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モニエル瓦とは?
モニエル瓦とは、セメントと川砂を混ぜてつくる「乾式コンクリート瓦」のことをいいます。材料にセメントが使われているので「セメント瓦」として分類されます。
そんなモニエル瓦の特徴は、軽量で、断熱性・防音性に優れていることです。優れた屋根材であるほか、外観がおしゃれであることから、1980年前後には人気を集めていました。
しかし、徐々に、スレートや金属屋根に人気が移り、2010年にモニエル瓦の生産が終了。
そのため、現在は新しいモニエル瓦の入手が困難となっており、モニエル瓦に屋根を葺き替えることはできません。
【特徴1】モニエル瓦の耐用年数
モニエル瓦の耐用年数は、20〜30年です。そのため、2000年前後に施工したモニエル瓦は、2024年現在メンテナンス時期を迎えている可能性があります。
これまでモニエル瓦の点検を実施していない場合は、専門業者に依頼して、ひび割れなどの劣化がないかチェックしてもらいましょう。
「まだ20年経っていないから、大丈夫!」と思っていても、モニエル瓦にはがれや欠損が発生しているかもしれません。
ひび割れやはがれなどの劣化症状を放置すると、隙間から雨水が入り、雨漏りが起きるおそれもあるので、早めの補修が必要です。
モニエル瓦にくわしく、補修の経験が豊富な専門業者に見積もりを依頼し、雨漏りの心配がない状態に補修してもらいましょう。
【特徴2】モニエル瓦とセメント瓦の見分け方
モニエル瓦とセメント瓦は、屋根の「小口(こぐち)」で見分けられます。屋根における小口とは、屋根の断面を指します。
モニエル瓦とセメント瓦は見た目が似ているので、地上から屋根材を見分けるのは困難です。
そのため、どちらかを見分けるには、屋根にのぼって小口などを確認しなければいけません。
補修や点検の際に専門業者に見てもらい、モニエル瓦とセメント瓦のどちらであるかを判断してもらいましょう。
モニエル瓦の補修が必要な劣化症状
モニエル瓦に以下のような症状が診られたら、メンテナンス時期が来ていると思いましょう。
- 塗装のはがれ
- チョーキングの発生
- 瓦のひび割れ
- 瓦のズレ
- カビやコケの発生
- 漆喰の割れ・崩れ
- 防水シートの劣化
モニエル瓦に、これらの劣化症状があるなら、専門業者に補修を依頼しましょう。
【症状1】塗装のはがれ
モニエル瓦の表面を保護する塗膜がはがれると、瓦自体の劣化が進み、ひび割れやカビ・コケの発生が起きやすくなります。
これは、瓦自体を守る塗膜がない状態で、紫外線や雨風の影響を直接受けてしまうためです。
モニエル瓦が、紫外線や雨風の影響を受け続けると、ひび割れなどの劣化症状が広範囲にわたり発生することも。
そうなれば、瓦の耐久性が失われるため、葺き替えという、屋根材を交換する工事が必要になります。
葺き替えは、リフォームのなかでも費用が高額な工事です。
そのため「できるだけメンテナンスに費用をかけたくない」という場合は、塗装のはがれを見つけた時点で、屋根塗装によって補修しておくのがおすすめです。
【症状2】チョーキングの発生
モニエル瓦を保護する塗膜に含まれる成分が、紫外線の影響を受けて分解されると、チョークのような粉が浮いてきます。
塗装によってつくられた塗膜が劣化すると、モニエル瓦を保護する力が弱くなるため、早めの補修が必要です。紫外線や雨風からのダメージを防げない状態が続き、はがれやひび割れなどの劣化症状が起きてしまうことも。
使う塗料によって耐用年数は異なりますが、一般的に塗装から10〜15年経てば、再塗装が必要です。「もっとモニエル瓦を使い続けたい」という場合は、早めの再塗装を検討しましょう。
【症状3】瓦のひび割れ
モニエル瓦自体にひび割れが起きている場合、部分補修か葺き替えが必要になります。
ひび割れが軽症で、限られた範囲にのみ起きているなら、部分補修で対応が可能。
パテなどを使って、割れた箇所を埋めて、ひび割れが広がっていくのを防げます。一方、モニエル瓦が大きく割れていたり、広範囲にひび割れが起きていたりする場合は、部分補修で対応しきれません。
部分補修で対応しても、何度も補修が必要になり、費用がかさんでしまうため、葺き替えをした方が安く済む場合もあります。
専門業者にモニエル瓦の状態をチェックしてもらい、葺き替えをすべきか判断してもらいましょう。
【症状4】瓦のズレ
モニエル瓦が、強風や地震でズレてしまうと、防水シートや屋根下地の劣化が起きやすくなります。屋根材であるモニエル瓦は、紫外線や雨風から、防水シートや屋根下地を守るのが役割であるためです。
そのため、瓦がズレていれば、防水シートや屋根下地が、紫外線や雨風の影響を直接受ける状態に。
そのような状態が続くと、防水シートや屋根下地に、ひび割れやはがれなどの劣化症状が起き、雨水が入りやすくなってしまいます。
モニエル瓦のズレは、そのまま既存の瓦を使う葺き直しか、新しい瓦に変える葺き替えで補修が必要です。もし瓦のズレが軽症なら、部分補修で対応できる場合もあるので、専門業者に最適な方法を提案してもらいましょう。
【症状5】カビやコケの発生
モニエル瓦の表面を保護している塗膜が劣化すると、瓦が水分を吸収するようになり、カビやコケが発生しやすくなります。カビやコケは、水分がある場所を好むためです。
「カビは、どこにでもできるから仕方ない!」と思うかもしれません。しかし、屋根材であるモニエル瓦を守り、補修に費用をかけないためには、早めの除去が必要です。
瓦が水分を吸収していると、気温の変化で伸縮を繰り返すようになります。伸縮を繰り返しているうちに、ひび割れや欠損が起きてしまうことも。
劣化箇所から雨漏りが起きる前に、専門業者に掃除を依頼し、カビやコケがない状態にしてもらいましょう。
【症状6】漆喰の割れ・崩れ
モニエル瓦の棟部分にある、漆喰に割れや崩れがあると、そこから雨水が入って雨漏りを起こす可能性があります。
棟部分は、雨水が入っても雨漏りを起こさないような構造になっているので、ある程度の期間は雨漏りを防ぐことが可能です。
しかし、屋根は雨風の影響を受けやすいため、長期間にわたって雨漏りを防げるわけではありません。
そのため、雨漏りが起きて、雨漏りに対する補修費用がかさんでしまう前に、早めに漆喰を補修する必要があります。
【症状7】防水シートの劣化
モニエル瓦の補修を、塗装や部分補修のみでおこなっていた場合、防水シートが劣化して、はがれなどの症状が起きているかもしれません。
屋根下地を雨水から守る防水シートに、はがれなどの症状があると、雨水が入って雨漏りを起こすことも。
そのため、防水シートの耐用年数を過ぎているなら、モニエル瓦の葺き替えをして、防水シートも張り替えることをおすすめします。防水シートの耐用年数は、以下の通り。
防水シートの種類 | 耐用年数 |
---|---|
アスファルトルーフィング940 | 8〜10年 |
改質アスファルトルーフィング | 20〜30年 |
種類などにより耐用年数は変動するので、リフォームのプロに相談して、防水シートの張り替えが必要かを判断してもらいましょう。
モニエル瓦を補修・リフォームする際の費用相場
補修・リフォーム方法 | 費用相場 |
---|---|
漆喰の補修 | 15万円〜 |
屋根塗装 | 30万円〜 |
屋根の葺き替え (モニエル瓦→ガルバリウム鋼板) | 120万円〜 |
上記の費用相場は、30坪の2階建て住宅を想定しています。
また、諸経費・足場設置費用は含まれないので、それらが別途かかる点に注意しましょう。
モニエル瓦の補修・リフォームにおいて、費用が安く済むのは漆喰を補修する作業。一方、大規模な工事となる葺き替えは、120万円以上かかります。
なお、瓦のズレをなおすなど、部分補修にかかる費用は「1〜5万円ほど」が相場です。
ただし補修する範囲や、担当する業者などによって金額は変動します。具体的な金額は、専門業者による見積もりで確かめましょう。
【方法1】漆喰を補修する
モニエル瓦の棟部分にある漆喰は、「詰め直し」と呼ばれる作業をおこないます。
詰め直しで最初におこなうのは、既存の漆喰を撤去する作業。
割れや崩れが起きていた漆喰を、きれいに取りのぞいた後、下地を補修していきます。棟部分の瓦がズレていれば、この段階であわせて補修が必要です。
モニエル瓦の棟部分における下地の補修が終われば、あとは新しい漆喰を詰める作業のみ。
適度な厚みをたもちながら、隙間がないように漆喰を詰めれば補修は終了です。広範囲での作業でなければ、漆喰を補修する作業は1〜2日で終わります。
【方法2】モニエル瓦から葺き替える
モニエル瓦が以下のような状態であれば、葺き替えによる補修を検討しましょう。
- 大きく割れている
- 瓦が欠けて、防水シートが見えている
このような状態では、紫外線や雨風から防水シート・屋根下地を守れず、雨漏りが起こるリスクを高めてしまいます。建物の寿命を縮めてしまうおそれがあるため、新しい屋根材への葺き替えが必要です。
しかし、2010年に、日本市場における製造が終了となったモニエル瓦の入手は困難。
そのため、ガルバリウム鋼板やスレート屋根など、ほかの屋根材に葺き替えをしなければいけません。
屋根材ごとの耐久性やデザインを比べて、最適な屋根材を選び、葺き替えをおこないましょう。
【方法3】モニエル瓦の塗装
モニエル瓦に大きなひび割れなどがなく、塗膜の劣化やチョーキングのみ発生している場合は、塗装で補修できます。
ほかの屋根材に葺き替えをするよりも、費用を抑えられるので、おすすめの補修方法です。しかし、モニエル瓦を塗装する際は、ほかの瓦にはない「特別な作業」が必要になります。
次項でくわしく紹介するので、そちらをチェックして、モニエル瓦における塗装での失敗を回避しましょう。
モニエル瓦を塗装する際の注意点
モニエル瓦を塗装する際、いくつか注意すべきポイントがあるので解説します。
【注意点1】スラリー層の除去が必要になる
モニエル瓦の表面は「スラリー層」でおおわれているため、塗装前にスラリー層の除去が必要です。もしスラリー層を除去しなかった場合、塗装後に古いスラリー層がはがれて、新しい塗料まではがれてしまうことも。
モニエル瓦の塗装にかかった費用が、無駄になってしまうおそれもあるので、必ずスラリー層の除去をおこないましょう。
モニエル瓦の表面にある、着色剤でできた層のこと。
1mmほどの厚みがあるため、塗装するなら除去が必須です。
モニエル瓦における塗装の知識がないと、スラリー層を除去しないまま塗装にうつってしまうおそれもあるため、経験が豊富な専門業者に塗装を依頼しましょう。
【注意点2】専用の塗料を使用する
モニエル瓦を塗装するなら、専用の塗料を使用しなければいけません。
スラリー層の除去をおこなっても、モニエル瓦と相性がいい専用の塗料を使用しないと、塗料のはがれが起きてしまうこともあります。塗装後のはがれを防ぐために、専用の塗料を使いましょう。
たとえば、アステックペイントが販売している「モニエルパワープライマー」は、スラリー層への浸透性が優れている塗料。
塗膜のはがれなど、劣化も抑えられるので、長く耐久性を維持できるのが魅力です。
このように、モニエル瓦を塗装する際は、使う塗料にも注意しなければいけません。専門業者に見積もりしてもらう際は、専用の塗料で金額を出してもらうようにしましょう。
【注意点3】乾燥に日数が必要になる
モニエル瓦を塗装する際は、スラリー層を除去する作業が必要なため、通常の屋根塗装よりも乾燥に日数がかかります。
モニエル瓦における塗装で、乾燥が必要なタイミングは以下の通り。
- スラリー層を除去(高圧洗浄)した後
- 下塗り剤を塗った後
- 上塗り(仕上げ剤)を塗った後
このようなタイミングで乾燥が必要になります。とくに、スラリー層を除去した後には、1日以上の乾燥期間をもうけるため、その分塗装にかかる日数が長くなる点に注意しましょう。
また、スラリー層を完全に除去していなかった場合、あらためてスラリー層を除去しなければいけません。その場合は、さらにモニエル瓦の乾燥日数が必要になります。
モニエル瓦を塗装する際の手順
モニエル瓦を塗装する際の手順は、以下のとおりです。
モニエル瓦の塗装は、はがれが起きやすい点に注意しなければいけません。そのため、塗装後の点検サービスがある業者を選んでおくと、安心してお任せできます。
高圧洗浄機を使って、スラリー層の除去をおこないます。
高圧洗浄の回数は、一般的には3〜4回ほどです。
スラリー層の状態によっては、追加で1〜2回作業が必要になることもあります。
【Q&A】モニエル瓦でよくある質問
- モニエル瓦の塗装単価はいくら?
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モニエル瓦の塗装単価は、シリコン塗料を使う場合、平方メートルあたり3,000〜4,000円です。
なお、この塗装単価には、足場設置にかかる費用や諸経費は含まれていません。
- モニエル瓦にはアスベストが含まれている?
-
モニエル瓦は、アスベストを含んでいません。見た目が似ているセメント瓦も、アスベストを含まない屋根材です。
一方、アスベストを含む可能性が高いのは、2000年前後までに施工されたスレート屋根。
もしスレート屋根にアスベストが含まれていた場合は、事前の調査など、特別な作業が必要になります。
- モニエル瓦(セメント瓦)とスレート屋根の違いは?
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モニエル瓦(セメント瓦)とスレート屋根は、一般的に、以下のように分類されています。
- 厚みが1cm以下であればスレート屋根
- 1cm以上ならモニエル瓦(セメント瓦)
専門業者などでは、このように分類される場合が多いです。しかし、明確に定義があるわけではありません。
モニエル瓦の主原料は、セメントと川砂。
一方、日本におけるスレート屋根は、セメント
- セメント瓦の塗装はDIYでできる?
-
セメント瓦の塗装に必要な塗料を購入すれば、DIYでも塗装はできます。しかし「塗装のはがれ」を起こす可能性が高いため、DIYでの塗装はおすすめできません。
とくに、この記事で紹介したように、セメント瓦の一種であるモニエル瓦における塗装は注意が必要です。DIYで塗装ができても、徐々に塗装がはがれてしまうこともあります。
また、屋根の塗装は、高所で作業しなければいけません。転落するおそれもあるので、経験が豊富な専門業者に依頼することをおすすめします。
- セメント瓦を塗装しないとどうなる?
-
セメント瓦を塗装しないと、徐々に塗膜が劣化し、ひび割れなどの劣化症状が起きやすくなります。
また、瓦にカビやコケが発生し、さらに劣化が広がってしまうことも。
セメント瓦が紫外線や雨風を防げない状態になれば、防水シートの劣化や雨漏りを起こす恐れもあるので、10〜15年に1回は塗装による補修をおこないましょう。
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