯住宅に仕上げています。
【事例5】母屋とつなぐ廊下を増築
リフォーム費用 | 約390万円 |
増築面積 | 12平方メートル (約7畳) |
工期 | 2か月 |
建物 | 一戸建て |
施工箇所 | キッチン 壁:壁紙 階段・廊下 |
メーカー名/商品名 | 【キッチン】クリナップ/コルティ |
「母屋と離れの間を行き来できる廊下を増築したい」とご相談があった一戸建ての施工事例です。
増築するにあたり、母屋のキッチンや勝手口の配置変更を検討し、最適な導線を探りました。
また、増築した廊下は、洗濯スペースとしても兼用できるようにつくりました。雨でも気にせず洗濯物が干せるようになり、お客様から喜びの声をいただきました。
【事例6】インナーガレージと寝室を増築
リフォーム費用 | 約630万円 |
増築面積 | 20平方メートル (約12畳) |
工期 | 3か月 |
建物 | 一戸建て |
庭の空いているスペースに、1階にインナーガレージ、2階に寝室を増築した施工事例です。
インナーガレージは、室内側にドアをつけると、雨にぬれることがなく出入りできます。
また、車を汚れから守れるだけでなく、盗難を予防する効果も期待できるのがメリットです。
増築で活用できる補助金や助成金はある?
増築で活用できるのは、以下のような補助金・助成金の制度です。
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 各自治体のリフォーム関連の補助金
これらの他にも、活用できる補助金・助成金はあります。ただ、増築の面積や申請するタイミング、お住まいのエリアなどによって、活用できる制度が異なります。
補助金や助成金については、注意点も含めて下記記事で詳しく紹介していますので「補助金や助成金を活用したい!」という方は、こちらもチェックしてみましょう。
増築する際の注意点
増築する際の注意点をいくつか紹介していきますので、増築を検討している方は、トラブルが起きないよう、事前にチェックしておきましょう。
【注意点1】水まわりを使えない期間がある
キッチンやお風呂などの水まわりを増築する場合、給排水工事が必要となるため、水まわりを使えない期間があります。
配管の経路や増築の規模などによっては、水まわりが使えないのは数時間と、生活に支障が出ない時間で済む場合もあります。
しかし、なかには3〜7日ほど使えない場合もあるため、事前に以下のような用意をしておくことが大切です。
- 水を使わなくて済む食材を買っておく
- 近くに銭湯があるか確かめておく
水まわりが使えない期間も、生活への影響を最小限にできるよう、入念に準備しておきましょう。
【注意点2】仮住まいの利用を検討する
大規模な増築の場合、工期が2〜6か月かかるため、仮住まいの利用を検討する必要があります。
工事している間は、水まわりを使えない期間があるだけでなく、騒音や臭いの発生もあるため、普段通りの生活ができません。
数日の工事であれば、昼間は実家で過ごすなどの対策ができます。しかし、長期間となると生活への影響も大きくなるので、仮住まいの利用をおすすめします。
なかには、無料で仮住まいを提供している専門業者もあるので、大規模な増築を考えている方は、事前に担当者へ相談してみましょう。
【注意点3】近隣住民への配慮を欠かさない
大規模な増築であれば、2〜6か月の工期が必要です。そのため、騒音や臭いの発生、工事業者の出入りによって、近隣の住民へ迷惑をかける可能性があります。
工事業者が、近隣の住民に対して、工事前のあいさつをおこなってくれるのが一般的です。しかし、あいさつをしたからといって何でも許されるわけではありません。
工事が始まった後も、車が道をふさいでいないかなど、工事業者だけでなく、自分でもチェックすることをおすすめします。
なかには「工事をきっかけにトラブルになってしまった」というケースもあるので、不安な点があれば、リフォームのプロに相談しておきましょう。
増築する前にチェックしておきたいポイント
増築する前に、以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 建ぺい率・容積率をクリアできるか
- 既存不適格建築物に分類されるか
- 建築確認申請が必要か
- 耐震性の基準をクリアできるか
- 固定資産税が増額されるか
「予想していたよりも費用がかかってしまった」など、想定外の事態になって後悔しないように、1つずつチェックしていってください。
【ポイント1】建ぺい率・容積率をクリアできるか
- 建ぺい率
-
敷地面積に対する建築面積の割合のこと
【計算方法】建築面積/敷地面積×100
※ 建築面積:建物を真上から見た時の面積 - 容積率
-
敷地面積に対する延床面積の割合のこと
【計算方法】延床面積/敷地面積×100
※ 延床面積:各階の床面積の合計
増築する場合、お住まいのエリアなどによって決められている「建ぺい率・容積率」をクリアできるかを確かめた上で計画を立てる必要があります。
敷地に対して、建物を建てられる面積が決められているため、必ずしも希望通りに増築ができるとは限らないためです。
建ぺい率・容積率については、専門業者の方で計算してくれるので、建ぺい率・容積率の制限がある点を理解しておきましょう。
【ポイント2】既存不適格建築物に分類されるか
既存不適格建築物とは、現在の法令や都市計画の基準を満たさない建築物のことです。
新築時にあった法令などのルールは守られていても、現在の基準には達していない場合、既存不適格建築物に分類されます。
既存不適格建築物に分類される場合、建築確認申請が必要な増築をする際は、既存の建物全体を、現在の基準を満たすように工事しなければいけません。
そのため、高額な費用がかかるので、見積もりの際に必ず確かめましょう。
現在では「既存不適格の緩和」という制度があり、増築の面積によっては規制が緩和される場合もあります。緩和の対象になるかの判断は、専門的な知識が必要なので、リフォームのプロに相談してみましょう。
【ポイント3】建築確認申請が必要か
- 建築確認申請が必要
-
- 防火、準防火地域に住んでいる
- 防火、準防火地域以外にお住まいで10平方メートルを超えて増築する
- 建築確認申請が不要
-
- 防火、準防火地域以外にお住まいで10平方メートル以下の増築をする
建築確認申請とは、新築や増改築をする際に、自治体や指定確認検査機関に対して、工事の内容が法令などのルールを守っているか確認してもらうための手続きです。
上記の表にまとめたように、なかには建築確認申請が不要な増築もありますが、必要な増築も多くあります。
建築確認申請が必要な場合、書類作成と申請代行で12〜15万円の費用がかかるので、予算に含めておきましょう。
【ポイント4】耐震性の基準をクリアできるか
増築により、既存の建物の一部を解体したり、床面積を増やしたりする場合、耐震性の基準をクリアできるかを確かめる必要があります。
増築する部分は、現行の耐震基準で工事するので、基準をクリアできます。しかし、既存の建物が従来の基準で建てられている場合、建物のバランスが崩れてしまうことも。
バランスなどを確かめるには、建築士の資格をもつ方による計算や調査が必要です。専門業者に増築したい面積や場所を相談し、耐震性に問題が出ないかを確かめましょう。
【ポイント5】固定資産税が増額されるか
増築により建物の床面積が増えると、固定資産税が今までよりも増額になる可能性があります。
サンルームやウッドデッキを追加する程度であれば、年間あたり数千円〜2万円ほどの増額で済むと考えられますが、増築の面積や建物の構造などによっても金額は異なります。
どれほど増額になるか不安な方は、事前に自治体へ相談してみましょう。
増築による固定資産税の増額については、下記記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
増築費用の見積もりから支払いまでの工程
増築を検討している方のために、増築費用の見積もりから支払いまでの工程を紹介していきます。
相見積もりをして、見積もりだけでなく、丁寧に対応してくれるか、保証が充実しているかなどを比べながら施工業者を選びましょう。
建築確認申請に対する許可がおりるまで、通常1〜2週間、最長で70日かかる場合もあります。
増築工事を依頼する業者によって、支払いのタイミングは異なります。
増築工事は高額のため「一括前払い」はあまり耳にしませんが、契約時に総額の半分を払い、工事の引き渡し時に残りの半分を支払うケースもあります。
とくに、支払いにローンを利用する場合は、ローン審査などで時間がかかるため、早い段階から準備しましょう。
増改築・間取り変更リフォームの業者選びで後悔しないために
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なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
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