お風呂の増築・増設にかかる費用は?離れの場合や活用できる補助金制度も

「お風呂が狭い」という悩みを解消する方法として、「増築」と「増設」が挙げられます。どちらも今より広いお風呂を手に入れられる一方で、構造や敷地条件、法規制などにも注意が必要です。
そこで今回は、お風呂のリフォームプラン別の費用相場や活用できる補助金制度、注意点などをわかりやすく解説します。増築の全体像を正確に理解し、補助金も賢く活用することで、予算内で家族が思い描く理想のお風呂を実現しやすくなります。

2025年09月19日更新

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お風呂の「増築」と「増設」の違い

お風呂を新しくつくる方法には「増築」と「増設」があります。どちらも浴室を確保する手段ですが、工事内容や手続きが大きく異なります。

増築増設
工事内容建物の床面積を広げて浴室を新設既存の空間に浴室を設置する
法的手続き確認申請が必要原則として不要
固定資産税増額
(延床面積が増えるため)
影響なし
費用感高額
(基礎工事や外壁工事が必要)
比較的安価

このように、「増築」は広さを確保できる反面、費用や手続きの負担が大きい方法です。一方で「増設」は既存の空間にユニットバスを後付けする方法のためコストを抑えやすく、短期間で工事を終えられるケースが多いのがメリットです。

2つの違いを理解しておくことが、希望する工事の規模感や費用をイメージし、後悔のない選択をするための第一歩です。自宅の立地条件やライフスタイルに合わせて、どちらがより現実的かを検討してみましょう。

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お風呂を増築するメリット

お風呂を増築することで、暮らしやすさや住まいの使い勝手を高めることができます。

ここからは、実際に増築することで得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。

【メリット1】開放感を楽しめる

お風呂を増築し、洗い場や浴槽を広げることで、開放感を楽しめます。一般的に、お風呂の増築を検討する方は、以下のような不満を抱えているケースが多く見られます。

現状のお風呂に対する不満の例
  • 浴槽で足を伸ばせない
  • 洗い場が狭くて壁にぶつかる

不満を解消し、ストレスなくゆったり入浴を楽しむには、ゆとりのある浴槽の広さが欠かせません。

例えば、浴槽の幅が130cmあれば、身長160cm前後の方なら足を伸ばして入浴できます。

0.75坪の浴室である場合、100cmほどの浴槽となるので、開放感がなく「窮屈だ」と感じる方が多いです。「今のお風呂は狭くて嫌だ」という方は、お風呂の増築で不満を解消できないか検討してみましょう。

【メリット2】子どもと一緒に入浴できる

お風呂を増築すると、以前よりも子どもと一緒に入浴しやすくなるのもメリットのひとつです。例えば「エコベンチ付き浴槽」を採用すれば、子どもが安全に腰掛けられるスペースができ、転倒防止にもつながります。

親子でゆったりと入浴を楽しめるだけでなく、洗い場に余裕があることで、のびのびと体を洗えます。子育て期における入浴時間のストレスを減らし、家族のコミュニケーションを育む空間としても役立つでしょう。

【メリット3】お風呂以外の間取りを変えなくて済む

お風呂の増築だけであれば、脱衣所や寝室など、ほかの部屋の間取りを変える必要はありません。ほかの部屋の間取り変更も伴う場合「洗面所が窮屈になった」など、思わぬ失敗が起きてしまうこともあります。

また、工事期間中は、お風呂以外の部屋も使えなくなってしまうなど、生活に支障をきたす期間もあります。その反面、お風呂の増築のみ行うのであれば、生活への影響を最低限に抑えながら工事ができます。

そのため「お風呂は広くしたいけど、ほかの間取りは変えたくない」という方には、お風呂の増築がおすすめです。

【メリット4】将来の介護や二世帯同居にも対応しやすい

お風呂を増築する際に将来を見据えてバリアフリー設計を取り入れれば、高齢になったときや介護が必要になったときにも安心して使えます。例えば、段差をなくしたり手すりを取り付けたりすることで、安全性を確保できます。

また、既存のお風呂とは別に離れなどにお風呂を増築すれば、二世帯同居となった際に浴室を分けて使えるため、生活スタイルの違いによるストレスを軽減できます。将来を考えて柔軟に対応できる住まいは、家族にとって暮らしやすさが続く大きな魅力となります。

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お風呂を増築するデメリット

開放感を楽しめるなどのメリットがあるお風呂の増築ですが、工事前に知っておきたいデメリットもあります。

以下より、いくつかデメリットを紹介していきますので「増築以外の方法にすればよかった」と後悔しないように、増築を検討中の方はチェックしてみてください。

【デメリット1】外観に差が生じる

お風呂の増築をした部分は、外壁や屋根、基礎を新しく施工するため、既存の外壁などの外観と差が生じます。

道路から見える場所であれば、差が目立ちやすいため「なんか違和感がある」と、工事後に気になってしまうケースもあります。

外壁や屋根塗装など、外装工事も一緒に行えば、多少の差は埋められますが、完全に統一するのは難しいです。

そのため、お風呂を増築する際は、外観に差が生じる点を理解した上で工事することが大切です。

【デメリット2】水道代が高くなる場合もある

お風呂の増築により、浴槽が既存より大きくなると、水道代が高くなる場合があります。

例えば、LIXILのリデアの浴槽における、満水時の水量は以下のようになっています。

浴槽名称
(浴槽サイズ)
満水時
ストレートライン浴槽
(0.75坪)
255L
ストレートライン浴槽
(1坪)
300L
ワイド浴槽
(1坪)
322L

近年、多くの自治体で水道料金の値上げが実施されており、家計への影響も無視できません。お風呂を増築する際は、選択する浴槽によっては水道代が上がってしまう可能性がある点に注意しましょう。

【デメリット3】工事費用が高額になりやすい

お風呂の増築は、ユニットバスの交換や既存浴室のリフォームと比べて費用が高額になりやすい点に注意が必要です。基礎工事や外壁工事、給排水設備の新設など、追加の施工が多く発生するため、予算が膨らむことも少なくありません。

また、立地条件や設置場所によっても費用は変動し、場合によっては想定以上の金額になることもあります。具体的な費用相場については、後の「費用」見出しで詳しく解説します。

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【目的別】お風呂の増築・増設プラン

お風呂を新たに設置する際は、「どこに作りたいか」という目的によって工事の内容や費用が大きく変わります。ここでは代表的な4つの目的別プランを取り上げ、それぞれの特徴やポイントを解説します。

【目的1】離れにお風呂を設置したい

母屋から少し離れた場所にお風呂を設置する場合、増築工事が必要です。給排水や電気工事に加えて、基礎工事や断熱、寒冷地では凍結対策も必須となります。

離れならプライベート空間を確保できるため、セカンドバスやゲスト用としての利用にも向いています。また、露天風呂風や半露天タイプに仕上げれば、リゾート気分を味わえる贅沢な空間づくりも可能です。動線の利便性や冬場の寒さ対策を考慮しながら計画すれば、ワンランク上のお風呂になるでしょう。

費用相場

150万〜400万円
※ ユニットバスのグレードや給排水の距離などで変動します

【目的2】2階にお風呂を設置したい

2階にお風呂を設けたい場合は、既存の部屋や廊下の一部を改修して新設する「増設工事」がおすすめです。配管を延長する必要があり、給湯器の水圧確認や、防水・断熱工事も欠かせません。

耐震性や水漏れリスクへの配慮が求められますが、1階の家族動線を避けつつプライバシーを確保できます。増築に比べ工期や費用を抑えられるのもメリットです。

費用相場

200万〜450万円
※ 設置する浴槽のサイズや仕様によって変動します

【目的3】地下にお風呂を設置したい

地下にお風呂を設置する場合は、増築工事に該当します。地下ならではの湿気対策や排水の問題があるため、防水工事や排水ポンプの設置、換気設備の導入が必須です。

地下のお風呂は外部の音が届きにくく防音性に優れるため、シアターバスやスパのような特別な空間を実現しやすくなります。ただし、ほかの増築プランに比べて施工の難易度が高く、費用も高額になりやすい点に注意が必要です。

費用相場

250万〜500万円
※ デザイン性を重視すると、さらに上がるケースもあります

【目的4】庭にお風呂を設置したい

庭の空きスペースを活用してお風呂を作る場合も、増築工事が必要です。給排水や電気の延長工事、断熱や凍結防止対策に加え、建築基準法などの法規制確認も欠かせません。

庭に増築すると、露天風呂風や半露天タイプなどの非日常感あふれるお風呂が実現可能です。一方で、外にお風呂を設置するため、プライバシーを守るための目隠しや塀の設置、防犯対策などもしっかり考える必要があります。

費用相場

150万〜400万円
※ デザインや外構工事の内容によって変動します

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お風呂を増築する際にかかる費用

お風呂の増築にかかる費用は、70万〜250万円が目安です。

費用は工事場所や増築規模、使用する設備のグレードによって大きく変動します。特に増築では基礎工事や外壁工事が必要となるため、ユニットバス交換や既存浴室のリフォームに比べて割高になりやすい点に注意が必要です。

また増築費用とは別に、支払い義務がある項目も押さえておきましょう。

お風呂のリフォーム以外でかかる費用
  • 建築確認申請
  • 登記費用
  • 各種検査費用

これらは増築工事の「諸経費」に該当するため、建物の状態や敷地の条件などによって変動します。事前に複数の業者で見積もりを取り、予算を確認しましょう。

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【2025年版】お風呂の増築に活用できる補助金制度

ここでは、お風呂の増築に活用できる以下5つの補助金制度について解説します。

それぞれの補助金制度の概要をチェックして、活用できる補助金制度を見つけましょう。

【制度1】子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性能を高めるリフォームを支援する国の制度です。お風呂を増築する際に、高断熱浴槽や節湯水栓など省エネ設備を導入する場合、補助対象となります。(※)

概要
対象者・リフォームする住宅の所有者など
・住宅を所有し、居住する個人またはその家族
・住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人・賃借人・共同住宅などの管理組合や管理組合法人
対象工事・開口部の断熱改修
・躯体の断熱改修
・エコ住宅設備の設置
補助金額内窓の設置1.1万〜1.7万円
(1箇所あたり)
複層ガラスと交換0.4万〜1.4万円
(1箇所あたり)
屋根・天井の部分断熱3万〜16.9万円
(1戸あたり)
高断熱浴槽の設置3.2万円
(1戸あたり)
節水水栓6,000円
(1台あたり)
※ 移動する前の壁面に設置されていた外窓・ドアの数および大きさを超えない 範囲で補助対象。離れなどへ新たに設置する外窓・ドアは補助対象外。

>> 子育てグリーン住宅支援事業の公式サイト

【制度2】先進的窓リノベ2025事業

先進的窓リノベ2025事業は、全世帯を対象に高断熱窓やサッシへのリフォームを支援する制度です。浴室の窓を断熱性の高いものに交換する際に補助を受けられ、省エネ性能や快適性の向上が期待できます。補助率が高いため、積極的に活用しましょう。

概要
対象者・リフォームする住宅の所有者など
・住宅を所有し、居住する個人またはその家族
・住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人・賃借人・共同住宅などの管理組合や管理組合法人
対象工事・室内窓の設置
・ガラスの交換
・外窓の交換
補助金額
(1箇所あたり)
内窓の設置1.2万〜10.6万円
複層ガラス交換0.5万〜5.5万円
外窓交換
(カバー工法)
5.8万〜22万円
外窓交換
(はつり工法)
(※)
4.6万〜18.3万円
※ 既存の窓枠ごと外し、壁の一部も壊して窓を交換する方法

>> 先進的窓リノベ2025事業の公式サイト

【制度3】給湯省エネ2025事業

給湯省エネ2025事業は、省エネ性能の高い給湯器の設置を支援する制度です。お風呂を増築する際、エコキュートやハイブリッド給湯器などの高効率給湯器を導入する場合に補助対象となります。増築によって浴室が増えると給湯負荷が大きくなるため、省エネ給湯器を導入すれば光熱費の削減につながります。

概要
対象者・住宅を所有する個人またはその家族
・住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人賃借人・共同住宅等の管理組合
・管理組合法人
対象工事・エコキュートの設置
・ハイブリッド給湯器の設置
・エネファームの設置
補助金額
(1箇所あたり)
(※)
エコキュート6万円
ハイブリッド給湯器8万円
エネファーム16万円
※戸建住宅は2台まで、共同住宅等は1台まで申請可能

>> 給湯省エネ2025事業の公式サイト

【制度4】高齢者住宅改修費用助成制度

高齢者住宅改修費用助成制度は、介護保険を活用してバリアフリー改修を行う際に利用できます。お風呂を増築する際に、手すりの設置や段差解消などを同時に行う場合、助成の対象となります。高齢者が安心して入浴できる浴室を新たに設ける際に役立つ制度です。

概要
対象者・要支援(1〜2)、もしくは要介護(1〜5)の認定を受けている方
・工事対象の住宅が、介護保険の被保険者証に記載された住所と一致していること
・ 工事対象の住宅に、被保険者本人が居住していること
対象工事・手すりの取り付け
・浴室入口の段差解消
・滑りにくい床材への交換
・引き戸への交換
補助金額最大18万円
(工事費の7割から9割)

【制度5】地方自治体独自の補助金制度

地方自治体独自の補助金制度は、各自治体が独自に設けるもので、浴室の増築やバリアフリーリフォームなど幅広い工事を支援しています。条件や補助額は自治体ごとに異なるため、事前に確認が必要です。

ここでは一例として、神奈川県横須賀市の補助金制度「2世帯住宅リフォーム補助金」の概要を解説します。

概要
対象者・市内在住で戸建て住宅に住み、その戸建てに市外から転入予定の子供世帯と一緒に居住または近居すること
・申請年度中にリフォームを完了すること
・転入する子世帯は市が定める日時時点で市外に住所を有しており、申請日以降に親世帯の住宅に転入すること
・暴力団員ではない人
・市税を滞納していない人
対象工事・増築工事
・オール電化工事
・屋根のふき替え
・部屋の間仕切りの変更
・断熱改修工事
・バリアフリー工事
補助金額上限30万円
(リフォーム費用の2分の1)

>> 神奈川県横須賀市「2世帯住宅リフォーム等補助金」公式サイト

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お風呂の増築にかかる工期

お風呂を増築するか増設するかによって、必要な工期には大きな差があります。特に基礎工事や構造補強が必要な場合は長期化する傾向があります。

工事内容工期の目安
増築2〜3ヶ月
増設2週間〜1ヶ月

2階や庭など特殊な場所への増築・増設は、配管や断熱、防水工事が複雑になりやすく、さらに期間が延びることもあります。工事の内容や立地条件を踏まえ、余裕をもったスケジュールを立てることが大切です。

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お風呂を増築する際の注意点

お風呂を増築する前に理解しておきたい、注意点について解説していきます。

【注意点1】確認申請が必要な場合がある

防火地域や準防火地域にお住まいで、既存にプラスされる床面積が10㎡を超える増築をする場合、自治体または民間の指定確認検査機関への確認申請が必要です。確認申請にかかる費用は、自治体や検査機関によって異なりますが、浴室スペースのみの増築であれば10〜15万円が目安となります。

ただ、防火・準防火地域以外で10平方メートル以下の増築であれば、確認申請は不要で、その費用もかかりません。自宅が防火地域・準防火地域に含まれているかを確認するには「市区町村名 防火地域」と調べる方法が有効です。

「都市計画区域図・用途地域図」という図面がヒットすれば、地図をPDFなどのデータで確認できます。なかには、Webでデータを公表していない市区町村もあるので、検索でヒットしない場合は、自治体の建築指導課に問い合わせるか、リフォーム会社に確認してもらいましょう。

参考元:建築基準法-第六条

【注意点2】増築部分は基礎工事が必要になる

お風呂を1階に増築する場合、土台となる基礎が必要になります。基礎工事は、給排水工事も含めて4〜6日かかるため、ユニットバスの交換のみをする場合などよりも工期が長くなります。

また、基礎工事をする場所の地盤が弱い場合は、地盤改良が必要です。地盤改良の費用は、地盤調査の結果や業者によって異なりますが、表層改良工法という工法であれば30〜50万円が相場となっています。「思ったよりも費用がかかり、予算オーバーになった」と失敗しないよう、増築する際は、地盤改良工事が必要になる可能性も含めて予算を設定しましょう。

【注意点3】工事中はお風呂に入れなくなる

増築工事中は、お風呂が使えない期間があるため、以下のような方法で入浴を済ませましょう。

お風呂に入れない時の対策例
  • 実家や親戚宅に行く
  • 銭湯やスポーツジムに行く
  • 仮住まいを検討する

数日から1週間ほどであれば、実家や銭湯に行くなどして入浴を済ませる方法がおすすめです。

しかし、増築の規模が大きく、2週間から1ヶ月ほどかかる場合は、仮住まいを借りることも検討してみてください。給排水配管の工事中は、お風呂だけでなく、キッチンやトイレなどの水回りも使えない期間があるためです。

なかには、無料で仮住まいを提供しているリフォーム会社もあるので、自分で手配する前に相談してみましょう。

【注意点4】構造や耐震性への影響がある

お風呂を増築する場合、建物の一部を新たに造り足すため、全体のバランスや耐震性に影響を及ぼす可能性があります。特に重量のある浴槽や水を多く使う設備は、想像以上に建物に負荷を与えるため、専門家による構造計算や耐震診断が欠かせません。

また、地盤の強度や状態によっても安全性が左右されるため、地盤調査を行い補強の必要性を判断することが大切です。こうした確認を怠ると、将来的な傾きやひび割れ、地震時のリスク増加につながります。

【注意点5】固定資産税が上がる

お風呂を増築すると延床面積が広がるため、固定資産税の評価額が上がり、税額が増える可能性があります。場合によっては数万円単位で負担が増えるケースもあり、工事費用だけを見積もっていると、思わぬ出費に驚くかもしれません。

自治体によって算定方法や金額が異なるため、増築前にシミュレーションするのがおすすめです。将来的な維持費や税金まで含めて資金計画を立てることで、無理のないリフォームが実現できます。

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お風呂の増築が難しいケース

0.5〜1坪ほどのお風呂の増築であっても、以下のような場合は工事が難しくなるおそれがあります。

以下より、それぞれのケースについて詳しく解説していきます。

【ケース1】建ぺい率と容積率の制限を受ける

建ぺい率敷地面積に対する建築面積(※1)の割合のこと
【計算式】建築面積/敷地面積×100
容積率敷地面積に対する延床面積(※2)の割合のこと
【計算式】延床面積/敷地面積×100
※1:建物を真上から見た時の面積
※2:階ごとの床面積を足した面積

建築基準法の建ぺい率と容積率により「住宅面積の上限」が決められています。そのため、既存の住宅面積が制限のギリギリになっている場合、建ぺい率と容積率の制限によってお風呂の増築ができません。

建ぺい率や容積率は、地域によって決められている「用途地域」によって異なります。住宅が立ち並ぶ住居系の用途地域であれば、建ぺい率は30〜60%、容積率は50〜500%となっていますが、地域によって差が大きいです。

また、敷地に接している道路の幅で計算する「基準容積率」と比べて小さい方を採用するなど、専門的な知識が必要な計算が必要になります。そのため、リフォーム会社に相談し、増築が可能であるかを確認してもらうのがおすすめです。

参考:建築基準法-第52・53条

【ケース2】防火地域の延焼ラインにかかる

防火地域や準防火地域では、火災時の延焼を防ぐために「延焼ライン」という範囲を定めています。延焼ラインの範囲では、法律で定められた性能をもつ素材・部材を使わなければならず、違反すると増築工事ができません。

延焼ラインの範囲
  • 道路中心線
    • 1階:3m
    • 2階:5m
  • 隣地境界線
    • 1階:3m
    • 2階:5m

防火地域や準防火地域にお住まいであれば、延焼ラインの規定があることを頭に入れておきましょう。

参考:建築基準法-第61条

【ケース3】敷地境界線から50cm未満となる

民法で「敷地境界線から50cm以上離さなければならない」と定められています。そのため、増築により50cm未満となる場合、基本的にお風呂の増築はできません。

ただ、以下のような場合は、敷地境界線から50cm未満であっても増築ができます。

敷地境界線から50cm未満であっても増築が可能なケース
  • 防火地域や準防火地域内で、耐火構造になっている
  • 地域慣習がある

どちらにしても、専門的な知識をもつプロによる判断が必要なので、リフォーム会社や自治体に相談しましょう。

参考:民法-第234条1項建築基準法-第63条

【ケース4】建物の耐震性の基準をクリアできない

お風呂を増築する場合、現行の耐震基準を満たした構造が求められます。住宅が現行の耐震基準を満たしていれば問題ありませんが、満たしていない場合、増築部分と既存部分との耐震性のバランスが崩れてしまう恐れがあります。

1981年5月31日以前に建築された住宅の場合、現行の耐震基準を満たしていない可能性があるので、増築しても問題がないか確かめるための構造計算が必要です。構造計算の結果、現行の耐震基準をクリアできないと判断されれば、お風呂の増築はできません。

また、お風呂の「増設」を検討している方は、増設が難しいケースもあわせて確認しましょう。

お風呂の「増設」が難しいケース
  • 既存の空間に十分な広さや高さがない場合
  • 配管や給排水の引き回しが難しい場合
  • 換気や排水勾配など、衛生・安全面の確保が困難な場合
  • 階下や周囲の部屋に影響を及ぼすレイアウトになってしまう場合
  • 構造上、床の補強や耐荷重の確保が必要で、簡単には施工できない場合
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お風呂の増築で業者選びが重要となる理由

お風呂の増築には、専門的な知識と技術が不可欠です。具体的な理由を解説します。

【理由1】家全体の安全性に影響する

お風呂を増築する際は、基礎や柱、床の補強が必要です。これらの施工は家全体の安全性に直結するため、経験の浅い業者が安易に工事を行うと、耐震性の低下や構造的な欠陥を招くおそれがあります。

特に水回りは重量が増すため、強度不足による傾きやひび割れなどのトラブルにつながりやすい部分です。だからこそ、豊富な知識と実績を持つ業者を選ぶことが、長く安心して住み続けるための第一歩となります。

【理由2】工事内容が複雑

お風呂の増築工事は、壁紙の張替えや浴槽交換といった単純なリフォームとは異なり、建物の一部を新たに造り足す複雑な工事です。給排水管や電気配線の延長、断熱・防水処理、既存部分との接合など、多方面の調整が求められます。

そのため、施工計画の精度や見積もりの内容次第で、工期や費用に大きな差が出てきます。慎重かつ正確な対応ができる業者を選べば、工事が長引いたり予算を超えたりするリスクも減るでしょう。

【理由3】不具合が生じたときの保証を受けられる

お風呂の増築後は、水漏れや湿気によるカビ、構造的な不具合といったトラブルが発生する可能性もあります。こうした問題は入居後すぐに気づくとは限らず、数年経ってから明らかになることも少なくありません。

そのため、保証内容やアフターサポートが充実している業者に依頼することをおすすめします。工事後も点検や修繕に対応してくれる業者なら、安心して長く使い続けられます。必ず複数社に相見積もりを取り、保証体制まで含めて比較検討すると良いでしょう。

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お風呂を広くしたリフォーム事例

実際に、お風呂を広くしたリフォーム事例をいくつか紹介していきます。

【事例1】壁を解体してお風呂部分を増築

before
after

壁を解体してお風呂部分を増築

リフォーム費用約350万円
※お風呂の増築以外も含む
工期20日
建物一戸建て
施工箇所お風呂
洗面所

屋根
外壁
メーカー名
(商品名)
LIXIL
(アライズ)

「お風呂を広く、1坪サイズにしたい」とご相談があった物件の施工事例。現地を調査した後、浴室の出窓のある壁面を解体してスペースを広げる、増築工事を提案しました。既存の浴室でデットスペースとなっていた箇所を、増築により有効活用できるようになり、1坪サイズが入るスペースを確保しました。

また、浴室の増築により、洗面所の空間が広くなり、収納スペースも拡大。より使いやすい水回りスペースとなっています。

【事例2】0.75坪から1坪のユニットバスへ

before
after

0.75坪から1坪のユニットバスへ

リフォーム費用約120万円
工期3日
建物一戸建て
施工箇所お風呂
メーカー名
(商品名)
LIXIL
(リデアM)

「0.75坪の浴室を広げて、足が伸ばせるお風呂にしたい」とご相談があった物件の施工事例です。

浴室の隣にあるクローゼットを少し削って、1坪サイズのユニットバスに交換したことで、ご希望通り足を伸ばせるお風呂となりました。さらに、タオル掛けや棚も追加したので、床にシャンプーボトルなどを置かなくて済み、掃除がしやすくなりました。

【事例3】1坪サイズへの交換で足を伸ばせる浴槽に

before
after

1坪サイズへの交換で足を伸ばせる浴槽に

工期3日
建物一戸建て
施工箇所お風呂
トイレ

一戸建ての中古物件を購入し、お風呂とトイレの水回りリフォームをしたお客様の施工事例です。

ユニットバスとトイレの交換、トイレの内装で工期は3日ほど。大規模な間取り変更がないので、お客様への負担を最小限にできました。

リフォーム後、お客様から「浴槽を1616(1坪)サイズに変更し、大柄な私でも広々と足を延ばせて大変満足しています」と喜びの声もいただきました。

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お風呂の増築が難しい場合の代替案

土地の広さや構造上の制約によって、お風呂の増築が難しいケースは少なくありません。既存の空間を有効活用したり間取りを工夫することで、快適な浴室を実現する方法があります。

ここで、3つの代替案を見てみましょう。

【代替案1】使っていない空間にお風呂を設置する

収納や納戸、使っていない部屋を浴室に変える方法は、増築よりもコストを抑えやすく、工期も短期間で済む点がメリットです。

ただし、場所によっては給排水管を通しにくかったり、換気が難しい場合もあるため、現場調査を行ってから判断することが重要です。特にマンションや都市部の住宅では、限られた空間を上手に活用する選択肢として有効です。

【代替案2】既存のユニットバスのサイズをアップする

大規模な工事を避けつつ浴室を広げたい場合は、既存のユニットバスをサイズアップするリフォームがおすすめです。壁裏に余白がある場合に限られますが、増築をせずに今よりも広い浴室が手に入ります。

工事期間も比較的短く済み、費用も抑えやすいため、家族構成の変化やライフスタイルに合わせた改善策として選ばれる方法です。

【代替案3】間取りを変更してスペースを確保する

お風呂の増築が難しい都市部の住宅では、間取りを変更して浴室を広げる方法が効果的です。例えば、LDKや和室の一部を削って浴室スペースにあてることで、既存の建物内で解決することができます。

ただし、家全体の動線や収納力、家族の生活スタイルに影響するため、念入りな設計が求められます。採用する際は、将来の暮らしやすさまで見据えて検討しましょう。

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【Q&A】お風呂の増築に関するよくある質問

マンションでも広いユニットバスに交換できる?

マンションでは構造上の制限や管理規約があるため、浴室を大幅に広げるのは難しいケースがほとんどです。壁裏に余裕があれば、可能な場合もあります。

 1階や2階にお風呂を増設することは可能?

構造の補強や給排水ルートが確保できれば増設は可能です。ただし、2階に増設する際は水圧や床の強度、防水対策に注意が必要です。

2階のお風呂を1階に移設する際にかかる費用は?

2階から1階への移設費用は100万〜320万円が目安です。解体・配管の引き直しや床の補強工事が必要で、間取り変更があればさらに高額になります。

和室をお風呂にリフォームする際にかかる費用は?

和室を浴室へリフォームする場合、200万円以上かかります。防水工事や設備新設が必要で高額になりやすいですが、広さを活かしてゆとりある浴室にできるのが魅力です。

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【まとめ】お風呂の増築は専門家に相談して計画を立てよう

お風呂の増築は、暮らしを快適にする大きなメリットになりますが、費用や工期、法規制など注意点も多く存在します。希望する場所に増築できるかは家の構造や敷地条件によって変わるため、まずは専門家に相談して計画を立てることが大切です。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

マザーハウス 石田工務店

久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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