トイレの配管工事は、節水型トイレへの交換やバリアフリー化と合わせて行うことで、国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる場合があります。
申請には工事前の手続きが必須で、対象となる条件や期間が定められています。業者に相談し、利用可能な制度を事前に確認しましょう。

火災保険において、経年劣化による配管の交換費用は対象外です。しかし、突発的な事故による水漏れで、床や壁などに損害が出た場合は、「水濡れ補償」が適用される可能性もあります。
保険会社に連絡し、補償内容を必ず確認しましょう。

配管の修理や交換が必要な場合、便器本体や床・壁などの内装リフォームを同時に行うことが費用の節約につながります。工事を一度に集中させることで、出張費や人件費などの諸経費を重複させずに済むため、トータルコストを抑えられます。
配管工事のほかに、便器や内装のリフォームも計画しているなら、同時に依頼できないか検討してみましょう。

トイレの排水は、トイレ本体から下水道や浄化槽に向かって、以下のように流れていきます。

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トイレ本体から建物内（垂直な管）

流された汚水は、まず壁の中などを通る縦の太い管（縦管）を通り、重力で建物の下へ流れます。

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床下・地面（水平な管）

建物の一番下では、横向きの管（横引管）に切り替わり、汚水を家の外（床下や土の中）へ運びます。

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屋外

敷地内の点検用のマス（中継桝）をいくつか経由し、最終的に公共の下水道や浄化槽へと合流します。

このように、排水管は下水からトイレなどの設備機器までつながっているため、配管の不具合があるとニオイが家の中まで入ってきてしまう可能性もあります。

トイレの排水配管には、主に硬質塩化ビニール管（VU管やVP管）が使われています。

この素材は非常に丈夫なプラスチックの仲間で、金属管のように水や汚物で錆びたり腐食したりする心配がなく、耐久性が高いのも魅力です。
また、内側が滑らかなので、汚物やトイレットペーパーが引っかかりにくく、トイレの配管に適した素材です。

排水配管の太さも重要なポイントで、屋内配管は75～100mm、屋外配管では100mm以上が一般的です。トイレから出る水や汚物を、設置環境に応じてスムーズに流せるように配管の太さを決定します。

トイレの給水配管は、以下のような流れで水道水が供給されています。

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配水管から水道メーター

道路の地下には、水道局が管理している太い配水管（水道管）が埋まっています。配水管から水道メーターに流れてきた水は、建物内の配管に入り、トイレやキッチンなどへ送られます。

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水道メーターから宅内

メーターを通過した水は、床下などを通り、途中で枝分かれしてトイレに引き込まれます。

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トイレへの接続

最終的に、壁や床から出ている細い管が、トイレのタンクや便器本体に接続され、水を供給しています。

トイレの給水配管には、主に以下の3種類が使われています。近年ではサビに強く、施工しやすい「樹脂管」が主流です。

架橋ポリエチレン管

• 近年の主流
• 柔軟性のある樹脂（プラスチック）で作られた配管
• 継ぎ手が少なく、曲げて配管できるため、水漏れリスクが低い

給水配管の太さ（内径）は、13〜20mmが一般的です。トイレの設置環境に応じて、適切な水圧を維持するのに十分な太さを決定します。

排水管が詰まると、悪臭や水漏れの原因となります。原因は主に、トイレットペーパーの流しすぎや異物の蓄積です。

これらは専門道具（トーラーや高圧洗浄機など）で除去できますが、症状が重いと便器の脱着が必要になる場合もあります。 ただし、詰まりではなく配管の破損やゆるみが悪臭・水漏れの原因となっているケースもあり、その場合は配管の修繕または交換工事が必要です。

汚水桝は、屋外で複数の排水管が合流する場所で、敷地内に2～5箇所程度あります。ここが詰まると、トイレだけでなく家全体の排水に影響が出てしまい、トイレ本体や屋内の配管を清掃しても直りません。

原因は汚水桝への異物の蓄積、樹木の根の侵入や桝本体の破損などが考えられ、桝の清掃や修繕または交換工事が必要です。

排水管の勾配が適切でないと、水の流れが悪くなり詰まりやすくなります。流れが遅い、詰まりが頻発する場合はこの原因が疑われます。

原因は、施工時の勾配不足（施工不良）や、経年変化による配管のたわみが考えられます。 特に工事直後から不具合がある場合は、施工不良の可能性が高いため、担当業者に無償での点検・修繕を求めましょう。根本的な解決には、配管の敷設し直し（再敷設）や交換工事が必要です。

トイレ本体の構造上の問題が原因で詰まる場合もあります。トイレ内に異物が詰まっている場合は、分解修理が必要になります。

また、便器内で十分な水流がなく水が渦を巻かなかったり、タンクに水が溜まらなかったりする場合はトイレの修理や交換が必要です。トイレが古く修理費用が高くなる場合には、節水効果も考慮して、最新型トイレへの交換も視野に入れましょう。

給水管にひび割れや破損があると、水漏れにより水量・水圧が不足し、流れが悪くなります。対処法は給水管の修理や、水圧確保のための引き込み管のサイズアップなどです。劣化症状や耐用年数（20～40年）超過時は、配管工事を検討しましょう。

一方、排水管の破損は、汚水漏れによる深刻な水漏れや悪臭につながります。耐用年数（40～50年）は比較的長いものの、トラブルが発生した場合は、破損箇所の部分修繕または管全体の交換が必要です。

浄化槽を使用している場合、その不具合がトイレの詰まりに直結することがあります。浄化槽や枡から汚水が溢れたり、排水管から「ゴボゴボ」と音がする、異臭がするといった場合は、浄化槽設備の不具合が考えられます。
この場合、浄化槽内に溜まった汚泥を取り除く清掃作業や、機能を維持するためのブロワーの修理や交換が必要です。これらの作業は、専門的な知識と許可が必須となるため、専門業者に作業を依頼する必要があります。

詰まりや不具合の症状や、トイレの品番等を詳しく伝えます。できるだけ詳細な情報を提供することで、適切な対応につながります。

専門業者が現地を訪問し、問題の原因を特定します。詰まりや水漏れの場所や状況、配管の劣化度合いなどを調査します。簡単な詰まりなどであれば、その場で直ってしまうこともあります。

調査結果をもとに、必要な工事内容と費用の見積もりが提案されます。この段階までに、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

見積もりと工事の内容が決まり次第、必要な材料の手配を行い、日程調整の上で工事を行います。工事が完了すると、水の流れや排水状況を確認する完了検査を行います。
問題がないことを確認して工事の完了となります。

業者が「請負業者賠償責任保険」などに加入していると、工事中の事故の賠償金や示談交渉の費用が保険で賄われます。これにより、業者側に賠償能力がないことによるトラブルの長期化を防げるでしょう。

見積書に「〇〇工事一式」という表記が目立つ場合、項目の内訳や数量が不明瞭になります。そのため「この作業は一式に含まれていない」と後で主張され、高額な追加費用を請求されるリスクが高まります。
もし以下のような項目が詳細に記載されていないなら、必ず内訳を記載してもらうように業者に依頼しましょう。

ウェブサイトの口コミや、知人・友人の紹介などを通じて、業者の評判を調べてみましょう。
市区町村の公共上下水道工事の施工実績や、顧客からの評価などを参考に、業者の信頼性や技術力を判断できます。

トイレの配管工事は、同じ工事内容でも業者によって費用が大きく異なることがあります。できれば2〜3社以上の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することがおすすめです。
見積もりには、工事内容、使用する材料、保証期間などが詳細に記載されているはずです。見積もりを比較する際には、これらの項目をしっかりと確認し、不明な点は必ず質問するようにしましょう。