目次
建物の外壁の役割とは?
建物にとって、外壁は屋根と同様、重要な役割をもっています。外壁は日常における雨風や台風などの災害から生活空間を守っています。
外部からの騒音に対しての遮断、夏の暑さや冬の寒さなど断熱に対しても大きな役割を果たしています。
また、外壁は屋根とともに住宅全体の印象を決める重要な部分であると同時に、町の景観にも大きく影響を与えます。
よく利用されている外壁の種類とは?
現在よく利用されている外壁の種類は以下の4つです。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは住宅の外壁として、現在最も使用されている外壁材です。
デザイン性が豊富で、価格も安いため人気があります。
金属系サイディング
金属系サイディングは耐久性が高く、メンテナンスの頻度が低いため、近年注目されています。
モルタル外壁
モルタル外壁は仕上げの種類が豊富であることから、外壁のデザインを自由に決めることができます。
また、目地をつけないことにより、高級感ある仕上がりにもできる外壁材です。
ALC外壁
ALC外壁は珪石やセメントなどを主原料にして内部に気泡を含ませている外壁です。
耐久性が高く、防火性能にも優れていることから、住宅、施設問わず多く利用されています。
窯業系サイディングの特徴
単価/1㎡ | 約1,900円~ |
メンテナンス頻度 | 約8年~約10年 |
メリット | デメリット |
色やデザインが豊富 | メンテナンス頻度が高い |
初期費用が抑えられる | 熱を溜めやすい |
工期が短い | 素材自体に防水性がない |
耐火性に優れている | 吸水性が高い |
窯業系サイディングとは、セメント質と繊維質などを板状に形成したもので、現代の住宅で最も多く使用されており、約70%ほどのシェアを誇ります。
窯業系サイディングは、色やデザインのバリエーションが豊富で、耐火性に優れていることが特徴です。耐火性の強さから、防火外壁材と呼ばれるほどです。
工場にて大量生産されているため、他の外壁材より安く、工期も短いため、初期費用を安く抑えることができます。
一方デメリットは、初期費用が安い代わりに、メンテナンス頻度が高めです。10年に一度は、外壁の塗装が必要になります。
熱を溜めやすい特徴があり、夏場は室内の温度もあがるため、エアコンを使用する頻度が増えるでしょう。遮熱・断熱の効果がある塗料を使用することをおすすめします。
窯業系サイディングの劣化症状
窯業系サイディングは、継ぎ目に使用するコーキング材に経年劣化がしやすい性質があります。
剥離、変色、ひび割れ、チョーキングなどの症状が見られた場合は、コーキング材が劣化している可能性が高いです。コーキング材の劣化が見られたら改修が必要なため注意が必要です。
窯業系サイディングの代表的なメーカー
窯業系サイディングの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
ニチハ | 「プレミアムシリーズ」 | 外壁どうしの継ぎ目が目立ちにくい「四方合いじゃくり」仕様と、色あせに強い超高耐候塗料「プラチナコート」を採用している |
ケイミュー | 「光セラ」 | 汚れを雨で洗い流すセルフクリーニング機能を持ち、色あせにも強い |
旭トステム外装 | 「AT-WALL」 | 高級感のあるラインナップで、防火、耐候性に優れている |
窯業系サイディングを使用した家の外観
窯業系サイディングは、セメントを成型して作られるため、デザインのバリエーションが豊富です。
レンガ調や木目調、タイル調などさまざまなデザインから選べるので、好みの外壁に仕上げやすくなります。
金属系サイディングの特徴
単価/1㎡ | 約4,000円~ |
メンテナンス頻度 | 約10年~約15年 |
メリット | デメリット |
メンテナンス周期が長い | デザインの自由度が低い |
断熱性が高い | 錆が発生しやすい |
防音性が高い | 傷がつきやすい |
凍害に強い | 工事費が高い |
金属系サイディングは、金属板を加工して、断熱材で裏打ちした外壁材です。そのため窯業系サイディングなどの外壁材よりも約5倍断熱性が高いです。外の気温に影響を受けにくいため、年中快適に過ごすことができるでしょう。
金属系サイディングは、ほかの外壁材に比べて軽量なので、住宅への負担が少なく、地震にも強いです。
一方、金属製の外壁材のため雨など水が当たることで錆びやすく、傷がつきやすいことがデメリットとして挙げられます。
金属系サイディングの劣化症状
金属系サイディングは、ひび割れによる水の浸み込みや凍害の心配がないため比較的メンテナンス周期は長めです。コーキングの劣化、錆、塗膜の剥がれや膨れ、塩害などの症状が見られたらメンテナンス時期のサインです。
いずれの症状も放置してしまうと、劣化が進み、耐用年数よりも寿命が短くなりますので注意が必要です。
金属系サイディングの代表的なメーカー
金属系サイディングの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
アイジー工業 | アイジーサイディング「シンプルモダンシリーズ」 | 独自のサンドウィッチ工法で、軽量性、断熱性、デザイン性に優れている |
ニチハ | 「メタルガード光シリーズ」 | 軽量設計で、多彩なデザイン、幅広いグレードを揃えている |
旭トステム外装 | 「Danサイディングシリーズ」 | 柄の深さと先進の塗装技術により、よりリアルなデザインを表現しており、耐震性、耐凍害性、断熱性が高い |
金属系サイディングを使用した家の外観
金属系サイディングは、金属ならではの質感が特徴ですが、最近では、窯業系サイディングと見分けがつかないこともよくあります。
見分け方は「目地」で、目地はあるが目立たないのが金属系サイディング、目地がはっきりとわかるのが窯業系サイディングです。
樹脂系サイディングの特徴
単価/1㎡ | 約4,500円~ |
メンテナンス頻度 | 約10年~約20年 |
メリット | デメリット |
メンテナンスの手間が少ない | デザイン性が低い |
シーリングのメンテナンスが不要の場合がある | 取り扱っている業者が少ない |
軽くて耐久性が高い | 工事費用が高い |
凍害に強い | 耐火性が低い |
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂が使われたサイディングで、窯業系サイディングの約1/10の重さで非常に軽いです。
樹脂系サイディングは、他のサイディングに比べ耐久性が高く、ほとんどメンテナンスが必要ありません。目地にコーキングが必要ない樹脂系サイディングの商品もあるため、デザイン性は良くなるでしょう。
樹脂系サイディングは国内ではあまり普及しておらず、そもそも樹脂系サイディングを取り扱っているという業者がかなり限定されてしまうのが大きなデメリットです。
樹脂系サイディングの劣化症状
樹脂系サイディングは、表面に塗装を施しているのではなく、素材自体に色を付けて加工しています。樹脂系サイディングの原料である塩化ビニル樹脂は、耐久性や耐候性に優れているため表面に塗膜をつくる必要がありません。
樹脂系サイディングは、ほとんどメンテナンスの必要がないといえるでしょう。
樹脂系サイディングの代表的なメーカー
樹脂系サイディングの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
旭トステム | 「WALL-J」 | 光沢を抑えた色合いで建物に高級感を持たせることができる |
ゼオン化成 | 「ゼオンサイディング」 | 豊富なカラーバリエーションや縦張りと横張りの商品ラインナップがある |
エポックス | 「永久美人」 | 全工事を自社による施工を行っているため施工実績も豊富 |
樹脂系サイディングを使用した家の外観
樹脂系サイディングは、アメリカでは40%、カナダでは60%普及していますが、日本では1%〜2%と普及率がかなり低いため、あまり見かけたことはないかもしれません。
写真のような外観ですが、日本では馴染みにくいデザイン性といえるでしょう。
木質系サイディングの特徴
単価/1㎡ | 約6,000円~ |
メンテナンス頻度 | 約7年~約10年 |
メリット | デメリット |
断熱性が高い | 価格が高い |
温かみがある | 腐食しやすい |
耐久性がある | 防火性が低い |
自然素材である | 取り扱っている業者が少ない |
木質系サイディングは、無垢な木材の表面を加工した外壁材です。最近では、無垢の木材を加工することにより、耐火性、耐久性を備えるものも出てきています。
一枚板や集成材と呼ばれる複数の板を合わせた人工の木材などがあり、外壁のデザインや使用する範囲などで変わります。
木質系サイディングの劣化症状
木質系サイディングは、木材ゆえに他の外壁材よりもメンテナンスに気を付けなければなりません。木材であるがゆえ水に弱いため、雨や湿気を吸収し、腐食の原因となります。
腐食した木材は耐久性を著しく低下させるため、劣化症状が出る前の対策が必要となります。
木質系サイディングの代表的なメーカー
木質系サイディングの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
高広木材 | 「本実サイディング」 | 縦張り・横張りがどちらも可能で、外壁以外にも軒天、天井、内装、造作など幅広い用途に使用可能 |
小原木材 | 「タフの木」 | 木目の流れの映える羽目板は、和風だけでなく洋風の建築にも自然に溶け込める |
プレスリーホームズ | 「ウッドサイディング」 | カラフルな塗装で個性的な外壁にしたい人向け |
木質系サイディングを使用した家の外観
木質系サイディングは、自然のぬくもりを感じることができます。
しかし、デメリットが多いことから、見た目はあまり変わらない「木目調」の窯業系サイディングや金属系サイディングを活用されるケースが多いです。
モルタルの特徴
単価/1㎡ | 約1,500円~ |
メンテナンス頻度 | 約5年~約10年 |
メリット | デメリット |
耐火性、耐熱性が高い | ひび割れしやすい |
デザイン性が高い | 汚れやすい |
断熱性が高い | 防水性が低い |
コーキングのメンテナンスが不要 | 仕上がりに差がでやすい |
モルタルとは、砂と水とセメントを練り混ぜてつくる建築材料です。モルタル外壁は、サイディング外壁が主流になる前に広く普及していた外壁です。
モルタル外壁は、目地がないためコーキングのメンテナンスが必要なく、すっきりとした仕上がりになるメリットがあります。どんな形状の外壁にも対応できるデザインの自由度の高さと意匠性に優れています。
しかし、ひび割れしやすい特徴があり、景観が損なわれやすいです。職人の技術によって、仕上がりの差がでやすいのもデメリットといえるでしょう。
モルタル外壁の劣化症状
モルタルは何といってもひび割れが弱点です。ひび割れが発生すると、雨水が浸入し、雨漏りの原因や構造部分の腐食の原因となる恐れがあるため補修する必要があります。
また、モルタルの表面にチョーキング、剥がれやコケ・藻などが発生した場合も劣化のサインとなりますので注意しましょう。
モルタルの工法の種類
モルタルの装飾工法について紹介します。
リシン仕上げ
リシン仕上げは、塗料を吹き付ける際に砂利や樹脂などを混ぜ合わせる工法で、自然石などの風合いに近いのが特徴です。壁面にひび割れが生じやすいのがデメリットで、リシン仕上げの耐用年数は、約7年と言われています。
また、リシン仕上げのなかでも複数の仕上げ方がありますが、リシン掻き落とし仕上げは、モルタルを塗った後に、モルタルが硬化する前に引っ掻いて粗い面に仕上げる工法が一般的です。
スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げもリシン仕上げ同様、塗料を吹き付ける際に砂利や樹脂などを混ぜ合わせる工法です。リシン仕上げよりも更に分厚く施工することにより、重厚感を出すことができます。
また、スタッコ仕上げには、「コテ塗り」と「吹き付け塗装」の2種類の工法があり、吹き付け塗装によるスタッコ仕上げは、工期が短く、工事費用が安いことが特徴です。
ジョリパット
ジョリパッドとは、アクリル塗料の中に細かい砂などを混ぜた塗料で、モルタルの雨水から守るために上から仕上げる塗料のことです。
ジョリパッドは、アイカ工業のベストセラー商品で、同じ仕上げ塗料は、エスケー化研のベルアート、日本ペイントのインディアートがあります。
職人の手によってコテで仕上げるため、職人の技術によって差がでやすいでしょう。
吹き付けタイル
吹き付けタイルとは、けい砂、軽量骨材などと樹脂などの結合材を混ぜ合わせたものをスプレーガンと呼ばれる工具で吹き付けた工法のことです。
吹き付けタイルは、一般的に塗料を下塗材、主材、上塗材と3回塗り重ねます。
タイルのような艶のある硬い仕上がりが特徴で、表面は凹凸のある模様になり、塗材を吹き付けたまま仕上げたり、凸面を押さえて平たく仕上げることも可能です。
モルタル外壁の家の外観
モルタル外壁は、コンクリートと見た目が似ていますが、仕上げによって大きく変わります。目地がないため、すっきりとした仕上がりでおしゃれな印象です。
ALCの特徴
単価/1㎡ | 約7,000円~ |
メンテナンス頻度 | 約10年~約15年 |
メリット | デメリット |
耐久性が高い | 防水性が低い |
断熱性が高い | 工事金額が高い |
軽量で耐震性が高い | ー |
遮音性が高い | ー |
ALCとは、内部にたくさんの気泡を含ませ軽量化させたコンクリートのことを言います。
セメント、珪石、生石灰、石膏、発泡剤のアルミニウム粉末などが主成分で、アスベストやホルムアルデヒドなどの有害物質は含まれていません。
ALCは軽量で耐久性や断熱性が高く非常に優秀な外壁材といえますが、戸建て外壁では希少性が高く情報が少ないのが実情です。
ALCは吸水性の高い素材のため、防水性が低いというデメリットがあります。内部に水が侵入してしまうと、ひび割れの原因となり修復が難しくなるケースもあるので注意しましょう。
ALCパネルやシーリングの劣化を防ぐためには、塗装をして防水性を高める必要があるでしょう。
ALCの劣化症状
ALCは、建物に取り付けていく外壁材のため、パネル同士のつなぎ目が多いのが特徴です。つなぎ目のコーキングが劣化すると隙間から水が侵入し、外壁内部まで水が浸透します。
雨漏りや躯体の劣化につながるとともに、ALC内部には鉄筋があるため、錆が発生する可能性があります。外壁自体を交換しなければならない恐れがあるため注意が必要です。
ALCの代表的なメーカー
ALCの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
住友金属鉱山シポレックス | 「シポレックス」 | ALCの代表的な製品として、日本で普及している |
旭化成建材 | 「へーベルパワーボード」 | 耐久性、耐火性が高く、経年劣化にも強い |
クリオン | 「クリオンエースボード」 | 耐震安全性と施工性に優れた「工場埋設アンカーパネル」を標準仕様としている |
ALCの外壁の家の外観
ALC外壁は、厚みが100mm以上のものが多く、他の外壁材に比べ分厚く、重厚感があります。見た目では他の外壁材とあまり変わらないため、見分けがつきにくいです。
外壁よりも内側に窓があることが特徴で、横幅は30cm〜60㎝のものがほとんどです。
タイルの特徴
単価/1㎡ | 約7,000円~ |
メンテナンス頻度 | 約10年~約15年 |
メリット | デメリット |
耐久性がある | 工事価格が高い |
高級感がある | 固定資産税が高い |
デザイン性が高い | 剥離、剥落の可能性がある |
メンテナンス費用が安い | コーキングの劣化が早い |
外壁におけるタイルとは、石や土、粘土を高温で焼き固めた板状の建材です。タイルは浴室や床などによく使われますが、外壁にも適しています。
タイルは、約1250度もの高温で焼かれていることにより非常に硬いため傷に強く、紫外線による変色などもほとんどありません。
タイル外壁は、石や土を非常に高温で焼いているため、自然の風合いがあり、高級感のある外観といえるでしょう。
それゆえ初期費用が高いことがデメリットになります。正しく施工されれば、20年〜30年の耐久性があるといわれておりますが、逆に施工次第では、剥離、剥落の可能性があるため注意が必要です。
タイルを貼る際の工法の種類
乾式工法 | 接着剤を使って下地に貼り付けていく工法 |
湿式工法 | モルタルなどを使って下地に貼り付けていく工法 |
タイル外壁には、「乾式工法」と「湿式工法」の2種類の施工方法があります。
最近では、ほとんどが乾式工法に変わってきました。接着剤を使ってタイルを下地に貼り付けていく工法で、水を使わないため乾式工法と言われています。
昔は接着剤で貼っていたためよく剥がれていましたが、最近は接着剤の性能が上がり、剥がれることはほとんどないそうです。天候に左右されないため、工期が短いメリットがあります。
湿式工法は、モルタルなどを使って下地に貼り付けていく工法で多くの人がイメージする工法ではないでしょうか。砂、セメント、水を使うので湿式工法と呼ばれています。
湿式工法には、職人が1枚ずつタイルを貼っていく工法やシートになっているタイルを張り付ける工法などがあります。
タイルの劣化症状
どちらの工法を選んでも、タイル外壁はコーキングの劣化に気をつける必要があります。タイルには、表面まで埋めた目地と、多少くぼみを残した深目地という2つの目地がありますが、深目地の場合は、特に注意しましょう。
深目地は雨水が溜まりやすく、下地にまで湿気がとどくため劣化が早いです。タイルの剥がれが起きないようにしっかりメンテナンスする必要があります。
外壁用タイルの代表的なメーカー
外壁用タイルの代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
LIXIL | 「はるかべ工法用」 | 幅広い用途に対応する工法やデザインも豊富なラインナップ |
アイコットリョーワ | 「外壁モザイク」 | 国内生産量No.1 |
平田タイル | 「sunclay」 | メンテナンス性と耐久性に優れた、地球と寄り添う外壁タイルのとトップブランド |
タイル外壁の家の外観
タイル外壁は、見た目に華やかさがあり、高級感が出やすい特徴があります。タイル自体に重厚感があるため、落ち着いた雰囲気になるでしょう。
また、年月が経つとともにタイルならではの風情が増し、深みのある外観になります。
ガルバリウム鋼鈑の特徴
単価/1㎡ | 約3,500円~ |
メンテナンス頻度 | 約20年~約25年 |
メリット | デメリット |
シンプルでおしゃれ | 工事価格が高い |
錆びにくい | へこみやすい |
耐久性が高い | 傷や汚れがつきやすい |
軽量で、耐震性に優れている | 環境の影響を受けやすい |
ガルバリウム鋼鈑とは、亜鉛、アルミ、シリコンを組み合わせた合金でメッキした鉄の建材のことです。現在では、屋根に使われることが多いですが、外壁にも適した特徴があります。
ガルバリウム鋼鈑は、耐久性が高く、寿命は約25年〜約30年と言われていますが、メンテナンスをしっかりすれば40年以上耐久する可能性があります。
ガルバリウム鋼鈑の厚みは0.35mm〜0.5mmと非常に薄く軽いこともメリットですが、断熱性と遮音性が低く、へこみやすいデメリットがありますので注意しましょう。
また、ガルバリウム鋼鈑は、周囲の環境の影響を受けやすく、潮風や排気ガス、落ち葉が原因で「電蝕」を引き起こし、錆びる可能性があります。
ガルバリウム鋼鈑の劣化症状
ガルバリウム鋼鈑の表面はフッ素塗装が標準になっているものが多いため、強い塗膜を有していますが、経年劣化によりチョーキングや色あせなどの症状が現れます。
また、先述しましたが、潮風や排気ガス、落ち葉が原因で起こる「電蝕」による錆びにも注意が必要です。
海岸近くや森林の近く、国道沿いの住宅であればガルバリウム鋼板は避けたほうがいいかもしれません。
ガルバリウム鋼鈑の代表的なメーカー
ガルバリウム鋼鈑の代表的なメーカーは以下の3社です。
メーカー | 製品 | 特徴 |
旭トステム外装 | スパンサイディングS「Danサイディング」 | 従来のガルバリウム鋼鈑の3倍の耐食性がある |
ケイミュー | 「はる・1番」 | 壁体内の結露発生を防止する |
ニチハ | 「プレミアムシリーズ」 | 意匠性にも耐候性にも長けている |
ガルバリウム鋼鈑を使用した家の外観
ガルバリウム鋼鈑は、独特な素材感で注目度抜群です。金属ならではのシャープでスタイリッシュな外観は、おしゃれなモダンテイストの住宅といえるでしょう。
コンクリート打ち放しの特徴
単価/1㎡ | 約33万円~ |
メンテナンス頻度 | 約2年~約20年 |
メリット | デメリット |
デザイン性が高い | 外気の影響を受けやすい |
耐火性が高い | 汚れが目立つ |
防音性が高い | 結露、カビ対策が必要 |
広々とした空間になる | 工期が長い |
コンクリート打ち放しとは、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)の建物の仕上げ方法の1つです。タイルを貼ったり、塗装をせず、コンクリートの壁がむき出しになった状態のことです。
コンクリート打ち放しの1番のメリットは、デザイン性の高さです。コンクリート特有の無機質さに加えクールにシンプルな外観で、モダンでおしゃれな印象になるでしょう。
また、コンクリートは木材よりも比重が重たいため、音を通しにくい特徴があります。防音工事を行うことにより、シアタールームやカラオケルームなど防音を高めたい部屋には最適です。
一方で、コンクリートは熱伝導率が高いため、外気の影響を受けやすいのがデメリットといえるでしょう。外気の熱や冷気を吸収してためこむため、夏は暑く、冬は寒いため冷暖房のコストがかかります。そのため、断熱工事の必要があるでしょう。
また、コンクリート打ち放しは表面に仕上げ加工を行わないため、汚れが付きやすく目立ちます。
コンクリート打ち放しの外壁の劣化症状
コンクリートでよく見られる劣化症状は、漏水、カビといった水に関する症状が多いです。ひび割れもよく見られる劣化症状ですが、雨漏りにつながる恐れがありますので注意が必要です。
コンクリート打ち放しは劣化症状によって美観を損なうだけでなく、建物の構造上にも問題が発生する可能性があるため定期的なメンテナンスは重要です。
コンクリート打ち放しの外壁の家の外観
コンクリート打ち放しの外観は、クールでスタイリッシュな印象です。コンクリート特有の質感とシンプルさで、都会的なイメージを与えるでしょう。
塗り壁の特徴
単価/1㎡ | 約5,000円~ |
メンテナンス頻度 | 約10年~約15年 |
メリット | デメリット |
独特の質感になる | 工事価格が高い |
耐火性が高い | 汚れやすい |
継ぎ目がない | ひび割れしやすい |
デザインの幅が広い | 職人の差がでやすい |
外壁における塗り壁とは、下地の上に自然素材の塗り壁素材を職人の手で何層にも塗って仕上げた壁のことです。もともと和風家屋に使用される塗装方法ですが、最近ではデザイン性が高まり、洋風の塗り壁も人気があります。
最後の仕上げに表面に塗る素材が土である「土壁」、漆喰である「漆喰壁」などがあります。
塗り壁独特の質感があり、デザイン幅も広いため、自分独自の外観に仕上げることが可能です。耐火性や防火性が高いのもメリットの1つといえるでしょう。
また、塗り壁は、職人の手で丁寧に塗っていく工法のため、職人の技術による差が出やすく、工事単価も高いというデメリットがあります。
ひび割れしやすく、汚れも目立ちやすいため、こまめなメンテナンスが必要でしょう。
塗り壁の劣化症状
塗り壁は、調湿性低下が原因の乾燥や強い衝撃によるひび割れやくずれ、黒ずみやカビといった劣化症状があります。独特の質感がメリットでもある塗り壁は、メンテナンスを怠ると外観を損なう恐れがあります。
伸縮性のないざらざらとした質感の素材のため、劣化症状が目立ちやすく早めのメンテナンスが必要でしょう。
塗り壁の家の外観
塗り壁は、独特の質感により味わいがあり、自然素材を使用しているため温かみのある外観となります。
職人の手で丁寧に塗っていく工法のため、同じ外観のものはなく、オリジナリティーあふれた外観です。
外壁材の施工費用とメンテナンス頻度の比較
施工費用 (1㎡あたりの目安) | 耐用年数 | メンテナンス頻度 | |
窯業系サイディング | 約1,900円~ | 約25年 | 約8年~約10年 |
金属系サイディング | 約4,000円~ | 約30年 | 約10年~約15年 |
樹脂系サイディング | 約4,500円~ | 約25年 | 約10年~約20年 |
木質系サイディング | 約6,000円~ | 約15年 | 約7年~約10年 |
モルタル | 約1,500円~ | 約20年 | 約5年~約10年 |
ALC | 約7,000円~ | 約60年 | 約10年~約15年 |
タイル | 約7,000円~ | 約20年 | 約10年~約15年 |
ガルバリウム鋼鈑 | 約3,500円~ | 約20年 | 約20年~約25年 |
目的に合った外壁の選び方
ここでは外壁の選び方を紹介していきます。
外壁を選ぶ際の6つのポイントやおすすめの外壁材を紹介していますので、外壁選びに悩んでいる方は、これを元に検討してみてはいかがでしょうか。
メンテナンス性の高さで選ぶ
外壁は基本的に施工後約10年でメンテナンスが必要になるものや、メンテナンスがほとんどいらないものなど、メンテナンスの頻度に大きな差があります。
そのため、メンテナンスの頻度が低い外壁を選定することは施工後に外壁にかけるコストを削減できるため、外壁選びのポイントとしても大切です。
メンテナンス性の頻度が低い外壁にしたい場合には、タイルや金属系サイディングを選定すると良いでしょう。
コストパフォーマンス重視の場合
外壁を選ぶ際に、初期コストとランニングコストを考慮して、コストパフォーマンスが良い材料を選定すると、性能やコストのバランスがとれた満足度の高い仕上がりになります。
初期費用が安価な窯業系サイディングやメンテナンスの頻度が高くない金属系サイディング、ALC外壁は非常にコストパフォーマンスに優れた外壁材です。
コストパフォーマンスを重視して外壁を選ぶ場合には参考にしてみてください。
デザイン性の高さを重視する場合
外壁は家の顔とも呼ばれる部分でもあるため、デザイン性の高さを重視する方も多いです。
実際のところ、デザイン性においては人それぞれの好みがあるため、どの外壁を使用するのが良いかは、さまざまな施工事例を参考にしながら、好みのものを探すのが良いでしょう。
なお、窯業系サイディングやタイル、モルタル外壁、塗り壁は自分好みのデザインを見つけやすい外壁といえますので、まずはこれらの外壁の施工事例を確認してみると良いでしょう。
断熱性を重視する場合
家の中での生活を快適にするために、断熱性能は無視できません。
特に外に面している外壁の断熱性は家の快適性に大きく影響します。
外壁材の中で特に断熱性能が高い外壁は金属系サイディングや木質系サイディングですが、さまざまな外壁において、断熱性の高い商品がラインナップされています。
そのため、専門業者と相談しながら、好みの外壁を見つけることをおすすめします。
主流の外壁材を使いたい場合
主流の外壁材は、メーカー間の競合も激しいため、機能性やデザイン性に優れた商品が日々開発されています。
その中で現在、圧倒的に使用率が高い外壁は窯業系サイディングです。
多くのハウスメーカーや工務店に採用されており、機能性に優れた商品が多くラインナップされています。
そのため、主流の外壁材を使用したい場合には窯業系サイディングを採用すると良いでしょう。
周囲の環境に合わせて選ぶ
外壁は多くの人から見られる部分であるため、周囲の環境から浮いたデザインにしてしまうと良くも悪くも目立ってしまいがちです。
そのため、周囲の環境に合わせて外壁を選ぶのは、周囲の景観を損なわないためにも効果的といえるでしょう。
周囲にどのような外壁が多いのかを確認した上で、比較的取り入れやすく、需要の高い窯業系サイディングやモルタル外壁、金属系サイディングを取り入れると、周囲の環境になじみやすくなります。
木の温かみを活かした外壁にしたい場合
木がもつ温かみを活かしたいのなら、「木質系サイディング」がおすすめです。木質系サイディングには、他の外壁材にはない木がもつ味わいや温かさを感じることができるでしょう。
また、経年とともに色合いが変わるため、外観の変化を楽しむことができます。
建物の外壁材を調べる方法とは?
外壁リフォームを検討する場合、「そもそも自分の家の外壁材は何なのか?」とわからなくて困る人もいるでしょう。そんな人のために自分の家の外壁材を調べる方法を紹介します。
まず、住宅を建てた時や購入した時のパンフレットがないか探してみることをおすすめします。使われた外壁材が載っている図面や外壁材のパンフレットがあれば、自分の家の外壁材がわかる可能性があります。
図面やパンフレットがなく、使われている外壁材がわからない場合は、自分の家の外壁材をチェックし、外壁材の特徴と照らし合わせてみましょう。
しかし、自身の見立てが間違っている可能性もありますので注意が必要です。外壁材の正しい見極めには、外壁のプロに相談することをおすすめします。
外壁の部分的な修復の費用相場
外壁の主な部分的な修復の費用相場は以下の通りです。
施工内容 | 費用相場 |
シーリングの劣化・ひび割れ補修 | 約900円~/㎡ |
外壁のひび割れ (幅0.3ミリ未満のクラック) | 約1,700円~/m |
外壁塗装の剥がれ | 約1,700円~/㎡ |
鉄部の錆 | 約1,500円~/㎡ |
カビ・コケ | 約300円~/㎡ |
チョーキング | 約2,000円~/㎡ |
浮き、膨らみ、そりなど | 約1,700円~/㎡ |
傷、穴、へこみ | 約1万円~/箇所 |
外壁における部分的な修理が可能な場合の劣化の特徴は、シーリングの劣化、外壁のひび割れ、外壁塗装の剥がれ、チョーキング、カビ・コケ、傷、錆などです。
外壁の部分補修の場合でも全体的な補修と同様、補修を行う箇所が高所作業の場合は、足場代が追加でかかる可能性がありますので注意しましょう。
全面的な外壁修理を行う場合の費用相場
全面的な外壁修理を行う場合の費用相場は以下の通りです。
施工内容 | 費用相場 |
外壁塗装 | 約1,700円~/㎡ 35坪の建物の場合:約70万円~ |
外壁の重ね張り | 約7,000円~/㎡ 35坪の建物の場合:約120万円~ |
外壁の張り替え | 約7,500円~/㎡ 35坪の建物の場合:約250万円~ |
外壁塗装の施工内容
外壁塗装は、外壁の経年劣化がさほど進行しておらず、外壁のひび割れや塗装の剥がれなどの劣化症状が出ていたとしても補修することが可能な場合に行う外壁リフォームです。
外壁の表面は塗装によってさまざまな機能性が保たれていますが、経年劣化とともに塗装の機能が低下するため、外壁塗装によって機能性を回復させます。
外壁の重ね張りや張り替えなどに比べると費用は安いため、最も手軽といえるでしょう。
使用する塗料にはさまざまなグレードがあり、塗料によってかかる費用と耐用年数が変わります。標準的なシリコン塗料で約10年、無機塗料で約20年です。
外壁の重ね張りの施工内容
外壁の重ね張りとは、いままでの外壁の上から新しい外壁を貼る工法で、外壁カバー工法とも呼びます。外壁材の寿命が来ているが強度的に問題がない場合に行う外壁リフォームです。
現状の外壁の上から貼る工法のため、撤去費用などの費用がかからず、外壁張り替えよりも費用は安くなります。外壁の形状や重ね張りする面積によって費用は変わります。
また、外壁が2重になることにより、断熱性や遮音性が高まるメリットがあります。しかし、その分外壁の重さも2倍になるため住宅への負担が大きくなりますので注意が必要です。
外壁の張り替えの施工内容
いままでの古い外壁材を撤去し、新しい外壁材に張り替える工法です。雨漏りにより外壁に顕著なダメージがある場合や外壁の重ね張りができるほどの強度がない場合に行う外壁リフォームです。
外壁塗装や外壁の重ね張りより費用はかかりますが、外装材を自由に選ぶことができ外観のイメージを一新できるでしょう。建物の構造や外壁を張り替える面積によって費用は変わります。
外壁の色の選び方
色ごとの特徴は以下の通りです。
特徴 | |
ベージュ | ・温かみのある雰囲気になる ・他の色との相性がいい ・汚れが目立ちにくい ・家を大きく見せることができる ・周囲となじんで目立たない ・ぼやけた印象になる |
ホワイト | ・明るく、清潔感がある ・表面温度が上がりにくい ・退色しにくい ・カラーバリエーションが豊富 ・汚れが目立ちやすい |
ブラウン | ・汚れが目立ちにくい ・落ち着いた印象で安心する ・ツヤが目立ちやすい ・室内の温度が上昇しやすい |
グレー | ・汚れがほとんど目立たない ・落ち着いた印象になる ・色あせて見えることがある ・地味な印象になりがち |
ブラック | ・スタイリッシュでかっこいい ・木材やコンクリートと相性がいい ・白い汚れが目立つ |
ピンク | ・可愛らしい印象になる ・個性的でオリジナリティがある ・周囲から浮いてしまう可能性がある ・屋根や付帯する部分との相性が難しい |
ネイビー(紺) | ・色あせしにくい ・汚れが目立ちやすい |
レッド | ・レンガ調のデザインと相性がいい ・個性的でオリジナリティがある ・色あせしやすい |
外壁リフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
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