目次
浴室のバリアフリー化にかかるリフォーム費用
浴室のバリアフリー化リフォームの費用は3~250万円です。
費用・工期は、工事内容や規模によって大きく異なります。
リフォーム内容 | 費用 | 工期 |
ユニットバス交換 | 70〜200万円 | 2〜7日 |
在来工法をユニットバスへ交換 | 100〜250万円 | 6〜12日 |
ドアを引き戸に交換 | 10〜20万円 | 1〜2日 |
滑りにくい床シートを貼る | 5〜10万円 | 1〜2日 |
手すりを取り付ける | 3〜10万円 | 0.5〜1日 |
在来浴槽を交換 | 30〜50万円 | 2〜4日 |
バスリフトを設置 | 40〜60万円 | 1〜2日 |
窓に断熱内窓を追加 | 6〜15万円 | 1〜2日 |
浴室暖房乾燥機を設置 | 15〜30万円 | 1〜2日 |
浴室をバリアフリーにする方法
バリアフリーとは、誰もが安全に快適に暮らせるよう障害を取り除いていく考え方です。
お風呂のバリアフリー化は、高齢者や身体の不自由な方が入浴時に感じる不便や困難を減らし、浴室での転倒や溺水などの事故も防ぎます。
何が「バリア」になるかは人それぞれ異なるため、リフォームの際には個別の事情に合った対応が必要です。安全で快適な浴室にするための具体策を順に詳しく解説します。
方法1. 出入り口の段差をなくす
古いお風呂では、出入り口が段差になっている場合があります。このようなケースでは、足元でつまづいたり、床へ着地する際に勢いが増して、滑ってしまうリスクが高まります。
①浴室の床が、脱衣室の床よりも低いケース
在来工法の浴室では、浴室の床が脱衣室の床より5〜10cmほど低くなっています。これは、浴室内の水が脱衣室を濡らし、床下に漏れて構造を傷めるのを防ぐためです。
このケースでは、ユニットバスへの交換をおすすめします。既存の浴室を解体して床の高さを揃えてユニットバスを設置し、完全にフラットな床を実現できます。
段差を解消するには、浴室の床を嵩上げする必要があります。簡易的にはスノコを敷く方法がありますが、ガタついて安定感が十分ではなく、下部の清掃もしづらく衛生的ではありません。
②浴室の床が、脱衣室の床よりも高いケース
古いマンションのユニットバスでは、脱衣室の床よりも10〜15cmほど高くなっている場合があります。マンションのコンクリート床にユニットバスを設置する構造上、やむを得ず生じる段差です。
このケースでは、床下空間が小さい低床型のユニットバスに交換し、段差を小さくできる場合があります。
方法2. 開閉しやすい引き戸にする
浴室の開きドアは、開閉の動きが大きいうえに、防水の関係で内開きになっています。このため、浴室内のスペースが狭い場合にはとても開閉しづらくなります。
このケースでは、引き戸(スライドドア)へのリフォームが効果的です。
引き戸は身体の動きが小さくて済み、戸の動作が軽く、ドアの角で怪我をすることもありません。
また、車いす利用者や、介助者が付き添う場合には、「2枚引き戸」や「3枚引き戸」もおすすめです。スペースに制約がある場合でも、より幅を広く開けられるため、出入りがスムーズになります。
方法3. 滑りにくく柔らかい床にする
お風呂は床が濡れていて滑りやすく、転倒事故が多い場所です。タイルの硬い床では、転倒した際に大きな怪我にもつながります。
滑りやすく硬い床を改善したい場合には、最新のユニットバスへの交換がおすすめです。
多くのユニットバスで、滑りにくく乾きやすく、クッション性にも優れた床材が採用されています。
在来浴室のタイルの床をリフォームしたい場合には、滑りにくく、クッション性のある浴室用床シートを貼る方法があります。費用・工期とも少なく、比較的手軽にできるリフォームです。
方法4. 手すりを設置する
浴室内の動作の補助器具としては、浴室内の手すり設置が効果的です。
浴室への出入り、浴槽や洗い場から立ち上がる動作が楽になり、安全性も高まり、介助の手間を減らすことにもつながります。
縦型・横型・L字型など、取り付ける場所や目的に応じてさまざまな形状の手すりがあり、必要に応じて適切な位置に取り付けます。
注意点としては、手すりを取り付ける際には、柱や角材、合板、鉄板など、十分な強度をもつ下地が必要です。
在来浴室では、下地となる木材の位置を調査し、必要に応じて壁を改修して下地を追加します。
ユニットバスでは、手すりの仕様書にもとづき、取り付けに必要な壁面の鋼板の厚さを確認します。不足している場合は、裏側の壁を取り壊して補強材を入れるなどの追加工事が発生します。
方法5. 身体に合った浴槽を選ぶ
高齢者や身体に障がいのある方にとって、浴槽への出入りはとても負担の大きな動作です。
古い浴室では浴槽のエプロンが高く、またぎにくいことがあります。
体格に対して深すぎるたり、広すぎたりする浴槽では、浴槽内での事故のリスクも高くなります。
最近のユニットバスでは、一部が浅く階段状になっていたり、両サイドに手すりがあり立ち上がりやすくなっている浴槽も用意されています。
ショールームで実物を確認し、利用者の体力や動作に応じた浴槽を適切に選びましょう。
方法6. バスリフトを設置する
1人で浴槽への立ち座りができない方には、電動バスリフトの設置も効果的です。
座面を昇降させて、体を持ち上げたり降ろしたりすることができ、浴槽への出入りがしやすく介助者の負担も減らせます。
バスリフト本体の設置は簡単ですが、浴槽の付近に専用の電源を追加する必要があります。
方法7. 断熱・暖房によってヒートショックを減らす
ヒートショックとは、室温の急な変化によって血圧が急激に変動し、心臓や血管に負担がかかり、健康に悪影響を与える現象です。
浴室が寒く居室や脱衣室との温度差が激しい場合に起こりやすく、高齢者や既往症のある方は特に予防が大切です。
ヒートショックを防ぐためには、寒くなりがちなお風呂の中を暖かくする必要があります。既存の浴室の種類や状態によって、以下のリフォーム方法を検討しましょう。
- 在来浴室をユニットバスに交換する
- ユニットバスを選ぶ際に断熱オプションを追加する
- 外壁の中や床下に断熱材を追加する
- 窓の内側に断熱内窓を追加する
- 浴室暖房乾燥器を設置する
方法8. 十分な広さを確保する
車いすの利用や介助者をともなう場合には、浴室内に十分な広さを確保することが必要です。
既存の浴室のサイズを広くするためには、隣接する洗面所や脱衣室を同時にリフォームして、間取りを変更する方法があります。
方法9. バリアフリーに配慮されたユニットバスを選ぶ
最新のユニットバスでは、多くの人が使いやすいようにレイアウトを工夫しているタイプがあります。
たとえば、TOTOサザナFタイプやLIXIL-スパージュは、洗い場と浴槽の中間にベンチがあり、洗い場と浴槽間の移動がしやすくなっています。
また、一般的なユニットバスで対応が難しい場合には、介護を前提とした特殊なユニットバスもあります。
身体の状態に応じて検討してみましょう。
浴室のバリアフリー化に使用できる補助金はある?
手すりの取り付け、段差の解消などのバリアフリーリフォームには、各種の補助金を適用できる場合があります。以下に例を挙げますので、詳しくは自治体などの関係行政機関にご確認ください。
- こどもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 介護保険
- 各自治体によるリフォーム補助制度
介護保険について
要介護者等が自宅に手すりを取り付けるなどのリフォーム工事を行う際には、介護保険によって費用の一部に補助を受けられます。
支給額は、支給限度基準額( 20万円)の9割(18 万円)が上限となっています。具体的な条件や手続きに関しては、自治体や介護保険の窓口にご確認ください。
浴室のバリアフリー化リフォームの施工事例
ここからは、実際に浴室のバリアフリー化を行った施工事例を紹介します。
マンションのユニットバスを交換して段差を解消
リフォーム費用 | 約160万円 |
施工期間 | 10日 |
リフォーム箇所 | 浴室・洗面所・トイレ |
採用メーカー•シリーズ | トクラス VITAR-ヴィタール |
住宅の種類 | マンション・アパート |
介護保険を適用したバリアフリーリフォームです。古いユニットバスをトクラスのユニットバスVITARに交換することにより、出入り口の10cmほどの段差を解消しています。
将来を考えて浴室内に手すりを設置し、洗面所やトイレも同時にバリアフリー工事を行い、使いやすく安全な水まわりに生まれ変わっています。
ユニットバスを交換する工事では、間仕切り壁や配管設備の一部を改修する必要があります。
この機会に、隣接している洗面所や脱衣室を同時にリフォームすると、効率的に水まわりを一新できます。
バリアフリー性を高めるために、浴室を広げたり、車いすで使用しやすい洗面台に交換する、ベンチや手すりを設置するなど、他の工事も検討しましょう。
ユニットバスと洗面所をバリアフリー化
リフォーム費用 | 約130万円 |
施工期間 | 1週間 |
リフォーム箇所 | 浴室・洗面所 |
採用メーカー•シリーズ | TOTO サザナ |
住宅の種類 | 一戸建て |
古いユニットバスをTOTOサザナに交換し、バリアフリー化を実現しています。洗面脱衣室の内装もリフォームし、洗面化粧台を入れ替えるなど、水まわりの雰囲気を一新しています。
在来浴室をユニットバスにリフォーム
施工期間 | 7日 |
リフォーム箇所 | 浴室 |
採用メーカー•シリーズ | LIXIL |
住宅の種類 | 一戸建て |
タイル張りの在来浴室を、リクシルのユニットバスにリフォームしています。浴室の暖かさ・安全・掃除のしやすさに配慮し、脚を伸ばせるゆったりした浴槽になり、出入り口のバリアフリー化も実現。ステンレス製の手すりも設置して将来に備えています。
在来工法の浴室を段差のないバリアフリー浴室に!
リフォーム費用 | 約180万円 |
施工期間 | 約10日 |
リフォーム箇所 | 浴室・洗面台・洗面所・トイレ・キッチン |
採用メーカー•シリーズ | 浴槽:LIXILイデアトーン 床タイル:LIXILサーモタイル 壁タイル:ミスティーキラミック |
住宅の種類 | 一戸建て |
鉄筋コンクリート造一戸建ての在来浴室をリフォームした事例です。
段差の解消を求める要望にこたえて、あえて在来工法を採用し、床にグレーチングを使用してスラブと架台の高さ問題を解消。
浴室の床には暖かみのあるサーモタイルを、壁にはアクセントタイルを使用。浴槽は高級人造大理石のイデアトーンを採用し、バリアフリーで使いやすく、エレガントな空間を実現しています。
最近ではユニットバスへのリフォームが一般的になっています。
在来工法はデザインや間取りの自由度が特徴ですが、一方で設計・施工には高い技術と経験が必要です。
ユニットバスの方が断熱性や安全性にも優れるため、お風呂リフォームの際にはユニットバスへの変更もご検討ください。
介護保険を利用し車いすにも対応した洗面・浴室リフォーム
リフォーム費用 | 約100万円 |
施工期間 | 約15日 |
リフォーム箇所 | 浴室・洗面台・洗面所 |
採用メーカー•シリーズ | LIXIL |
住宅の種類 | 一戸建て |
介護保険を利用して浴室と洗面所をバリアフリー化しています。既製サイズの浴室ではスペースが合わなかったため、特寸サイズの浴室を設置。掃除がしやすいホーローの壁面を採用し、シャワーのスライドバーは手すりとしても機能します。
また、洗面所にはカウンター下に車いすが入る洗面化粧台を設置。段差のない浴室と合わせて、安全で快適なバリアフリー空間を実現しました。
在来浴室に手すりを設置
リフォーム費用 | 約3万円 |
施工期間 | 約2時間 |
リフォーム箇所 | 浴室 |
採用メーカー•シリーズ | TOTO |
住宅の種類 | 一戸建て |
高齢のため入浴が危険になったことからリフォームの相談を受け、ユニットバスへの交換を行わない要望もあり、手すりの設置を提案しています。施工に際しては、使いやすさを重視し、職人が最適な取り付け位置を確認しながら、短時間で手すりを設置しています。
車いすで入りやすい浴室にする方法は?
車いすでの入浴を考える際には、利用者の体格や動作に合わせたプランが大切です。地域の支援センターや医療機関などの専門家にも相談しながら、最適なリフォーム方法を選びましょう。
以下に、車いすを利用する方が快適に入浴できるリフォームのポイントをご紹介します。
広いスペースを確保する
車いすの動線や回転には多くのスペースが必要なため、浴室内の十分な広さの確保がもっとも重要です。
ユニットバスを選ぶ際には、ショールームで実際に体験し、洗い場のサイズや浴槽の向きなどをよく検討しましょう。
また、浴室だけでなく脱衣室や洗面所の間取りも見直すことで、さらに安全で快適になり、介助しやすい水まわりを実現できます。
出入り口の段差をなくし、幅広の引き戸にする
車いすを利用するためには、脱衣室から浴室までの段差をなくし、フラットな床を作ることが重要です。
また、車いすでは身体の動きが制限されるため、開閉が楽にできる引き戸(スライドドア)を設置しましょう。
出入り口の幅は最低でも70cm、できれば80cm以上を確保します。スペースに制約がある場合には、2枚引き戸や3枚引き戸が有効です。
手すりの配置
車いすから浴槽や洗い場への移乗をサポートするために、適切な位置に手すりを設置することも効果的です。
利用者の動作に合わせて、現地で実際に確認しながら、設置する位置や高さを決めることが大切です。
バスリフト・シャワーキャリーなどを活用する
浴槽への出入りをスムーズにする電動バスリフトのほか、シャワーチェアやシャワーキャリーなどの補助器具が活用できます。
浴室内でのスムーズな動作をサポートできる器具は、身体の状態によって異なります。地域のケアマネージャーさんや介護用品店にも相談してみましょう。
Q&A 浴室のバリアフリー化でよくある質問
- 賃貸でも浴室をバリアフリーにできますか?
-
賃貸住宅やアパートのリフォーム工事は、基本的に大家さんが行うため、借主が勝手にリフォームすることはできません。
ただし、介護保険制度を利用し、大家さんの許可を得てリフォームが可能な場合もあります。まずは、大家さんに相談し、必要に応じて自治体や介護保険の窓口に問い合わせてみましょう。
- DIYで手軽に行えるバリアフリー化リフォームはある?
-
以下のように、取り外しが可能で軽微なバリアフリー化はDIYでも行えます。
- 壁吸着式の手すり
- 床・天井突っ張り型の手すり
- 浴槽底面に貼り付ける滑り止めマット
- 段差解消スロープ
ただし、手すりを壁にビスなどで固定する際は、下地の強度が不足していると危険です。
安全のために、専門業者に依頼することをおすすめします。
介護・バリアフリーリフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
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